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昼寝ネコの雑記帳

2018年 11月 22日 ( 1 )

死期を悟った男の、どこまでも朗らかな饒舌さ


Astor Piazzolla - Extasis
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 私にしては早い時間に起きた。
 
 都心での、午前11時半からのランチ・ミーティングに臨み、その直後の午後1時には、別のミーティングに出席した。

 ミーティング終了後、その足で横浜・戸塚にあるリハビリ専門病院に向かった。40年来の知人男性が入院している。癌を患っていたが、首にも癌が発症し首の骨が溶解してしまったので、首を固定する器具を巻いていると聞いていた。

 都心の病院ではこれ以上手の施しようがなく、退院させられることになったが、心臓病を持つ奥さんが待つ自宅に戻ると、奥さんに負担をかけてしまうので、期限限定でリハビリ専門の病院に転院したと聞いていた。毎日院内を歩いて足腰を鍛えているとも聞いていた。別の病院に転院する時期が来週に迫ってきたので、その前にお見舞いに行こうと思っていたのだが、今日、ようやく行くことができた。

 行くと病室はもぬけの空で、同室の人が、歩きに行っていると教えてくれた。すぐに戻ると聞いたので、待合室で待つことにした。数十分は待っただろうか。突然目の前に彼が現れ、笑顔で挨拶された。

 ベッドの横の丸椅子に座り、少し話をした。

 「私も家内も同年齢の81歳になりました」と言うので、まだまだお若いですね、と言った。首に巻かれた器具がなければ、全く病的な感じがしない。

 私は自分の頭を指さし「ここはシャープですね」と言い、唇を指さして「ここもシャープですね」というと、彼は笑いながら、「みんなから、よくしゃべるねと言われます」と応えた。

 「家内には、お互いにもうこんな歳だから、そろそろ一緒に行こうか、と言ってるんですよ」と言い出した。笑顔ではあったが、あながち冗談ではない表情だった。

 「いえいえ、まだ使命がありますよ」私がそのように言うと、自嘲的な笑いになり「使命?もう使命なんて・・・何があるんですか」

 私は感じたままに伝えた。
 「大それた使命ではないかもしれません。でも、今の経験を通して学んだことが、人の役に立つときが来ると思います。同じような状況で苦しむ人の心を理解し、親身に励ますことができるのではないでしょうか。必要とされる方が現れると思いますよ

 瞬時だったが笑顔が消え、何か得心したような表情だった。

 帰りはエレベーター前まで見送りに来てくれた。
 「またお会いしましょう」と言い、握手をして別れた。また会うことがあると感じた。

 病院の送迎バスで戸塚駅まで送ってもらい、東海道本線と南武線を乗り継いで帰宅した。足腰がガクついていたので、それぞれ1本電車を待つことで、なんとかずっと座って帰って来ることができた。

 駅から歩き、家に着くまでの途中で、今日のノルマの6千歩を超えていた。

 日中の二つのミーティング両方に一緒に出席した男性は、2年ほど前から腎臓透析を受けている。毎週3回、毎回数時間をかけているそうだ。とても有能・優秀な人物で、やはりもう40年来の付き合いだ。歩く足取りも重く感じ、苦しそうだ。使命感を原動力にして参加し、終了後はそのまま透析を受けに病院に向かった。

 恵まれたことに、私の周りには善良な人たちが多い。多くを学ばせてもらっている。有難いことだ。

 勇敢な姿勢で、自分の重篤な病と対峙してる姿を見ていると、人格の気高さと、使命に殉ずる崇高な生き方を感じる、

 この時間まで自分のことは何ひとつできなかったが、目に見えない多くの教訓をいただいた思いだ。

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by hirune-neko | 2018-11-22 01:58 | 心の中のできごと | Comments(2)



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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