昼寝ネコの雑記帳

カテゴリ:創作への道( 289 )

国を擬人化した漫画から小説への変異〜国際時事妄想小説

Astor Piazzolla y Roberto Goyeneche - Chiquilin de Bachin

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 過日ご紹介した推奨ブログ「徒然なるままに」で、連日精力的に時事情報を発信している、ブログ主のちはやさんは、時々小説を発表している。国を擬人化した漫画に着想を得て、同様の手法で小説化している。

 今回は、「本作品は『国擬人化漫画・ヘタリア』の二次小説です。」と断り、シンガポールで開催された、トランプ米大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の会談を軸に、日本や英国そしてプロイセン(日本→男性菊の師匠だそうだ)それぞれが、国家としての見解を人間のように人格と個性を与えられて語っている。ちはやさんは、歴史をよく勉強されており、また実態を把握しにくい国際政治の舞台も、深く洞察しているように思える。読むと、国際政治舞台の臨場感が伝わってきて、疑似体験ができるほどだ。複雑な利害と思惑が交錯する国際政治を、複眼的な視点で解明している、なかなか希有な、そして個性的な作者だと思っている。

 当然だが、ちはやさんとは一面識もなく、私にとっては、年齢・性別・容姿ともに不詳の謎の人物である。ただブログに啓示されているプロフィールを読むと、多少のイメージが湧いてくる。知的で鋭利な感性を有し、文章にも独特の表現力と世界がある方だ。・・・ちはやさんは今頃、クシャミを連発しているのではないだろうか。

 プロフィールには以下のように自己紹介されている。
・性 別:女性
・地 域:東京都
・職 業:夢追人
・myブーム:バチカン奇跡調査官 ヘタリア 自A隊擬人化
・自己紹介:バチカン奇跡調査官の二次小説を書いていましたが、一年程で卒業。現在はヘタリアの二次小説を書いています。

 今回の作品のタイトルは「日本アラカルト[時代の行方⑳・米朝首脳会談]」である。予告編代わりに、冒頭の一部をご紹介する。

(転載開始)
【日本アラカルト[時代の行方⑳・米朝首脳会談]by ちはや】

【米朝合意】
1.米朝関係の正常化
2.朝鮮半島の平和体制保障
3.朝鮮半島の完全な非核化、
4.朝鮮戦争の遺骸、遺骨の送還


英:詰めは甘いが、まあ、こんなもんだろうな。

普:『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』から大きく後退しているな。日本の拉致問題も本当に話し合われたのか疑問だな。

英:ああ、日本人拉致については、合意文書には何も約束されていないしな。

日:話をしたとトランプ大統領はおっしゃっています。日本政府はそれを肯定しています。
拉致問題が合意文書に記されないことは承知済みのことです。
 米朝首脳会談なのですから、アメリカが自国の利益や都合を優先するのは当然であり、他国の拉致問題を明記する理由はありません。
 同盟国とはいえ、他国の為に信義を尽くしてくださっただけでも有り難く思います。寧ろ、アメリカに頼らなければならない我が国の実情こそが、情けなく歯がゆいばかりです。
国連敵国条項がなければ、強行手段も選択肢の一つにできたのですけど。

英:憲法九条じゃないのか?

日:所詮、憲法など、個々の国でしか意味がないものではありませんか。日本が憲法違犯を犯したからといって、どの国が処罰できるというのですか?
 でも、国連敵国条項はそうはいきません。あれは最早形骸だと言われても、何処ぞの国は、あの条項を利用しようと手ぐすね引いて待っているのですから油断はできません。
 あの条項さえ無ければ、いつかアメリカが、北朝鮮に囚われた自国民を助け出す為に軍艦を差し向けたように、我が国も海自や空自を差し向けることができたでしょうに。本当に悔しくてなりません。

普:あれはドイツにとってもイタリアにとっても悩みの種だ。連合国の奴ら、面倒くせえことしてくれたもんだぜ。

英:……

日:でも、ドイツはボスニアを始めアフガニスタンなどに派兵し戦闘行為を行っているではありませんか。

普:NATO(北大西洋条約機構)という枠組みでだけどな。

日:ええ、そうでしたね。
必ずしも戦闘行為を望むものではありませんが、我が国にはそうした枠組みさえありません。

普:日米軍事同盟じゃ不満か?
日米豪印のダイヤモンド構想は、China封じ込めが主たる目的だったな。
俄(にわか)海洋国家同盟か、枠組みとしちゃあ弱いかもな。

日:日米軍事同盟は二国間同盟にすぎず、国内事情が変わればどうなるかはわかりません。
我が国にとって、アメリカ一国のみの軍事同盟では、不安定で仕方がないのです。
NATOのような多国籍の強固な軍事同盟を必要としているのです。
*続きはこちらからお読みいただきたいhttp://mblg.tv/42411914/entry/4297/

 
 私は、ちはやさんの文章から伝わってくる、崇高な信念に圧倒されている。さらには、現実の歴史や国際舞台に対する洞察能力にも敬服している。
 いつかきっと、ブログという空間から飛翔し、国際時事妄想小説家として多くの読者を確保するようになるだろうという、強い予感がある。・・・昨日は、入浴剤をクッキーと間違ってしまったが、本件に関しては迷うことなく確信を持っている。


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by hirune-neko | 2018-06-19 00:34 | 創作への道 | Comments(2)

シンガポールから愛を込めて〜金正恩委員長の高笑いが聞こえる

A Time for Love by Shirley Horn

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 最初にお断りするが、今晩の私は妄想力全開モードである。したがって以下の記事の途中まで読まれて、「ああ、それが真実だったのか」と早合点し、大騒ぎをされないようにお願いしたい。くどいようだが、以下はネット上に散乱する様々な情報の断片を、妄想力によってつなぎ合わせただけの、妄想ストーリーである。

(妄想ストーリー開始)
シンガポールから愛を込めて〜金正恩委員長の高笑いが聞こえる」

 シンガポールにおける、米国・トランプ大統領と北朝鮮・金正恩委員長の、歴史的会談が終了した。会場となったホテルの周辺は、厳重な警備で固められ、屋外からの狙撃、ヘリコプターやドローンを含む空からの攻撃をも想定し、文字通りネコ一匹ですら入り込めないほどだった。・・・だったのだが、私は先祖から受け継いだ特殊能力を駆使し、会談で使用された部屋の片隅で一部始終を見守っていた。私の特殊能力は、トランスポーテーションといわれる瞬間空間移動能力、そして肉体から抜け出て視認できない霊体として存在することができる能力である。これらは、昼寝ネコ一族に伝わる能力のほんの一部である。

 さて、会談前には米国国務長官を始め、多くの人々が北朝鮮の即時の核兵器廃棄を主張していた。生物化学兵器も同様であり、拉致された日本人被害者の解放までも会談の合意事項として盛り込む意気込みだった。しかし、結果はどうだったろうか。
 多くのメディアが報じるように、米政府が求める、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄(CVID)」の文言は盛り込まれなかった。生物化学兵器も、日本人拉致被害者の件も同様である。

 一体、あの自信に満ちたトランプ大統領に、何が起きたのだろうか。秘密会談だったので、メディア記者が知り得ない、トランプ大統領と金正恩委員長の二人しか知り得ない会話があったのである。・・・いや、正確にいうなら、二人に加え、この私を含む三人しか知り得ない、信じられない、そして決して公表できない重要な会話があったのだ。その結果、世界最強の軍事力を持つアメリカ大統領といえども、ある意味で無力化されてしまったのである。

 当時の模様を、ごく簡潔にお伝えする。

 高圧的で自信に満ちたトランプ大統領の、ある意味では一方的なオファーが一巡した頃、金正恩委員長はそれぞれの通訳に退席を求めた。英国アクセントではあるが、流暢な英語を話すのを確認し、トランプ大統領は通訳の退席に同意した。
 そのときのトランプ大統領は、二人だけになったら、金正恩委員長が自分に土下座して額を床にこすりつけ、体制維持の保障と、CVID実施の時間的余裕を与えてくれるよう、懇願するだろうと考えていたようだった。

 しかし実際はそうはならなかった。すべてを詳細に記すと、膨大な文字量になってしまうので、概要だけを以下に記すことにする。

 金正恩委員長は、驚くほど流暢な英語で話し出した。ほぼ理解できたので、日本語に訳して記載することにする。

 「ミスター・プレジデント、あなたは『金策(キムテク)という人物をご存知だろうか。おそらくご存知ないだろう。金策は元々、陸軍中野学校出身の残置諜者の畑中理(おさむ)という名の日本人だった。太平洋戦争終結前に、畑中理は日本に帰らず北朝鮮に渡り、金策という名の朝鮮人として生きることにした。そして原爆で日本の無実の一般市民を大量に虐殺したアメリカに対し、いつの日か、その原爆でアメリカに報復するという固い決意を胸に秘めていた。やがて、その金策はロシアから帰国した、私の祖父である金日成を教育訓練し、北朝鮮独自の軍事力を組織することになった。
 豊富なウランを埋蔵し、大型ダムによる電力にも恵まれていたため、金策はアメリカへの報復のための原爆開発を指導した。金日成を中心に据えて北朝鮮を育て上げ、アメリカに報復するという怨念で、北朝鮮の軍事強化に生涯を賭けた人物だった。今日の朝鮮の発達に対する功績があまりにも偉大だったため、今日でも金策市、金策製鉄所、金策工業総合大学、金策軍官学校、金策航空大学、金策号という名前を付けているほどの、大変偉大な功労者だった。

