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昼寝ネコの雑記帳

楽譜の画像が送られてきた

楽譜の画像が送られてきた_c0115242_23591947.jpg


mixi上に、昼寝ネコ村を開村したが、
そのお祝いに、ということなのだと思う。
最近マイミクになってくださった
shi.shiさんから、楽譜の表紙の画像が送られてきた。
見ると、ショーソン作曲、ピアノ伴奏の
ヴァイオリンのための「詩」という曲だった。
出版社はブライトコプフで、少し調べたら
ヘンレ出版からも、ショーソンの楽譜が出版されている。

久しく耳にすることのなかった、
クラシック音楽の楽譜出版社。
私が、かなり無謀に仕事をしていた頃を思い出した。
日本に楽譜を輸入し、販売したいと思い立ち、
ブロードウェイのコロニーという楽譜店に
通って、ニュージャージーの問屋を
紹介してもらった話は、どこかに書いたように思う。

ロンドンでは、ヨーロッパの出版社の楽譜が
ほとんど手に入る、という「噂」を信じ、
行動に移した。事前に、東京・神楽坂の
ブリティッシュ・カウンシルに行って
いくばくかの資料を入手していたが
結局はほとんど役に立たなかった。

ロンドンでタクシーに乗り込み、
市内で一番大きな音楽店へ行くよう頼んだ。
行った先で、楽譜の「問屋」を教えてくれと
交渉したのだが、小売店が問屋を教えるわけがない。
袋小路に追いつめられたが、
レジ横に無造作に置いてあった
「楽譜別問屋リスト」なる小冊子が目に飛び込んできた。
「これ、売ってくれませんか?」
「いいえ、これは売り物ではありませんから」
「じゃあ、古いので要らないの、ないですか?」
こんなやりとりで、まんまと前年のリストを
無料で入手することができた。

さて、問題は数十ページもあるリストから
どうやって絞り込むか、なのだが
日本のピアニストのFさんに国際電話をかけて・・・
当時はメールなんてなかったので・・・
延々とレクチャーしてもらった。
例えば、ショパンの楽譜は、やはりポーランドの
パデレフスキー版が一番だとか・・・
演奏家ではない私は、やはり演奏家の意見を
尊重するしかなかった。
何社も訪問し、契約し、多少は発注したものの
ビジネスベースで見れば、十分な需要はなかった。
後日、東京のポーランド大使館まで行き
ヴィザの発給を受けたが、結局は
ポーランドまで行かずじまいだった。

著名な国際音楽コンクールの事務局が
スイスの・・・たしかジュネーブにあり
アポを取ってわざわざ出向いたりもした。
事務局長は高齢の男性だったが、
よく話を聞いてくれて、昼食を一緒にした。

あの頃の私は、何やら熱病に取り憑かれたかのように
音楽周辺の楽譜や書籍を仕事にしようとした。
自分の趣味に一致する物は需要がある・・・
まるで小学生のような発想で、
文字どおり、東奔西走した時期だった。
今の私が、当時の自分を振り返ると、
苦笑することだらけだが、でもある種の
青春時代だったように思う。
そんなに昔ではなく、たかだた10年程度前のことだ。
そんな無茶な経験が多いせいか、今でも
アズナブールの「ラ・ボエーム」や
「帰り来ぬ青春」などのような、
昔日をちょっと感傷的に思い出す歌に
共感を覚える。

shi.shiさん、どうも有難うございました。

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by hirune-neko | 2008-07-24 23:59 | Comments(4)
Commented by 鬼マネージャー at 2008-07-25 06:40 x
何かに夢中になり、わき目もふらずに目標に向かって行く・・
そんな「経験」は何より自分の人生の財産ですね。

今の昼寝ネコさんには、その夢を追いかけた時の労苦が
きちんと人となりに反映されてますよ。
私が証明します!・・(ん?どこかのコマーシャルみたい・・)

Commented by hirune-neko at 2008-07-25 14:00
>鬼マネージャーさん

なんか、いつもお叱りを受けているせいか
ほめられると何か魂胆がありそうな・・・
イヤな予感がします。本心ですか?
Commented by kawazukiyoshi at 2008-08-03 16:16
楽譜出版は難しい仕事なのでしょう。
いろんな版がある上に、そんなに儲けになるとも思えませんから。
日本でも、出版されている会社はどのくらいあるのかなーー。
PDFでしゃっと、出来上がるようになれば、楽なんでしょうが。
今日もスマイル
Commented by hirune-neko at 2008-08-03 17:23
> kawazukiyoshiさん

初めまして、ようこそおいでくださいました。
おっしゃるとおり、時代が変わりましたので
わざわざヨーロッパまで行かなくても、
PDFをメールで送る仕組みがある。べきなんでしょうね
早めに撤退して良かったと、今では思っています。
作曲家や作家の著作権が、もっと
大事に評価されて、経済的にも
支えられるスキームが必要なんだろうと思います。
そうしないと、本当の意味での芸術性が
衰退していくと思うんです。
ブログを拝見しましたが、作曲されているんですね。
労作を、少しずつ鑑賞させていただきます。
有難うございました。
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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