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昼寝ネコの雑記帳

2018年 04月 22日 ( 1 )

コーギー犬とミニチュア・ダックスフンドと訃報


Detour Ahead, Bill Evans

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 突然この世に未練が出てきたわけではない。やりかけの仕事の途中で、自分が機能不全になったり絶命したのでは、仕事に関わってくれている人たちに申し訳ない、という気持ちが強くなったためだ。なんとしても、一日のノルマを歩こうという気になった。家を出るときは、700歩程度しか歩いていなかったので、第三京浜まで往復してもまだ足りない。イヤフォンでBill Evansのアルバム"All the Greatest Night”を聴きながら歩き始めた。

 第三京浜で折り返し、しばらく歩いていたら、犬を連れて散歩している男性の後ろ姿が目に入ってきた。短足のワンちゃんで、チョコチョコと歩いている。追い越しざまに話しかけてみた。「これはコーギーですか?」「分かりません、友だちの犬なんです」と、明らかに外国人のアクセントで返事が返ってきた。顔を見ると、どうも東ヨーロッパ系の人に見えた。犬の話題で少しやりとりをしていたら、そのコーギーが私の方に寄ってくる。彼は「興味があるみたいですね」と、微笑みながら言った。

 そのまま歩き、帰りがけにヤマダ電機に寄った。電話で単6の乾電池を在庫していると確認していたので、買いに寄った。昨日届いた電子メモパッド用だ。

 帰宅途中、いつもは通り過ぎるだけで入ったことのないハンコ屋さんに寄ることにした。絵本の製作依頼書に日付印を押しているのだが、インクが薄くなってきて、インクの補充方法が分からず、この際だからスタンプ台を使う普通の日付印に切り替えようと思ったからだ。
 ハンコ屋さんの入口に立つと、まるで入店の邪魔をするかのように犬が座っている。そっとドアを開けたが、おとなしい性格のようだったので話しかけて、頭を撫でた。店の人から商品の説明を聞きながら、犬種を質問してみた。ミニチュア・ダックスフンドだという。へえ、と相づちを打つと、ワンちゃんが振り向いた。「自分のことを言われているのが分かるんですよ」と、店主の奥さんらしい人が言った。ワンちゃんは立ち上がり、私のそばまで寄ってきた。動物は動物好きの人間を嗅ぎ分けると聞いたことがあるが、そうなんだろう、きっと。

 帰宅してパソコンの前に座った。さすがに連続して7千歩以上を歩いたので、身体を休めたかった。Facebookに投稿があるという表示があったので開いてみた。訃報だった。
 ガンで余命半年と宣告されてから必死の闘病生活を続け、何十年か生きた人だ。63歳だったそうだ。ご主人とは、40年近く前にボランティア仲間として交流があったが、その彼はまだ三十代の半ば過ぎに、確か急性肝不全で急逝した。彼女は闘病の過程でいろいろな治療法に関する知識を得ており、私はフランスキクイモを勧められて、今でも常食している。ガンと糖尿病は治療方法が同じらしい。その流れで、酸素水を飲んでおり、昨年末からは電子水も常飲している。

 脳内ストレスのせいにして、クッキーやチョコレートに手を出し、最近は血糖値が高止まりしていた。しかし、甘い誘惑に負けて結果的に、自らが言い出しっぺのプロジェクトを、途中で放り出すことになってはいけない、という心の促しに素直に従い、断糖の決意をして実行している。まだ1週間も経っていないが、高止まりしていたときの平均値と比較して、すでに50近く下がってきている。自己責任をある程度まで果たしてから、他界したいと思っている。・・・いやいや、最近はジャック・バウワーのガッツを見習い、アンドリュー・マーシャルの模範を真似て、しぶとく生きながらえたいという希望を持ち始めている。晩年は、作家・昼寝ネコと呼ばれるほどの冊数を刊行できればいいな、なんていう妄想的な願望も大事にしたいと思っている。

 どうやら私は、ネコだけでなくワンちゃんからも親近感を持たれるネコ人間のようだ。ワンちゃんも可愛いと思う。散歩のお供にはやはり、ネコではなくワンちゃんがいいのではないだろうか。当たり前だろうけど。


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by hirune-neko | 2018-04-22 00:37 | 心の中のできごと | Comments(0)



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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