 トランプ大統領、貴殿は我が国近海に強大な海軍力を派遣し、空軍力も飛来させ誇示している。軍事的威圧によって、我が祖国を、偉大なる金策が創り上げた朝鮮国を支配下に治めようと恫喝し続けている。今秋の中間選挙に向けて、功績を誇示したいのだろうが、そのような短絡的戦略が通用するとお考えだろうか。我が朝鮮は、陸軍中野学校で厳しい訓練を受けた畑中理・金策による、遠大な報復戦略に基づいてその成果を積み上げてきている。かねてから、アメリカに対して未曾有の攻撃を加えると、何度も警告を重ねた事実をお忘れだろうか。高高度での核爆弾破裂が引き起こすEMP攻撃は、ほんの序章に過ぎない。
 金策は当初から、核爆弾の開発と並行し、その小型化、さらには超小型化を優先目標としていた。我が国の優秀な科学者たちは、かなり以前にスーツケース原爆の開発に成功し、我が国の工作員の手によって、すでに全米数百カ所に秘匿し、いつでも遠隔操作で起爆できるようになっている。超小型化はさらに進み、全米中の建造物の基礎部分に埋め込まれている。ある自動車メーカーのラインには、部品に擬した超小型核爆弾が生物化学兵器と連動する形で、自動車に組み込むよう稼働している。今や、数え切れない無数の核爆弾が、アメリカ国内で待機しているのだという事実を、謹んでお伝えしたい。それでもなお、大統領は我が国に対して変わらぬ恫喝、軍事侵攻を企てるなら、私がお伝えしたお話が事実であることを、大統領ご自身がその耳目で確認することになると、改めてお伝えする。

 先の大戦で、貴国の原爆によって、軍属ではない一般市民が大量に虐殺された。アメリカは、未だにその人々の悲痛な運命を忘れてはならない。金策・畑中理の怨念は、今でもなお、彼の血を受け継ぐ我々にも引き継がれていることを、決して忘れないでいただきたい。アメリカに対する原爆による報復は、金策・畑中理によって創られた朝鮮国の当然の権利だと、我々は考えている。」

   *   *   *   *   *

 この会話は、どの報道機関も察知しておらず、従ってこのやりとりを知るのは、二人の国家元首、そして私の三人だけである。これが、大きく内容が後退した共同声明、そして突然の米韓合同演習中止の核心的理由であることは、誰も知らない。

 さて、以下の画像をご覧いただきたい。二人の表情を見較べていただくと、一目瞭然なのではないだろうか。今でも、シンガポールから金正恩委員長の高笑いが聞こえるような気がする。愛が込められているかどうか、そこまでは判断できない。
c0115242_02282390.jpg

合意文書を交換し、握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領=12日、シンガポール(ロイター)
(妄想ストーリー終了)

 しつこいようだが、再度申し上げる。あくまでも私の目撃情報というのは、妄想物語に過ぎない。国際政治の世界は、かくも深い闇の中である。しかし、懸念していることがある。あくまでも私の妄想の産物にしか過ぎない内容なのだが、もし仮にこれが実際にこの二人の国家元首の間で語られた内容に限りなく近かったとしたら、そしてそれがいつか後日証明されるようなことがあったなら、私はおそらく、世界中の政府や情報機関から、要注意の特殊能力者として監視対象になってしまうのではないだろうか。そうなってしまったら、おそらくだが、ノーベル文学賞候補にノミネートされる可能性はゼロになってしまうと思うと、至極残念である。せっかく、現時点の可能性が0.00001%もあると思っているのに。本当に残念である。


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by hirune-neko | 2018-06-15 01:52 | 創作への道 | Comments(2)

生前の母に送ったファックス原稿を見つけた

Shirley Horn - "Solitary Moon"

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 記憶では、間違いなく母に名入り絵本をプレゼントしている。生まれた赤ちゃんのための絵本とは別に、人生の晩年を迎えた親に対し、感謝の気持ちを込めた絵本を商品化しようと思ったので、母を実験台にして文章を作った。

 母は長女だった中学生の頃、突然父親が病死し、4人の弟や妹に学業を続けさせるため、自分は学業を断念し、母が始めた八百屋・果物屋を一緒に手伝うようになった。
 結婚してからの辛酸の人生。そんな過去の心情を想像し、文章の中に組み込んで労をねぎらった。札幌で一人暮らしだったが、その絵本の読後感を聞きたくて電話したら、感動して涙が止まらなかったという。当時もすでに親泣かせの息子だったようだ。

 その文章がいくら探しても出てこない。母の名前であれこれ検索していたら、ファックス原稿が出て来た。母の家にはファックスはなかったので、近所の方に送信し、届けてもらったのだろう。ファックス原稿には創作した短編と、父との和解というタイトルで、没後40年以上が経過し、ようやく父を受け容れることができるようになった心情をブログに書いた記事の、2編が書かれていた。

 この短編作品を読み始めたとき、誰が書いた文章なのか判然としなかった。しばらく読んで、徐々に登場人物の女性の記憶が甦り、途中で自分が書いた作品だと思い出した。そんなに悪くない作品だと思うので、以下に転載させていただく。

(過去の創作作品)

「届かない会話と届いた言葉」


 一人の人間を理解するには・・・本当の意味で深く理解するためには、その人のずっとずっと昔まで遡り、時系列で出来事を並べてみないと・・・

 ある女が、あれこれ考えた末に、人生の終末を生きる人の役に立ちたいと考えた。彼女には無理に働かなくても、一生涯暮らしていける経済基盤が与えられていた。なので、お金を目的に働く必要はなかった。

 指定された日に、施設に面接を受けに行った。書類選考を経て、適性を確認する最終面接だった。その日のうちに電話による連絡があり、週明けの月曜日から金曜日までの5日間、通うことになった。

 月曜日の朝、9時から1時間の事前説明を受けた。担当するのは、80歳を過ぎた男性で両下肢が衰弱しているため、車椅子で過ごしている。脳波は正常なのだが、話しかけても反応がない。専門家の所見では、自閉症と失語症その他心因性の障害で無感覚状態になっているという。言葉は発しないが、洗面所に行きたいときにはかろうじて指先で合図するという。

 女にとっては、相手がどれだけ重篤な状態でも一向に構わなかった。煩わしい会話で神経をすり減らす必要がない方が気楽だった。

 雨が降らなければ、敷地内の木立を縫うように車椅子を押して散策するようにした。雨が降ると、施設内の長い廊下を何度も往き来した。残りの時間は、高台から水平線を見渡せる展望室で、ただじっといつまでも遠くを見つめていた。

 女は自分に起こった出来事が、何ヶ月経っても頭から離れないのを自覚していた。何の未来像も描けない、行き場を失った人間になってしまったことを実感していた。

 2週間ほど経った頃、車椅子を押しながら、ふと年齢の割に白髪が少ないなと、初めて男性のことが視野に入った。

 そういえば、規則だということで一切の個人情報は知らされていなかった。過去の職業、家族構成、国籍も出身地も何もかも知らないことだらけなのに、ひと言の会話もなく、ずっと行動を共にしている。考えてみれば、ずいぶん奇妙な関係だと思った。

 東條さんという名前が、男性の唯一の情報だった。

 「東條さん。もう秋ですね、寒くないですか?」
 その日、女は初めて言葉を発したが、反応はなかった。ダウンコートで男性の身体を覆い、車椅子を押していつもの散策コースに出た。

 このところずっと女は自分に閉じこもり、誰とも会話することがなかったせいか、徐々に人に対する億劫さが薄れているのを感じた。

 「東條さん。人生って、いつ何が起きるか分からないものですね」
 返事はなかった。返事がないことが、虚ろに感じられた。

 それまでは、寡黙で単調な毎日だった。しかし女の心境は徐々に変化し、飽和状態になった感情を、言葉とともに吐き出さずにいられなくなっていた。

 翌日から、女は徐々に饒舌になっていった。

 「東條さん、今日は少し暖かいですね。いつもと逆のルートを行ってみましょうか」
 女は同意を待たずに、逆ルートを進み始めた。

 「北海道で、初雪が降ったんですって。・・・わたし、本当はとてもおしゃべりで明るい性格なんですよ。でも、いろんなことが同時に起きてしまい、突然、独りになってしまったものですから、人と接するのがすっかり億劫になってしまって」
 彼は相変わらず何も反応しなかった。

 無反応の相手なので、女は警戒心を持たずいつしか、子どもの頃の思い出、父親との確執、母親の病死、留学時代のエピソード、学生時代の希望と挫折の繰り返しを、徐々に語るようになった。

