昼寝ネコの雑記帳

2019年 02月 10日 ( 1 )

音楽を選べず、言葉が出てこない

Bill Evans - "All Mine (Minha)
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 ようやく選曲ができた。あれこれ聴いてもしっくりこなくて、結局はビル・エヴァンスを数十曲聴き、この曲が一番違和感がなかった。

 一般のビジネスの世界では、売上金額が増えることが最終的な尺度であり、成功の基準になっているように感じる。昨今、次々と表面化している、カルロス・ゴーン氏の、日産やルノーの私物化金額を見ていると、いとも簡単に十億単位の数字が並び、唖然としてしまう。同時に、十億単位のお金を流用されても、なんとかなっている企業の事業規模など、私には想像もできない。


 巨大な豪華客船が思い浮かぶ。タイタニックでもなんでもいい。河幅数キロの大河を、ゆっくりと下流に向かって航行している。船内のレストランやバーでは、多くの船客が語らい、嬌声を上げている。ダンスホールではバンドの演奏に合わせ、着飾った男女が、笑みを浮かべてステップを踏んでいる。

 船は、ある地点で折り返し、上流に向かうことになっていた。クルーの一人が見張り役を務めていたが、徐々に折り返し地点が近づいていることは、ちゃんと認識していた。そのとき突然、前夜の光景が苦渋に満ちた感情とともに、記憶の中から鮮明に甦った。

 1年ほど付き合い、プロポーズしようと思っていた女性が、男性と腕を組み、顔いっぱいに笑顔を浮かべて、幸せそうな表情でバーから出て来る姿を、偶然目にしてしまった。

 どんな関係なのだろうか。とても親しそうな間柄に見えた。単なる友だちなのだろうか。そうとは思えない・・・いつしか、頭の中では疑念と迷いが渦巻き、収拾がつかなくなっていた。

 そのとき、鉄製の階段を足早に駆け上がりながら、大声で何かを叫ぶ声が聞こえ、我に返った。川面の流れがとても速くなっており、ほぼ平坦だった水面に荒い波しぶきが音を立てていた。

 いつの間にか折り返し地点をかなり過ぎてしまい、下流の大瀑布に近づいてしまっていることが分かった。船長は彼を大声で叱責し、早口で怒鳴りながら、機関士や操縦士に次々と指示を出した。

 暗闇の向こうからは、大瀑布の巨大な水量が落下する音が聞こえてきた。舵を切り、必死の形相で船首を上流に向けようと、クルーたちは懸命の努力を傾けた。

 ・・・この際、その巨大な豪華客船が、どのような結末を辿ったかはさして重要ではない。

 周りの空気を読み、如才なく振る舞い、大事な顧客に忖度することにより、大きな流れに乗り、一見すると順調に推移していると思われた事業が、予期し得なかった要因により、一気に破綻に向かってしまうことがある。

 事業だけでなく、人生も同様である。どれだけ細心の注意を払っていても、人間は全てを100%見通せる訳ではない。水が高い方から低い方に流れるがごとく、悪意に満ちた狡猾な人間は善良な人々に甘言を囁き、巧言令色をもって窮地に陥れる。まるでそれが自分たちの使命であり、あるいは歓びででもあるかのように、平穏な生活から奈落の底に突き落とされる人々の不幸を見下ろし、嘲笑いながら報復の喚声を上げている姿が目に浮かぶ。

 市井に生きる私たち個人の生活基盤、人生の航路にも、危険な罠が忍び寄っている。そのような用心深さが、残念ながら誰にとっても不可欠な時代になっている。

 実際の目には見えないが、私にはどういう訳か、そのような悪意に満ちた狡猾な人間の存在を、感知できる感覚が身についたように感じている。それが、ファミリー・インテリジェンスという概念に行き着く、大きな要因になっているようだ。

 さらに言えば、短編作品を書くことに情熱を持っているのは、ごく短時間でも、その作品のストーリーの世界に身を置いていただき、疑似体験を通して何かを感じ、できれば何かを発見していただきたい、という願いがあるからだ。

 私個人にできる、「悪意に満ちた狡猾な人間」に対する、ほんのささやかな「宣戦布告」である。同時に、その根底には・・・日本語にも英語にも、一般には存在しない言葉ではあるが、「神学的インテリジェンス」(Theological Intelligence)という視点を持っているようだ。地球創世の遙か以前から存在し、これからも連綿と継続すると考えられている、「エホバとルシフェルの戦い」という図式である。


 最初は、書こうと思うことが全く思い浮かばなかったのだが、終わってみると意外にも思いの外、饒舌になってしまったようだ。齢を重ねる毎に、ますます妄想が膨らんできているようだ。というより、自分の使命が徐々に明確になってきている、と考えるべきなのかもしれない。

 そのせいか最近は、ミュージカル「ラ・マンチャの男」で、ドン・キホーテが妄想の世界で歌う「見果てぬ夢」(The Impossible Dream)の歌詞の内容に、すっかり鼓舞されるようになってしまっている。

 せっかくの機会なので、少々長いが、英語と日本語の歌詞を以下に紹介させていただく。

"The Impossible Dream"

To dream the impossible dream
To fight the unbeatable foe
To bear with unbearable sorrow
To run where the brave dare not go

To right the unrightable wrong
To love pure and chaste from a far
To try when your arms are too weary
To reach the unreachable star

This is my quest
To follow that star
No matter how hopeless
No matter how far

To fight for the right
Without question or pause
To be willing to march into Hell
For a heavenly cause

And I know if I’ll only be true
To this glorious quest
That my heart will lie peaceful and calm
When I’m laid to my rest

And the world will be better for this
That one man, scorned and covered with scars
Still strove with his last ounce of courage
To reach the unreachable star

─────
「見果てぬ夢」

見果てぬ夢を見続けて
かなわぬ敵と戦い続け
耐えがたき悲しみに耐え抜き
勇者すら行かぬところへ向かう


正しがたい間違いを正し
遠くより純粋でけがれなき愛を注ぎ
腕を動かせぬほど疲れていてもやってみる
届かぬ星を追いかけて

これが私の冒険の旅
その星を追いかける
どんなに望みがかなわぬものでも
どんなに遠くにあるとしても

正しきことのために戦う
疑うこともなく 休むこともなく
地獄へ向かうのもいとわない
天の願いなら

そして私にはわかる 自分が忠実かどうか
この輝かしい冒険の旅に
私の心は平和に満ちて穏やかなものとなるだろう
永遠の眠りにつく時

そして世界は今よりよりよきものとなる
さげすまれ傷だらけの一人の男が
最後まで勇敢に戦ったことで
届かぬ星を追いかけるのだ


引用元:輝きの時 “Carry Out Your Life!
「松本幸四郎 見果てぬ夢」


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by hirune-neko | 2019-02-10 00:47 | 心の中のできごと | Comments(0)



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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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