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昼寝ネコの雑記帳

かすりもせず落選の公募作品公開2

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(カトリ〜ヌ・笠井さんの、この画から着想を得ました)

雪女の甘いささやき【その2】 昼寝ネコ・作

 まあ、ざっと簡単にいうとそういうことになる。
 私はおそるおそる訊いてみた。
「私の、そのm-DNAって、どこが普通の人と違うの?」
「まず第一に、現実的なものに固執しないことなんです。次に、変人と紙一重なぐらい妄想・想像力があること。それと、人間や動物に対し敵意や憎しみを持ちにくく、相手の心の痛みを理解し、言葉の概念を超越して相手の心理状態や人格を洞察する感性を持っている・・・これがm-DNAの基礎構造にはどうしても必要であり、いくら科学が発達しても合成できない性質のものなんです」
「はぁ・・・なんだかほめられているのか馬鹿にされているのか判断がつかないんだけど。で、私にどうしろというわけ?」
「血清を作りたいんです。血液を五リットルほどいただきたいんです」
「五リットルだって?一体、人間の体内にはどれだけの血液量があるのか、キミは知ってるの?」
「はい、昼寝ネコさんの場合は、今朝六時ちょうどの時点で体重が八十二・二五キロ、全血液量は六・五二リットルでした。ちょっと血圧と血糖値が高めでしたが、それは大丈夫です。それと、いただいた血液は瞬時に人工血液にコピーして体内に戻しますので、危険は全然ありません」
「うげげ・・・?」
 私はとうとう言葉を発することができなくなってしまった。なんといっていいのか判断がつかないのだ。
「・・・話の筋はなんとか理解したけど、どうやったらその奇妙な申し出を・・・そんなことよりキミがその、キラキラ星からきたってことをどうやったら信じられるのか、自分でも困ってるんだよ。大体さ、日本語をしゃべってるけど、もし私がフランス人だったらどうすんの?」
「もちろん、フランス語で話します。昼寝ネコさんがイギリス人だったら英語、イタ公・・・いえ失礼、イタリア人だったらイタリア語で話しかけます」
「へえ、だったらちょっとフランス・イギリス・イタリアの順でなんかしゃべってみてくれる?」
「おやすいご用です。では、フランス語です・・・アロン・ザンファン・ドゥ・ラ・パトゥリー(Allons enfants de la Patrie)・・・次は英語です・・・ゴッド・セイブ・アウア・グレイシャス・クィーン(God save our gracious Queen)・・・イタリア語です・・・フラッテリ・ディタリア・リタリア・セ・デスタ(Fratteli d'Italia l'Italia s'e' desta)・・・なんでしたらアフリカの言葉でも?」
「いやいやもういいよ。参ったなあ・・・。じゃあもうひとつ。ネコの姿をしてるけど、キミはキラキラ星でもネコなの?」
「いえ。地球人と同じ形をしているんです。でも、頭の形とか服装が少し変わっていますので、ネコの方が目立たないと思って、ネコの格好でお待ちしていました」
「ネコの格好っていうけど、ほかにどんな格好になれるの?」
「人間でもライオンでも、およそ地球上の生き物であればどんな姿にも変身できます」
「じゃあ、例えば有名な女優にでも変身できるわけ?」
「はい、もちろんです。ただ体細胞を合成変換させるので、少し時間がかかりますけどね。それでも、せいぜい三十分」
「たった三十分で?もしそれができたら、信用しないわけにいかないだろうなあ」
「はい、お望みでしたら、わたしたちの科学技術がどれだけ凄いかお見せできますよ」
「じゃあカトリーヌ・ド・ヌーヴでも仲間由紀恵でも?」
「はい、おやすいご用です」
「へえ、すごいもんだねえ。・・・じゃあさ、せっかくだからカトリーヌ・ド・ヌーヴの若い頃、そうだなあ『シェルブールの雨傘』に出てた頃のカトリーヌ・ド・ヌーヴっていうのも可能なの?」
「はい。もしわたしがシェルブールの雨傘のカトリーヌ・ド・ヌーヴになって、昼寝ネコさんの前に現れたら、血液をいただけますか?」
「そりゃまあねえ、人道的な見地からいうと、それと宇宙親善の・・・あまり耳慣れない言葉ではあるけれど、キミのキラキラ星の大勢の人たちが助かるんなら、協力しないわけにはいかないだろうねえ」
「ありがとうございます」

 もののはずみというのは本当に恐ろしいもので、このネゴシエーターと私、昼寝ネコは三十分後に4丁目プラザの前で待ち合わせすることになった。どうせ夢だろうが、やけにはっきりしているから、もう少し覚めないでいるのだろうか・・・最後までこの夢に付き合ってやるか。そう考えると、すぐ近くに駐車していた車に戻り、エンジンをかけた。
 二十五分待って、指定場所の4丁目プラザに向かった。週末のせいなのか、人出が多い。車も渋滞気味でのろのろ運転だ。まずいなあ、遅れそうだよ。いや、そうではなかった。カトリーヌ・ド・ヌーヴが、突如札幌の街に現れたので、周りに人が集まってきたのだ。その時、ブロンドの女性が私に気づき、手を振って向かってくる。人混みの中から、いや、正確に言うと人混みを引き連れて向かってくる。
 最近視力が衰えがちの私は、必死で目を凝らす。夢ならこの辺で覚めるのではないだろうか・・・そう思いながらブロンドの女性に目を凝らす。彼女は真っ直ぐ私の車に向かってくる。助手席のドアを開けるなり、あのカトリーヌ・ド・ヌーヴは、顔いっぱいにほほえみを浮かべていった。
「サヴァ・ビヤン・ムッシュ・ヒルネネコ?ご満足ですか?」