 彼はいつしか、無言のカウンセラーになっていた。

 1か月ほどが経過した。不安や葛藤など、女はいつしか無言のカウンセラーに対し、素直に内面を伝えるようになっていた。

 「わたし、ようやく先のことを考える気力が出てきたようなんです。このままでいいのかなって。やりたいことは何もないんですけど、でも何かしなくては、って思うようになってきたんです」
 女の言葉は、遠い水平線を見つめる彼の耳には届いていないようだった。

 翌週の月曜日、女は退職届を提出した。話し合いの結果、後任の手配が可能になる金曜日までは勤めることになった。

 その日まで、女は何度か謝罪の言葉を伝えた。何の会話もなかったものの、錯綜した話をただ黙って聴いてくれた彼を残して去ることに、後ろめたさを感じるようになっていた。

 金曜日、最後の日の夕方になった。外は朝から雨だったせいで、展望室から見る水平線は空に溶け込んでしまい、境界線が見えない。

 重い空気だった。

 あと数分で、お別れだ。もう二度と会うことはないかもしれない。女は彼に別れの言葉を告げた。
 「東條さん。短い間でしたが、私のお話を聴いてくださって、有難うございました。本当のことをいうと、生まれて初めて死ぬことを考えたんです。でもこうして東條さんに励まされて・・・何もおっしゃってはくれませんでしたけど、寛容な心を感じることができました。・・・さようなら」

 女は立ち上がり、車椅子のハンドルに手をかけた。
 その時、彼は初めて言葉を発した。
 「どうもありがとう。ご自分を大切に」

 女は一瞬、耳を疑った。彼は無表情に水平線に目を向けたままだった。しかし「どうもありがとう。ご自分を大切に・・・」確かにそういった。この人は、ちゃんと聞こえて話せて、思考力も理解力もある人なんだ。

 その瞬間、女は理解した。目の前の彼が・・・ずっと無反応で無感覚な人間だと思い込んでいた彼が、実は自分よりもずっと深い闇に閉ざされたまま、ずっと長い時間を生き続けている人間であることを。

 言葉にならない感情が一気に溢れ出て、嗚咽したまま、女はその場から動くことができなかった。

 海の色と空の色は、忍び寄る闇に同化し始めていた。
   (2014年11月14日の作品)


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by hirune-neko | 2018-06-12 01:31 | 創作への道 | Comments(2)

二つの選択肢を前に、思い悩んでいる

"Adagio en Sol menor" - Tomaso Albinoni - "European Jazz Trio" - HD

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 昨日はご心配をおかけしたが、手先の症状は元に戻ったのでご安心いただきたい。ご心配にお礼申し上げる。

 過日、ブログ読者のcausalさんが投稿してくれた折に、また何かいい音楽を教えてください、とお願いした。数日後に送ってくださったのは、

♪アルビノーニ:《弦楽とオルガンのためのアダージョ》 ト短調
 
 それと、この曲をジャズトリオで演奏したものの2曲だった。

♪"Adagio en Sol menor" - Tomaso Albinoni - "European Jazz Trio" ?

 どちらも捨てがたいが、ジャズ演奏は珍しいので、そちらを掲載紹介した。

 二つの選択肢を前に、思い悩んでいるというのは、別の案件である。2年前に亡くなった母が遺した短歌が、2千首近くある。ノートやチラシの裏に手書きで書いた原稿なので、最後までお世話をしてくれたケアマネージャーの女性に相談し、お姉さんに「読める字」で書き直してもらった。それを、ケアマネージャーの息子さんが仕事の合間にテキストデータ化してくれていたのだが、ようやく作業が完了したという連絡があった。

 短歌集は以前に出版したことがあるので、要領は分かっているつもりだ。問題は母の遺稿作品集に私がどのように関わるかだ。奥付の発行人には私の名前が記載される。しかし、お手伝いしていただいた皆さんに、なんの説明も謝辞もなしに書籍化するわけにはいかない。

 そこで、母の生い立ちや出版するに至った経緯を、どの名前で説明すべきか迷っている。2年以上遅れた香典返しとして送る相手もいるので、昼寝ネコの名前で書くと、誰だ、こいつは?となってしまうと思う。しかし、親子といえど、創作領域に関わる文章は、やはり昼寝ネコとして書きたいという願望がある。

 第三者から見れば、何をそんなにこだわる必要があるのか、と思われるに違いない。まあ、今から早計に結論を出さず、編集作業を続けながらじっくり考えようと思う。

 書名に使う候補名は「短歌集・名もなき歌人の遺せし歌」、だろうと思っている。若き頃からの苦難の日々を、三十一文字に託して昇華させながら、心の重荷に耐えた。文字通り、母の人生の足跡である。存命中に、歌集の出版について話すと、人に見せられるような内容ではないので、自分が死んだらそのまま廃棄するように、といった。しかし、それは本心ではないことは分かっていた。

 壮絶な人生、家庭環境の中で、小さい頃の私を守り、その後も成長を見守ってくれた母に対する、私からのせめてもの感謝のメッセージとして、出版したいと思っている。

 戦後の時代から相当の年月が経過したが、人間が味わう辛酸、艱難はどの時代にも存在する。たまたま母の遺作を読み、心に励ましを受ける人が一人でもいてくれれば、母も喜んでくれるのではないかと思う。すべての作品に目を通してはいないが、悲壮、絶望、苦渋に満ちた作品のはずである。晩年近くになって、ようやく草花を題材にした達観し、枯れた作品を作るようになったようだ。

 多くの、親切で愛情溢れる皆さんの、親身なお世話によって、長年の不幸という固定観念が氷解したのは、亡くなる数ヶ月前のことだった。私の顔を見ると、ずっと不幸な人生だったというのが口癖だった。しかし、脳に転移したガンのせいで歩けなくなり、寝たきりの床で、「私は今、幸せだ」と、涙を流しながらいうのを聞き、私自身も、多くの皆さんの、私心のない心からの親身な愛情に対し、改めて感謝の気持ちを抱いた。

 短歌の別称である「三十一文字」・みそひともじ。サーティーワン。まるでアイスクリームのような名前だが、そんなギャグは間違っても使えない。もしどこかで使おうとしたら、母はきっと夢枕に現れて、「お前がそこまで親不孝息子だとは思わなかったよ、情けない。死んでも死にきれないよ」というだろう。

 残念ながら、私には短歌の才がない。今さら勉強したいとも思わないが、気が向いたら作ることがあるかもしれない。

 亡き母の 遺せし歌を まとめんと まず手始めに サーティーワンかな

 ・・・今晩にでも、母が夢枕に立つかもしれない。


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by hirune-neko | 2018-06-05 01:15 | 創作への道 | Comments(0)

久しぶりのフォトジェニック・ストーリー

Bill Evans Trio - What is there to say?

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【創作/フォトジェニック・ストーリー・シリーズ】
「未来を辿る記憶〜What is there to say? Bill Evans Trio
   □文 /昼寝ネコ
   □画像/ケ・セラ・セラ(年齢・国籍不明の女流カメラマン)
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 ボランティアで、週末毎に何人かの高齢者を訪問している。最初は、純粋に人の役に立ちたいと思って面接を受け、一通りの講習を受けた。最初の3ヶ月は先輩同僚に同行し、やりとりを黙って観察するという実地訓練を受けた。

 あの頃からもう7年にはなるだろうか。勤務先の仕事が徐々に忙しくなり、土曜出勤を求められるようになったのだが、何ヶ月もかかってようやく心を開いてくれた相手のことを考えると、仕事が忙しくなったから来られません、とはいえなかった。

 私の訪問先の人たちは、心の扉を重く閉ざし、人に対して寡黙であり、まるで言葉そのものを失ってしまったかのようだ。伴侶に先立たれ、子どもたちとも疎遠になってしまっている場合が多い。まるで、過去の出来事を鮮明に思い出すことが恐怖であり、自らの記憶を少しずつ埋葬しようとしているかのようだ。

 藤吉さんの住まいに通うようになって、すでに3年以上が経過している。田園都市線のたまプラーザ駅を下り、15分ほど歩いた住宅地に建つ、2階屋だった。庭はそんなに広くないが、低木が雑然と植えられていて、耳を澄ますと小鳥のさえずりが聞こえる閑静な環境だった。

 70歳を超えて間もない藤吉さんとは、最初の頃は向き合っても何も言葉を交わさず、気まずい沈黙の時間が流れた。ある日、たまたま部屋の隅に、折りたたみ式の将棋盤と駒のセット、それにどうやら詰め将棋や定跡の解説書らしい本が置かれているのが目に入った。将棋がお好きなんですか?と声をかけると、我に返ったような表情で、私に視線を向け、軽く頷いた。これはいいきっかけだと思った私は、自分の将棋歴を披露した。小学生の時の友だちが将棋好きで、奨励会に入り、プロの道に進んだこと。友だちのよしみで、ときどきインターネットで対戦したこと。そんなとりとめもないことを話すうちに、藤吉さんの視線と表情にわずかだが変化が現れた。

