昼寝ネコの雑記帳

2014年 04月 13日 ( 1 )

テスト飛行のため滑走路で待機中の旧型機


Liliana Herrero - El viaje (Astor Piazzolla)


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テスト飛行のため滑走路で待機中の旧型機


北海道・室蘭に八丁平(はっちょうだいら)という場所がある。
あるといっても、行ったことがないのでどんな所か知らない。
中学と高校の6年間を過ごした町なのだが、
なんでも、第二次世界大戦の頃の飛行場跡地だと聞いたことがある。

今の私は、これから試験飛行しようとする旧型機の機長の心境だ。
部品はすべて最新鋭で、先端技術をフル採用した機体なのだが、
製造コンセプトがいかにも旧式であり、果たして現代社会に
通用するのかどうか非常に疑わしいと、自分でも思っている。
ようやく机上の飛行プランができあがり、濃霧が晴れ次第滑走したい。
滑走路で待機中のコックピットの中で、
不安と期待を併せ持ちながら、管制塔からの離陸許可を待っている。
いや、正確にいうと、羽田や成田のような近代的空港ではなく、
すでに使われなくなって半世紀以上が経過し、管制塔も誘導灯も何もなく
雑草も生い茂る、八丁平のような場所からしか飛び立てない、
そんな怪しげな試験飛行であることは、ほぼ間違いはない。

そういえば、「星の王子様」の作者である
サン=テグジュペリは飛行機のパイロットだったはずだ。
はるか上空で、地上で点滅する民家や街路灯を見下ろしながら
何を考えていたのだろうか。
おそらくは、現実社会からは超然とした世界観が
彼の脳内で拡がっていたのではないかと想像している。
高所恐怖症と閉所恐怖症を併せ持つ私には、
上空から世俗社会を俯瞰するなどという特異な経験はない。

ここ数日は珍しく風邪の症状が酷かったので、仕事が手に付かず
無料配信映画を2作品観てしまった。

1本はアメリカ映画で、金融マフィアのスケープゴートに
されてしまった夫の無実を証明するため、果敢にも
その金融マフィアが「表看板」として経営する生命保険会社に
潜入就職するという「糟糠の妻」の物語だ。
最後は資金逃避先のケイマン諸島に舞台が移り、
FBI捜査官も殺到して万事めでたく解決という設定なのだが、
まさしく現代アメリカの縮図を見ているようだった。

もう1本はスペイン映画なのだが、これはなんとも
ストーリーの説明が難しい。つまり、作品としての
展開というよりは、登場人物一人ひとりの心理的葛藤を
丁寧につなぎ合わせ、過去と現在が効果的に交錯する。
過去のできごとが現在の生き方に影を落とし、
過去に訣別しようともがきながら生きる、そんなイメージだ。

金こそ全てで、運転手付きの馬鹿長いリムジンが成功の象徴、
そして誰しもが、成功という唯一無二のゴールに向けて邁進する。
映画で観る限り、アメリカ文化とヨーロッパ文化の違いを痛感する。
もちろん私の知っているアメリカ人とて様々であり、
精神文化を大切にする人は多いのだが、まだまだ成功と冨は
その人間を測る尺度として定着しているように思う。

さて濃霧に包まれた滑走路で、一体何を躊躇しているのだろうか。
飛行プランはあるにはある。
しかしそれは、目に見える地図上の飛行ルートではない。
旧式の「言葉」を、世界中でそれを必要としているかもしれない、
しかも本当に必要とする人が存在するのかどうか
皆目見当がつかない相手を探すための
飛行プランであることは間違いない。
燃料切れで引き返すこともできず、
どこかで野垂れ死ぬ可能性もある、
そんなプランなので、できるところまでは自力で進めてきた。

ソラナス監督の映画三部作の中では「El Viaje(旅)」が
一番好きな作品だ。離婚して失踪した父親からの手紙の
古い住所を頼りに、自転車で南米を縦断する男の子が主人公。
邦題は「ラテンアメリカ光と影の詩」となっている。
冒頭の作品はピアソラが作曲し、その映画中で使用されている。

老年の私が、この歳で電子絵本を製作し、Amazon.comや
iBookstoreでの販売に挑み、SEO対策を進めて自社サイトでの
会員制組織の構築にもチャレンジする。
まだ息のあるうちに濃霧が消え、管制官のいない空港跡地から、
鷲の翼に先導されて、離陸できる日が訪れるといいなと、
密かに決意を新たにしている。


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by hirune-neko | 2014-04-13 13:43 | 創作への道 | Comments(0)



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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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