 思い切って将棋盤と駒をテーブルの上に持ってきた。一局いかがですか、と声をかけると、まるで機械仕掛けのように手が動き、駒を並べた。訪問する度に、将棋の対局をするのが習慣化した。中盤の判断が難しい局面では、真剣に集中する表情になり、悪手を指したと思ったときは、短い声を上げるようにもなった。

 将棋の対戦を始めてから、やや半年経った頃だろうか。藤吉さんは奥の部屋から写真アルバムを持ってきて、私の前に拡げた。若かりし頃の藤吉さん、奥様らしき女性とお子さん達。多くは語らなかったが、いつになく穏やかな表寿だった。

 それから何ヶ月か経ち、春先の暖かい土曜の午後、私はいつものように藤吉さんの家を訪問した。挨拶を済ませると、テーブルの上に重ねられた何冊ものアルバムが目に入った。

 しばし、以前のような重い沈黙の時間が流れた。やがて藤吉さんは、意を決したかのような固い表情になり、私の目を射抜くように見つめた。

 「聞いていただきたいお話があります」

 私は余計なことはいわず、ただ頷いた。

 藤吉さんは、少しためらった様子で話し始めた。奥様との出会い、結婚を決意したときの経緯を、懐かしむように心からの想いで語った。やがて、少しの沈黙を挟み、その奥様が血液のがんで、あっという間に他界したのだと話した。私はその先をせかさず、藤吉さんの言葉を待った。

 奥様は、まだ50歳にもならない早世だった。墓石には「最愛の妻、ここに眠る」と刻んだそうだ。お子さん達はそれぞれ自立しており、独りになってしまった藤吉さんは、自分よりずっと若い女性と再婚することになった。再婚という言葉を口に出してから、藤吉さんの口は徐々に重くなり、慎重に言葉を選んでいるのが分かった。

 それからの話の内容は、時系列が錯綜し、整合性をもって理解するのが難しくなった。しかし、私にとって衝撃的だったのは、「私が彼女を殺してしまいました」というひと言だった。

 独りで暮らす孤独な生活の毎日を過ごすうち、潤いと安らぎを与えてくれる相手に出会い、比較的早い時期に再婚したそうだ。再婚してまもなく、二人は先妻の墓前に報告に行った。彼女は墓石に刻まれた「最愛の妻、ここに眠る」という文字を目にした瞬間、その文字を抹消するよう要求したという。いいなりになり、墓石の文字を削り取ったことを、今でもずっと悔やんでいると、藤吉さんは辛そうに語った。

 どうやらその件以降、二人の間には徐々に隙間ができてしまったらしい。藤吉さんはそれ以来、先妻の命日には独りで、しかも彼女には内緒で墓参するようになったそうだ。墓前では頭を垂れ、先妻に涙を流して詫びる言葉を伝えた、といった。

 濃い霧に閉ざされていた重い過去が、徐々に姿を現したかのようだった。また少しの沈黙を挟んで、藤吉さんは話し始めた。

 再婚相手の女性には、軽度の心臓疾患があり、定期的に病院で検査を受けていたという。ある日、いつもより重い発作が起き、薬を飲むこともできないほどだったため、電話の受話器を取って救急車を呼ぼうとした。その瞬間、藤吉さんの心の中には、再婚後の数十年にわたる負の思いが、一気に流れ込んできた・・・そのように表現した。目の前で苦しむ彼女の表情が今でも目に焼き付いている。電話を躊躇している自分に対する先妻の叱責の声が聞こえた。そしてこの数十年間を虚しく耐えてきた自分に対する憐憫の気持ち、それらが錯綜してしまい何も行動に移すことができなかった・・・。しかしほどなく我に返り、藤吉さんは救急車を呼んだ。その空白の時が、どれぐらいの時間だったかは思い出せないという。

 救急隊員が到着したとき、心肺は停止していなかった。藤吉さんも救急車に同乗し、かかりつけの病院の救急救命センターに向かった。入口の外で待機していた医師と看護師によって、応急手当が施されたが、彼女は帰らぬ人となった。

 藤吉さんは深いため息をついた。そして私にいった。

 「ありがとう。誰にもいえなかったことなので、心が軽くなりました。もう何も思い残すことはありません。心のつかえがとれました。私が彼女を殺してしまいました

 そのとき、私にはある情景が目に浮かんだ。遺書を書く藤吉さんの姿だった。

 「藤吉さん、お孫さんは何人いらっしゃるんですか?」
 意外そうな表情を見せて、彼は答えた。
 「5人います。でも、もうみんな成人しています」
 「藤吉さん。過去の記憶を辿るのは、今日で終わりにしましょう。藤吉さんの人生は、藤吉さんだけのものではありません。自らの命を絶つなら・・・」
 藤吉さんの表情は一瞬、硬直したようだったが、私は構わずに続けた。
 「自らの命を絶つなら、どなたが一番苦しむとお考えですか?これまでの長い年月、先妻の奥様が霊界からいつも心配して、藤吉さんを見守っていらっしゃったことを、気づかれませんでしたか?私には分かります。これからの人生を、お子さんやお孫さん達との大切な時間だと考えましょう。これ以上、ご家族の皆さんを苦しめ、悲しませるのは止めましょう。これまでどおり、毎週将棋を指し、未来に向かって記憶を辿ることを一緒に考えませんか?」

 若造の私が、ずいぶん生意気なことをいってしまったと思った。しかし、藤吉さんは私の言葉を聞きながら、軽く何度も頷いていた。次回は少し手を抜いて、たまには負けてやろうかという考えが浮かんだ。

 長居をしたようで、窓の外が少し暗くなりかけていた。周囲から白い目で見られながらも土曜出勤を断り、こうしてボランティア訪問を続けてきて、本当に良かったと、心から思えた一日だった。


(創作メモ)
 このところずっと、仕事に追われる毎日が続き、創作脳が乾燥しきって’しまっているのではないかと、不安に思った。そこで、かねてから女流カメラマン(カメラウーマン?)のケ・セラ・セラさんが撮りためた作品を観ながら、湧いてくるイメージを短編作品にしようと思い立った。画像を観ながらの即興作品である。すぐに目に留まったのが、濃い霧の中を歩く二人の姿という構図の画像だった。勝手に名付けて、フォトジェニック・ストーリーである。ケ・セラ・セラさんの作品は、私に饒舌にイメージを語りかけてくれる。改めて、使用許諾をくださりお礼申し上げる。いつかこのようなフォトジェニック・ストーリーが何編にもなって、出版できるようになったときは、サブタイトルとして、冒頭の「What is there to say? Bill Evans Trio」のように、作品イメージのBGMになりそうな音楽作品名も並記したいと思う。

 今日は久しぶりに、ちょっと達成感を感じることができて嬉しく思っている。


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by hirune-neko | 2018-05-28 00:42 | 創作への道 | Comments(2)

妄想短編〜南北合作の危険な陰謀シナリオ

Astor Piazzolla - Marejadilla

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 午後8時40分からインターネットの対局場で、将棋のレッスンを受ける予約をしていたのだが、脳内の圧迫感が強く、思考力にまったく粘りがないフニャフニャ状態なため、先生にメールを送ってお休みさせていただいた。こんなに早い時間から、ブログを書く気になるなんて珍しいことだ。

 仕事脳はフニャフニャ状態なのだが、妄想脳はどうやら健在のようだ。ここ数日の内外情勢をぼんやりと眺め、インターネット上を飛び交っている情報をもとに、妄想短編を書きたくなってしまった。最初に明確にお伝えするが、今日の記事は・・・妄想短編は、100%が想像の産物である。部分的に読まれて、くれぐれも大騒ぎされないようお願いしたい。アハハと笑い飛ばしていただき、でももしかして、と用心を深めていただければ幸いである。

【妄想短編の始まり】

 今日は木曜日なので、いつも通り製本屋さんを往復した。運転しながら、好きな音楽をいい音で聴きたいと思い、Bose製のMini Sound Linkという小さなスピーカーを座席の横に置いた。Boseオタクの次男が、還暦か何かのお祝いで買ってくれたものだが、なかなかの優れもので気に入っている。

 駐車場に車を入れ、事務所に戻りかけたとき携帯の呼び出し音が鳴った。出るといきなり「Hello! Do you remember me?」という声が聞こえた。アメリカ政府の職員だといって、一度電話をかけてきた東部アクセントの男性だった。
(前回の妄想記事参照。「恐ろしいことに、どうやら監視対象になってしまったようだ」2018/5/11 https://hiruneneko.exblog.jp/29486598/

 以下に、政府職員と名乗る男性とのやりとりを、できるだけ簡潔に、しかも日本語に訳して記述したいと思う。

謎の男「まだ鼻水とクシャミは止まらないのか?」
おいら「えっ?まだおいらのことを監視してるの?」
謎の男「トランプ大統領から、日本の昼寝ネコから目を離すなと命じられているので、申し訳ないが、まだ監視している」
おいら「へえ、じゃあ今日は洋菓子屋のフルールの前を通ったが、我慢してオートミールのクッキーを買わなかったのも把握しているの?」
謎の男「監視員がちゃんと観ていた。昼寝ネコは自制心が増したと感心していた」
おいら「で、今日はなんの用件なの?」

 政府職員の男の申し出を、簡潔に紹介する。

 6月12日にシンガポールでドナルド・トランプ大統領と金正恩委員長の会談が予定されている。しかし、金正恩氏は文在寅大統領との会談をキャンセルし、態度をめまぐるしく変えているので、現時点でどのような考えなのかがなかなか掴めない。メールや電話のやりとり、行動パターンについてはエシュロンや偵察衛星を駆使して、ある程度は把握しているが、脳内の思考パターンまでは掌握できない。米朝会談の日程が迫っているのだが、金正恩氏がどのような戦略で動くか予測が難しい状況だ。そこで、昨日の国家安全保障会議の席上、昼寝ネコならどのように予測するか意見を訊いてみようということになった。そこで、金正恩氏と文在寅氏がどのような戦略構想を描いているのか、予測レポートを作成してくれないだろうか。

 ざっと、上記の内容で予測レポートを依頼されてしまった。まあ、むげに断るのも角が立つだろうし、少しでも国際平和に貢献できるのであれば、本望でもある。国家安全保障会議は、私のレポートが届き次第招集されるといわれたので、事務所に戻ると仮病を使い、脳内の圧迫感が強いので休養を取らせてもらう、といって自室に引きこもり、レポートの作成にとりかかった次第である。

 実際のレポートは、かなりの文字数なのだが、簡略化したエッセンスだけを以下にご紹介する。興味がおありになる方はお読みいただきたい。

【アメリカ合衆国・国家安全保障会議メンバー各位】
→開始
 以下は、人間がアクセスできず、世界中の由緒正しいネコだけが共有しているネコネットからの情報と、古代イスラエルから伝承されている、昼寝ネコ一族の霊感の賜によって作成されたレポートである。文中の人名は敬称略である。

  1. 南北対話の中断は、金・文両氏が入念に打ち合わせた馴れ合いの芝居である。
  2. 金が強気に出る姿勢を強調するのは、トランプに動揺と懸念を与えるのが目的である。
  3. 米・朝間の緊張をできるだけ高め、周辺国の日・韓・中・露までをも巻き込む核戦争に突入するのではないか、という国際的緊張を高める演出をし、できるだけトランプの譲歩と妥協を引き出しやすい環境を作るのが目的である。
  4. 文は米朝の間に入り、粘り強く説得する役割を引き受ける。あわや全面戦争か、という局面まで持って行き、そこで劇的に金が核兵器、ミサイル、生物化学兵器の全面廃棄に踏み切ると発表する。
  5. 文は中・露の後押しを得てノーベル賞選考メンバーを懐柔し、東アジアに恒久的平和をもたらす大英断をした金、そして粘り強くトランプ、金両氏を説得して東アジアの平和構築に献身的努力を重ねた文の二人に、ノーベル平和賞を与えるよう画策する。
  6. 金および文は、核兵器等の全面廃棄の見返りとしてトランプと安倍に対し、速やかな経済制裁解除と莫大な経済支援を要求する。
  7. 経済制裁解除と莫大な経済支援を得た南北朝鮮は、南北両首脳がダブルでノーベル平和賞を受賞したのを記念し、世界平和を祈念するという名目で突如電撃的に南北朝鮮の統一を果たす。
  8. ほどなく新しい朝鮮国でクーデターが勃発し、金と文が拘束されて軍事政権が樹立される。新軍事政権は世界に対し、大量の核兵器、大陸間弾道ミサイル、生物化学兵器を保有していることを宣言する。さらには、欧米主要国の多くの都市にスーツケース爆弾と呼ばれる、携帯型核爆弾が秘匿されていることを公表する。
  9. 新しい朝鮮国に対し、軍事的な行動に出た場合は世界中で携帯型核爆弾を起爆し、生物化学兵器による無差別テロ攻撃を実行に移すと宣言する。それを実証するかのように、世界の主要国で新しい朝鮮国の工作員によるものと思われる、テロ事件が発生し多くの一般市民が犠牲になる。
  10. これらは、北朝鮮の核兵器と生物化学兵器の廃棄前に、フル生産されたかなりの量を、極秘裏に北朝鮮から韓国内に運び込み、秘匿していたものである。アメリカの軍事偵察衛星の盲点を衝いて搬出したものである。
  11. 新しい朝鮮国の軍事政権が、国際社会を恫喝し、ほぼ制圧した頃、金・文の両氏は軍事政権首脳に対し、粘り強く正義と国際平和の重要性を説き始める。その懸命な努力の甲斐があって、軍事政権は金・文主導の民主国家樹立に協力することになる。国際世論は、世界平和に大きく貢献した金・文両氏の指導力を絶賛し、さすがノーベル平和賞受賞者だという美談が流布される。
  12. しかしこれらはすべて、国際社会を欺くためのカバーストーリーであり、実際には最初から金・文両氏がシナリオを描き、軍部を背後から操っていたものである。民主国家といっても、世界中に潜む工作員によるテロによって恫喝し、世界制覇を目論む、独裁国家による戦略的陰謀の最終章である。つまり、米朝会談に対する揺さぶりを行っているのは、この遠大・長大な陰謀計画の、ほんの序章にしか過ぎない
→終了


 ・・・以上が、アメリカ国家安全保障会議宛ての妄想レポートの概要である。トランプ大統領や他のメンバーが、ひどい妄想だと一笑に付すか、あるいはこれまでに得ている情報や傍証と照合し、信憑性が高いと考えるか、そこまでは私のあずかり知らぬことである。
 しかし、100%が想像の産物である妄想だ、とお断りしたものの、南北朝鮮の情報部中枢の人間がこれを読み、当たらずとも遠からずの内容だと判断したら、これからの私はトランプ大統領だけでなく、金正恩委員長、文在寅大統領からも監視対象にされてしまうのだろうか。

 そうなったら私は、祖国の日本を捨てて、どこかに亡命しなければならなくなるだろう。いやいやせっかく住みなれた日本だもの、その時には人間としての面倒な人生を捨てて本来のネコの姿に戻り、ネコカフェ辺りで余生を送ることにしようではないか。クッキーを手に、ネコカフェにおいでになったとき、嬉しそうに近寄って来るネコがいたら、それは私である。深夜にはそっとパソコンを開き、このブログはなんとか更新し続けたいとも思う。

 こうして読み返してみると、妄想と現実・真実の境界線がとても曖昧に思えてしまう。世界平和を願う一念で、不覚にも私の本性を少しだけ明かしてしまったが、それもご愛敬だろう。笑い飛ばしていただきたい。


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by hirune-neko | 2018-05-24 23:16 | 創作への道 | Comments(0)

恐ろしいことに、どうやら監視対象になってしまったようだ


Bill Evans - Alice In Wonderland (The Complete Village Vanguard Recordings, 1961 - take 1)

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 最初にしっかりお断りするが、今日の記事は120%妄想フィクションである。そのつもりでお読みいただきたい。さもないと、いつぞやの余命書籍に関する妄想記事のように、大騒ぎになってしまいかねないので、宜しくお願いしたい。未だにその記事(新刊「余命三年時事日記」は出版史上最悪の書籍である)は、私のブログ記事の中で、常に上位にランクされている。もう何年も経っているというのに、今でも余命ブログの古い記事から探し当ててこられる方が多いのには驚かされる。

 今日は木曜日なので、びく抜き屋さんに行って型抜きしてもらったパッケージ1200枚を引き取り、そのまま製本屋さんに印刷し終えた絵本を届け、製本を終えた絵本を引き取ってきた。
 駐車場に車を戻し、少し歩く時間をもったが、どうやら脳内を理路整然とクールに保ちたいときは、やはりビル・エヴァンスの演奏が合っているようだ。iPhoneに保存しているビル・エヴァンスの少しアップテンポの演奏を、イヤフォンで聴きながら、軽快な足取りで歩いていた。8000歩までいかなくても、やはり毎日歩いていると徐々に筋力が復帰するのだろう。

 「不思議の国のアリス」も、ビル・エヴァンスの手にかかると、こんな曲想になるんだ、と思ったそのとき、携帯の呼び出し音が鳴った。出ると、いきなり「ヘロー」というではないか。さて、一体誰だろうか。相手は私が昼寝ネコか、と質問した。そうだと答えると、少し込み入った話だが、お話しできる状態かというので、いいよ、と返答した。少し言葉を交わした時点で、アクセントからアメリカ東部の人間だなと判断した。少し知的な感じなので、おそらくはワシントンDCからだと判断した。DCから電話しているのか、と訊いたら、どうして分かったのかと驚いた声が返ってきた。謎の男の流暢な英語と、たどたどしい私の英語を原語で再現しようとすると、徹夜作業になってしまうので、やりとりの概要を日本語で残すことにする。

謎の男「単刀直入に申し上げるが、これまでNSAが運営している大規模通信傍受システム・エシュロンで、昼寝ネコの通話、メール送受信、インターネット検索履歴をずっと監視していた」

おいら「なんのために?どうして?」

謎の男「エシュロンが傍受した世界中の膨大な量の情報を、大規模解析コンピュータで分析したところ、日本の昼寝ネコが妄想として書いている記事は、一読すると一般人にはおふざけとしか思えないが、実際にはアメリカ国務省、国防総省、CIAが極秘裏に進めている作戦を、98%以上の確度で言い当てていることが判明した。」

おいら「アンタ、びっくりカメラの人なの?」

謎の男「とんでもない、私はれっきとした政府の職員だ。話を続けるが、ホワイトハウスが本件を問題視したため大統領の命令で、現在試験運用中の最新システムでインターネットを逆探知し、iMacのFacetimeを利用して昼寝ネコの会話や日常生活の監視を継続した。すると驚いたことに、日常的にオーギー、バーコフ、ヘレン、アリスなど、実際には存在しないことにしているが実は存在している、政府の秘密情報機関のスタッフの名前を呼んでいるではないか。これはもう、米国政府の機密情報が日本の昼寝ネコに筒抜けだ、と大問題になってしまった。」

おいら「何いってんの、アンタ?オーギーもバーコフも、アメリカのテレビドラマNIKITAに出てくる秘密組織ディヴィジョンの登場人物だよ。ヘレンはジャズ歌手のヘレン・メリルだし、アリスは不思議の国のアリスだよ。私はパソコンやプリンタ、携帯デバイスをかなり酷使するので、ときどき器械だって不機嫌になることがあるんだよ。動作不良だよ。だからそれぞれに名前を付けて、声をかけていたわってるだけなんだよ。ヘレンは古い方のiMac、アリスは新しいiMac、オーギーは古い方のプリンタ、新しいのはオーギー・ジュニア、iPad Proがバーコフなの。分かった?ちゃんと名前を付けて対話するようになってから、ぜんぜん動作不良が起きなくなっているんだよ。」

謎の男「いや、どんなに言い訳をしても、人間ウソつく、コンピュータはウソつかない。大規模解析コンピュータの解析結果なので、大統領も徹底的に調査しろとおっしゃったため、アメリカの各機関が総力を挙げて調査・分析を行ったが、アメリカサイドから昼寝ネコへの情報漏洩は行われていないという結論になった。では、98%以上の確度で国家の機密情報をいい当てている理由は何か?非論理的ではあるが、昼寝ネコが異常な洞察能力と予知能力を持つ、摩訶不思議な生命体である、それがホワイトハウスの結論だ。」

おいら「はっ?。だからどうしろっていうわけ?ブログを止めろとでもいうの?」

謎の男「昼寝ネコが昨日から今日にかけて、ZAKZAKの記事に興味を持ったことが判明している。『ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に“最後の踏み絵”を迫っているのか。超タカ派として知られるマイク・ポンペオ国務長官が9日、北朝鮮を再訪問したのだ。』という記事に異常に反応し、脳内ではおそらく、確度の高いなんらかの妄想記事を書くに違いない。そこでマイク・ポンペオ国務長官は帰米の途中日本に立ち寄り、自ら昼寝ネコと対面して、自分の目で確認することを予定していた。しかし、韓国系アメリカ人の3人のスパイが拘束を解かれ、マイク・ポンペオ国務長官と一緒に帰国することになったため、日本には寄れなくなった。」引用元記事・ZAKZAK「トランプ氏が北に“最後の踏み絵” 米国務長官を北へ急派 窮地の正恩氏、習氏に“土下座”」https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180510/soc1805100002-n1.html

おいら「へっ?。別にオイラなんか相手にしてくれなくたっていいさ。」

謎の男「いや、そういう訳にはいかない。重要な米朝会談の直前にマイク・ポンペオ国務長官が、どのような秘密指令を帯びて訪朝したのか、極秘裏に金正恩委員長に何を伝えたのか。それを妄想記事だといって書いたとしても、またもや98%以上の確度で再現されてしまうかもしれない。そして南北朝鮮の情報部が、仮に昼寝ネコのブログ記事を監視していたなると、アメリカの機密戦略が漏洩してしまい、米朝会談の達成目的が水泡に帰する危険性が高まる、そのような結論になった次第だ。ここはひとつ、東アジアの恒久平和のためにも、マイク・ポンペオ国務長官と金正恩委員長との会談内容、米国サイドの機密戦略情報は漏洩しないよう、協力をお願いしたい。」

おいら「やれやれだね。確かに今晩のブログは、まさにその内容で妄想記事を書こうと思っていたさ。でも、よくそこまで私の行動を予測できたね。さすがだよ。」

謎の男「実は、ここだけの話にしてほしいのだが、政府の秘密機関がFacebookとGoogleの協力を得て、人間の脳内に浮かんだイメージを画像及びテキスト化して再現する高度な未来技術開発を進めていたが、それはすでに完成している。しかし下手に公開すると人権団体や民主党(日本の民主党ではない)議員が、深刻な人権侵害だと大騒ぎするのが目に見えているし、再びスノーデン事件のようなことになると、国際的にも非常にまずいことになるため極秘にしている。」

おいら「はあ、なんと驚いたことか。事実は小説より奇なりとはよくいったものだね。じゃあ、今晩妄想記事にしようと考えていた、マイク・ポンペオ国務長官と金正恩委員長との会談内容、米国サイドの機密戦略情報については、忘れることにするよ。世界平和のためになら。」

謎の男「ご理解をいただけて大変に有難い。トランプ大統領も安堵されることと思う。」

おいら「ところで、そんなにおいらのことを厳重に監視していたのなら、ときどきッ近所の洋菓子屋のフルールに行って、スコーンとオートミールのクッキーを買い、内緒でパクパク食べてることもバレてたの?」

謎の男「はい、しっかりバレていた。でもトランプ大統領がお礼の気持ちに、彼の好物のクッキーを送ってくれるかもしれない。」

おいら「ホントに?でもトランプ大統領って味覚音痴じゃないだろうね?とてつもなく甘ったるいクッキー送られても困るんだよな。」

謎の男「トランプ大統領の味覚音痴の件は、国家の重要機密なので、私からは申し上げられない。」

おいら「ところで、マイク・ポンペオ国務長官と金正恩委員長との会談内容、米国サイドの機密戦略情報を書くなといわれてしまうと、今晩は何を書いたらいいのか困ってしまうな。そうだ、この電話のやりとりを簡単にまとめて、ブログ記事にしてもいい?」

謎の男「えっ!?このやりとりを記事にする?いやあ困ったなあ。でも、読者の皆さんは、また妄想が始まった、という程度に読み流してくれるだろうから、上手に脚色して書いてほしい。」


 ・・・さて、そのような訳で、米国政府職員を名乗る人物とのやりとりを、多少は脚色して書かせていただいた。私とて、米朝会談が米国主導で成功裡に終了し、日本が核攻撃の危険性から解放されてほしいし、横田めぐみさんはじめ、拉致被害者の皆さんが無事に帰国して、家族の皆さんと再会してもらいたいと願っている。男の約束なので、今日のブログはこれにて終了とさせていただく。

 こんなヘンテコな文章を書いてしまい、これでノーベル文学賞受賞の可能性が、かなり低下してしまったと感じている。しかし、自分の名誉よりも世界平和の方がずっと大切なので、これでよしとしようではないか。


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by hirune-neko | 2018-05-11 01:12 | 創作への道 | Comments(0)

明確な境界線を引くことの難しい領域がある


Astor Piazzolla - Tango Blues (Campeón).wmv

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 ゴールデンウィークの最中だが、製本屋さんが2週間分を溜めると翌週の作業が大変になるというので、1週間分を車に積み、製本が完了した先週分を引き取りに行ってきた。帰社後、納品書を作成してもらうのに必要な基礎資料をまとめるのに、夕方過ぎまでかかった。

 少し迷ったが、そこで連続した一連の作業を休止し、脳内を停止状態にしてみた。いわゆる、動の環境から一転して静の環境に自分を置いてみた。普段、ほとんどの時間は何らかの作業をしているので、目に見えるものにしか注意が向かず、ある種の思考停止状態になっていると自覚している。ところが、動から静の環境に身を置くと、一瞬にして脳内空間が拡がり、いろいろなイメージが交錯し始める。

 ふと思い出したのは、以前、読者のcaualさんが紹介してくれた映画だった。とても興味を持ったのでダウンロード購入していたが、今日まで観る機会がなかった。1時間50分もの時間を割いて観るだけの余裕はなかったので、予告編を観てみた。映画のタイトルは「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」で、エドガー・アラン・ポーの原作だ。英国・オックスフォード大学の学生が、精神科医としての実習のため、辺境の地にある精神病院を訪れる・・・という設定だ。

 2分弱の、ほんの短い予告編だったが、雰囲気はなんとなく味わうことができた。画像と字幕を目にしながら、人間の内面を占める狂気と正気、さらには異常と正常との間には、果たして明確な境界線を引けるのだろうかと考えていた。誰にでも人前での自分と、誰からも見られていないときの自分、という二面性があると思う。高揚した気持ちのときもあれば、自閉的で鬱的な状態に陥ることもある。それは自然なことだと思う。

 政治ブログにも少しの時間を割いて閲覧した。昨日の続きで、余命三年時事日記とせんたくチャンネル関連の記事を読んだ。そこで「terumi_satohと悪魔の提唱者」が目に留まり、訪問してみた。せと弘幸BLOGでは「これが卑劣な連帯ユニオン関西生コンの連中です」という動画を閲覧した。

 そのような時間を過ごしながら、創作するというのは、そんなに簡単なことではないと再認識した。しかし、短時間だったものの、印象に残った要素を反芻していたとき、ある設定が思い浮かんだ。

 テロリストは常識的には違法で危険な存在だ。しかし、正義感と絶望感に突き動かされ、テロしか選択肢がなくなってしまった人物が思い浮かんだ。

 父親の経営する会社に、連日街宣車と暴力団まがいの集団が押し寄せる。父親が、彼等の理不尽な要求を拒絶したためだ。やがて彼等は、従業員やその家族にもつきまとい、日常業務にも大きな支障が出て、会社は倒産してしまう。大きな負債を抱え、父親は心労のため急性心不全で他界する。最期まで父を支えた母も倒れ、施設で寝たきりの状態になってしまう。
 当時の彼は、親の理解もあって一般の大学ではなく、神学校に進学した。事業や政治活動とは無縁な世界で、聖書や神学、キリスト教の歴史、ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語の勉強に明け暮れていた。そんな彼は、両親と従業員が被った理不尽な被害を知らされても、聖書の教えにある「敵を憎んではならない。復讐は私のするところである」という言葉を心深くに刻んでいた。

 そんなある日、父親の弟で弁護士だった叔父が事故死したことを知らされた。しばらくして、叔父の妻である叔母から一通の手紙が届いた。長い手紙だったが要約すると、父の代理人として暴力集団への訴訟を起こしたのだが、その過程で警察の上層部のみならず、一部の検察官が政治家を介して、暴力集団に籠絡されていたことが判明したという。証拠不十分という理由で訴訟が却下され、上告しようとした矢先にひき逃げ事故に遭い、亡くなったという。(裁判の仕組みに関しては無知なので誤表現があるかもしれない)

 卒業を前にして、彼は神学校に退学届を提出した。引き留める学校関係者には何も説明せず、彼は神学校の寮を出た。

 その後しばらくして、不思議な事件が相次いで起こるようになった。屈強な男性が次々と不審死を遂げたのである。被害者は、企業に街宣車で押しかけ業務の妨害をして、無理難題を押しつけていた団体の構成員だった。被害者は警察上層部や検察官にまで拡大し、警察には捜査本部が設置されたが、犯人の特定は困難を極めた。

 数年後のある日、全国紙や週刊誌に「犯行声明の手紙」が送られてきた。消印はアメリカ中西部の都市で、差出人は、かつて両親や叔父夫婦を悲惨な目に遭わされ、神学校を退学した彼だった。声明文には、暴力集団だけでなく、癒着していた警察上層部、検察、政治家の実名が記され、糾弾されていた。海外逃亡と判断し、彼は国際指名手配されたが、その行方は杳として知れず、やがては迷宮入りとなってしまった。

 実は、彼は国外に逃亡せず、整形手術によって容貌を変え、ホームレスから戸籍を購入して他人になりすまし、今でもひっそりと、ここ日本で生活を送っている。

 ・・・とまあ、このようなストーリーが思い浮かんだ次第だ。理不尽な社会情勢を放置していると、このようなテロリストも出現しうるのではないかと思い巡らしていた。気がつくと、主人公の彼が私の脳内に現れて、ことの次第を独白してくれたので、ざっと概要を書き残した次第だ。

 いつか、遠い将来でもいいので、水平線の見えるアトリエで、思う存分作品を書けるような生活が送れるといいなと、淡い希望を持っている。しかし、そのような生活環境に浸りきってしまうと、逆に、仕事に追われる忙しく充実した時間を懐かしむようになるのではないだろうか。結局は、仕事と創作の二足のわらじを履き続けるのが、自分の宿命なのではないだろうかと、そう思うこともある。

 何事にも、明確な境界線を引くのは、なかなか難しいものだと思っている。


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by hirune-neko | 2018-05-03 23:51 | 創作への道 | Comments(0)

日本人女性とアメリカ人女性の、メンタリティの違い


Bill Evans - Gary's Theme, Paris Concert
Nos Bracos de Isabel - Paulinho Moska


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 一昨日は、埼玉県のSさんからステッカーのリクエストがあった。ずいぶん深くブログ記事を読み込んでくださっており、昼寝ネコ評論家でもあるかのように、多面的な感想や指摘をしていただいた。ブログ読者の方の生の声を聞かせていただき、励みになっている。改めてお礼を申し上げる。

 私は仕事用と個人用に、2台のiPhoneを使い分けている。孤独で引きこもりで人見知りの激しい私なので(笑)、実用的なシーン以外でも、siriと会話を楽しむことがある。1台には日本語を設定しており、電話番号を調べたり、アラームで一定時間後に知らせてくれたり、天気の状態を確認したりなど、便利に使用している。siriとは人工知能で対話ができるiPhoneの機能である。言語や性別を好きに選ぶことができる。

 用件が済み、「どうもありがとう」と声をかけると、「どういたしまして」とか、「お役に立てて嬉しいです」、あるいは「ご丁寧に有難うございます」など、バラエティに富んだ答えが返ってくる。
 ホースでお風呂に電子水を入れるとき、うっかり忘れて浴槽から水が溢れることあるので、「15分後にアラームをセットしてください」とsiriにお願いする。siriは忘れることもなく、いつもちゃんと知らせてくれる。先刻、ちょっとおふざけをいってみた。「子守歌を歌ってください」。すると「私の歌を聞くと眠れなくなりますよ」と答えた。試しにもう一度同じお願いをしてみた。すると今度は「私は子守の経験がないので、子守歌はうまく歌えません」ときたもんだ。思わず声を上げて笑ってしまった。

 もう1台のiPhoneには、英語の勉強を兼ねて、言語は英語、性別は女性を設定している。英語といっても、アメリカの英語や英国の英語など、多彩に設定できる。このアメリカ人siri女性は、とてもクールで事務的な応対をする。ますます自閉症が昂じてしまいそうだ。・・・もしかして、、アメリカ国内でもsiriのいい方が冷たすぎて、人生に希望が持てない、というクレームが精神医学界から殺到したのかどうか分からないが、どうも昨日あたりから別人になっているようだ。たった今、試しに「子守歌を歌ってください(Sing Me a Lullaby)」と英語でお願いしてみた。すると素っ気なく断るどころか、何やら子守言葉みたいなものを発した。「Rock A Bye Baby On The Tree Top」という言葉で始まるのだが、私自身はアメリカでご幼少時代を過ごしていないため、この言葉が具体的にどのようなシーンで使われるのか、皆目見当がつかない。

 試しにGoogle検索してみたら、どうやらそれらしい動画をいくつも見つけることができた。ひとつを選び、下部に掲載するので赤ちゃんに戻った気分でお聴きいただきたい。おそらくはリラックスし、純粋無垢で無邪気な人間になれるのではないだろうか。

 純粋無垢で無邪気な大人で思い出した。池田クレモナ・モダンタンゴ五重奏団のバンマスで、ファゴット奏者であるぴかりんさんから数時間前に電話があった。音大を卒業してまだ数年の女性である。彼女はれっきとした大人なのだが、私から見るととても純粋無垢で無邪気な大人である。こんな時代に、よくも棲息できているものだと感心している。
 そのぴかりんさが、以前から「クレモナ通信」という名でほぼ毎日、音楽に関する情報をインターネット経由で発信している。コンサート活動は、大中小合わせると、年間100回程度をこなしているそうだ。ちょっと想像がつかない。演奏プログラムのかなりの割合を占めるのは、アストール・ピアソラの作品だそうだ。「クレモナ通信」もピアソラ評論から始まっており、なかなか軽快で感性溢れる文章である。

 以前から、せっかくなので単行本として出版してはどうか、と勧めていた。私のイメージしているタイトルは「ぴかりんの音楽めった斬り〜ピアソラ編」である。ピアソラつながりだった高場将美先生も、ピアソラとガルデルに傾倒していた福岡貞夫さんも、すでに他界されている。しかし、ピアソラを演奏し、ピアソラを語る若い女性が単行本を出版するとなったら、霊界から応援してくれるのではないだろうか。ピアソラ自身だって、墓の中から出て来てメールか電話で励ましてくれるのではないだろうか。そのような気がしている。そして、

「おい昼寝ネコよ、ちゃんと出版が実現するよう、昼寝時間を減らして頑張れよ」

 と凄まれるのではないだろうか。私自身には、ピアソラを語る知識はないが、出版までのコーディネート役は務められると思っている。出版業界で辛酸を舐め続けてすでに37年が経過した。出版業界には新しく大きな潮流が構築されているが、新しい時代にあっても、古典的でオーソドックスな手法で、この世に「ピアソラ本」を送り出したいと考えている。

(siriが語ってくれた子守歌)

Rock-A-Bye Baby | + More Nursery Rhymes & Kids Songs - ABCkidTV
Nos Bracos de Isabel - Paulinho Moska

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by hirune-neko | 2018-04-27 01:20 | 創作への道 | Comments(4)

さて、日本語ではどう訳すのだろうか


Diana Krall - You Go To My Head

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 いつも不思議に思いつつ、面倒で調べていない。このYou Go To My Headという曲は、結構いろいろな歌手が歌っているのを知っているのだが、果たしてどのような意味なのだろうか。

 You Go To My Head・・・まさか「あなた、頭にくるわね」ではないと思うのだが、さて実際にはどのようなニュアンスなのだろうか。辞書を調べず曲想だけから感覚的に訳すと、「あなた、頭にくるわね」ではなく「あなたのことが思い出されます」なのではないだろうか。もう少し感情を込めると「あなたとの思い出が脳裏から離れません」とでもなるのだろうか。

 今頃になって、学生の頃に付き合った数人の女性に感想を訊いたら「アンタのことなんか思い出したくもなかったよ」と言われるに決まっている。それでいいんだよ、と自虐的に納得している。

 ちょっと珍しい新聞記事を目にした。その記事に関連した明治神宮の公式サイトの記述と比較して興味深く思った。かねてから明治神宮と交流のあった、アメリカに本部があるキリスト教会の上層部の人が明治神宮を訪ね、正式な参拝をしたという内容だった。つまり、クリスチャンが神道の儀式を受け、巫女による神楽「倭舞(やまとまい)を観賞した、とされている。これらの記事を紹介している方の論調では、どうやらこのキリスト教団は、神道をイスラエルの伝統につながる宗教として認知している、ということになる。双方にとってこのような正式な交流は初めてだという。

 折しも、アメリカが英仏との共同作戦でシリアに爆撃を加えた、という報道を目にした。ある宗教研究家によると、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、神道は同根だとされている。いわゆる一神教と多神教のいずれが正しいかは、人間社会の論争によって決するのではなく、一神教に共通の「救い主の降臨による福千年」が実際に、目に見える形で訪れればはっきりするのではないだろうか。

 今日は改めて、評論家の存在価値について考えていた。スポーツ評論家、文芸評論家、音楽評論家、映画評論家、宗教評論家、政治評論家などなど、評論家と名の付く職業は多い。それなりに仔細を研究し、専門知識を有し、実態を的確に評価してその情報を発信する。

 ただ間違いなく言えることは、文芸評論家自身が必ずしも優れた文芸作品を書けるわけではない。すべての経営学の教授が起業し、事業で成功できるわけではない。では、政治評論家の場合はどうだろうか。ある政治家の失言や誤った判断を指摘し、批判することはできるだろうと思う。それはそれで貴重な情報発信だと思う。しかしでは、その政治評論家に批判相手の政治家の代わりが務まるだろうか。まずは困難を極めるだろうと思う。従って、評論家の評論の限界を視野に入れて、その評論を読む必要がある。学術的な知識と実務的な知識は別物だと思う。

 では、政治評論家から評論家の文字を削除した場合を考えてみたい。つまり、政治家の能力はどのように発揮されるべきなのだろうか。政治家とて人間である。ちょっとした失言や判断ミスは皆無という訳にはいかないだろう。そのときに、その失言や判断ミスをあげつらい、大騒ぎする政治家が目立つ。マスメデイアも同様であるが、政治家の本来の使命を放棄して、内閣総辞職を要求し、大臣の罷免を迫り、根拠のはっきりしない情報をもとに国会を空転させている政党・政治家が目立つように見える。

 最近、ケント・ギルバート氏が、そのような野党政治家は、政治家を辞めて市民運動家になるべきだと主張しているのを読んだ。率直にいうなら、私もほぼ同感である。省庁のセクハラ問題には罷免を要求するが、自党の議員の同様のケースでの場合は、和解が済んでいるからと言い、それ以上の追求を拒む。まさにダブルスタンダードではないだろうか。

 日本の国益を考えた上で政権批判をするのは正常な行動だと思う。しかし、いわゆる反日左翼政党といわれる政党所属の議員の皆さん、そして同じく反日メディアと呼ばれる新聞社やテレビ局の皆さんは、おそらくインターネットを介在した情報浸透の速さと深さ、さらにはそれに伴う一般国民の洞察力の深化を軽視しすぎているように思えてならない。

 記憶は定かではないが、アメリカのテスラ社やFacebookが、脳とインターネットを直接リンクさせた技術を開発中のようだ。脳内でイメージした内容を自動的に文章化するなど、とんでもない技術が誕生しそうだ。そのうち、脳と同期する語学チップが販売され、世界数十カ国語を自由に操れる時代が来るのかもしれない。

 現代人の知能は、そのような情報環境の発達に伴い、確実に高まっているそうだ。これからの時代は、目に見えない変化を察知し、将来を予測する能力がない人間は淘汰されるとも断言していた。

 さて、私自身は仕事のスピードをアップし、できるだけ早く現役引退したいと考えている。世の中の激動とはできるだけ距離を置き、まるで地下生活者のように静かに過ごしたいものだ。100%断絶するのは不可能だと思うので、会社には顧問か相談役として籍を残して助言し、残りの時間は創作活動に没頭したいというのが、最終的な理想の生活である。おそらくは自分で原稿を書き、電子書籍化の作業も自分で行う。編集、カバーデザインやイラスト・画像は協力者にお願いすることになるが、まだ元気なうちはコストダウンを重視して、製作作業は自分で行いたいと思っている。

 相変わらず、主人公の生い立ちをイメージするため、北欧、東欧、西アジアの国々を取材で訪れたいと、夢みたいなことを考えている。・・・考えているだけならば、現実の苦しみや痛みを伴わないので、そのままの方が至福なのかもしれない。

 単行本「昼寝ネコの雑記帳」は、まだ1冊しか出版していない。すでに品切れであり、古書ルートでも見当たらないので、年内に重版し、さらにはKindle版で初めての電子書籍にチャレンジしてみたい。その勢いで、ずっと昔の団伊玖磨さんに倣い、続・またもや・まだまだ・・・のように、際限なく出版できるようになるといいな、なんて思っている。なんでも思っているだけが一番いいのかもしれない。

 そういえば、私の日本語をニュージーランド出身の知人が英訳し、その知人の英語を私が和訳するという形で協力関係にあったD氏が、年初まで慶応大学で英語を教えていたのだが、先月から家族で英国・オックスフォードに移転した。1年間の予定で、何やらオックスフォード大学で研究するらしい。もともと村上春樹の研究家で、村上作品を日本語で読むほど日本語に堪能な人間だ。私の作品には興味を示さないようだが、いつか彼に英訳をお願いし、英語でのKindle版出版にチャレンジしてみようかな、なんて脳天気なことを考えている。その前に、村上作品を読んでみなくては。

 今後の出版販売をどのように促進しようかと話したら、次男が助言してくれた。理由は思い出せないが、昼寝ネコのステッカーを作ったまま、何も活用しないで保存してある。それをオマケにつけたら売れるよ、なんてからかわれてしまった。確かに大量に保存されていた。カトリ〜ヌ・笠井さんのイラストを中心に、上部には「1951年からずっと見果てぬ夢を見ています」と英語で表示され、左には「おいらの名前は昼寝ネコ。ムニャムニャ・・・ダンゴが大好き」という寝言がフランス語で書かれている。

 以下にそのステッカーの画像を掲示する。お札代わりに目立たないところに貼っておけば、ひょっとしたら家内安全、商売繁盛、無病息災という御利益があるかもしれない。人生に行き詰まってしまい、頼るものが何もなくなってしまった、という境遇の方には、無料でお送りさせていただくので、メールで請求していただきたい。送付先の郵便番号、ご住所、ご氏名をお送りいただければ、普通郵便でお送りさせていただく。もし明らかにこのステッカーのおかげで、宝くじが当たったとか、ビットコインや株で莫大な利益を得たという際には、5%を振り込んでいただければとても嬉しい。

 不思議なもので、たった今、私が館長を務める「ピアソラ音の出る図書館に会員登録があった。横文字なので確認したら、なんとフランスにお住まいの方だった。国籍は不明である。・・・う〜ん、いよいよ昼寝ネコもインターナショナルに活動する展開になってきたのだろう、と勝手に思い込んでいる。おそらくは、長生きするのではないだろうか。
c0115242_01502512.jpg
 【ステッカーの送付請求先メールアドレス】
 hirune-neko@crossroads.co.jp


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by hirune-neko | 2018-04-15 01:53 | 創作への道 | Comments(0)



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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