 ド・ヌーヴを取り巻く人混みを抜け出すのは至難の業だった。一方通行の広い通りをUターンして逆走し、脇道を何本もくぐり抜けて、やっと国道五号線に入ることができた。遠回りになるが、走り馴れた手稲に向かいながら、どうすればいいか彼女に尋ねた。この格好じゃ目立ちすぎるから、人目を避けて・・・じゃあ、石狩街道に向かいましょうということになった。
 運転している間ずっと、彼女は私に視線を向けていた。私は彼女の表情を見るのが怖かった。外気温零下九度の寒い夜だったが、なぜか彼女は暖房を止めるようにいい、助手席の窓を少し開けた。

 道路の両側には除雪車の積んだ雪が塀のように連なり、夜更けの雪混じりの外気は冷たかった。時折、ワイパーのキュッキュッという音が響くだけで、耳鳴りを感じるほど無音の車内だった。
 いつもなら、路面が凍結していないか細心の注意を払って運転するのだが、彼女の存在が気になって仕方がなかった。
 彼女はエイリアンなのだ。同時に、シェルブールの雨傘のカトリーヌ・ド・ヌーヴでもある。幻覚のような奇妙なイメージが交錯し、移動する車の中で私の思考はすっかり停止していた。
 以前、新聞で読んだ記事の中に、シェルブールは軍港であり、雨傘専門店などは存在していない、と書かれていたことを思い出した。
 今ここで、何を話すのが適切だというのだろう。宇宙天気予報か?キミのキラキラ星には何かスポーツがあるのかって訊いてみようか?・・・車内の沈黙は、彼女の質問で救われた。
「昼寝ネコさんも、車の中で音楽を聴くんですか?」
「へっ?ああ、聴きますよ。音楽が好きですから」
ダッシュボードに組み込まれた CDコンポのスィッチを押した。ほぼ同時に、ダイアナ・クロールのジャズヴォーカルが流れ出す。聴き慣れた曲に、少し落ち着きを取り戻した。
「キラキラ星には音楽ってあるの?」
 思い切って訊いてみた。
「ありますよ。音階は、地球のものよりはもっと複雑ですし、ほとんどが電子音楽なんです。作曲ロボットに好きな曲想と好きな楽器の名前を入力すると、ほぼ瞬時にできあがるんです。それをダウンロードして、聴くことができるんですよ。」
「へえ、驚きだね。でも、そんなんで音楽性や感性を感じることができるのかな」
「わたしたちは宇宙のいろいろな惑星の音楽を、いつでも聴くことができます。でも、キラキラ星では、時間というのが最も貴重な価値を持っています。ですから、ゆっくりと音楽を鑑賞するような習慣がありません。精神的に病んでいる人たちに、いろいろな惑星の音楽を聴かせる音楽療法は、ずいぶん効果をあげているようです」
 余計なことを訊くのではなかった。私は後悔し始めていた、話せば話すほど、理解の溝が深まっていくように思われた。
 ずっと緊張を強いられたためか、脈拍が速くなっていることを自覚した。車はすでに高速道路の下をくぐり抜けて走り続け、手稲駅に近くなっていた。五号線を右折し、あらかじめ打ち合わせていたように、石狩街道に入っていった。
 深夜営業の量販店やファミリーレストランを視野に入れ、新川通りを横切って、まっすぐな並木通りを直進した。もうじき時々利用する石狩図書館だ。母の近所に住む石澤さん御用達の図書館だ。彼女の説明通り、石狩市内居住者ではない私でも、免許証を提示したら即日、利用カードを作ってくれた。なんて親切なんだろう。貸し出し冊数無制限には驚いたし、ゆったりと静かに過ごせる空間であることにも、改めてちょっとした感動を覚えたものだ。

 そのままさらに十分以上走り続けただろうか。車内は再び沈黙に戻り、ヘッドライトに照らされた雪が、視界を遮り始めていた。信号もなく、対向車もない道を黙々と走りながら、不安感が徐々に強くなるのを感じていた。

「あの標識の横道に入りましょうか」
 彼女は突然、言葉を発した。かれこれ一時間近く走ったことになる。信号のないその細い道へ右折すると、ゆるやかな上り坂をしばらく走った。やがて、雪に覆われた廃屋のような古屋が見えたので、その前で車を停めた。
 エンジンを止めると、沈黙が重くのしかかってきた。電柱の裸電球が、彼女の顔半分を浮かび上がらせている。冷たい美しさだ。ロジェ・ヴァディムやマルチェロ・マストロヤンニ・・・ドヌーヴを愛した男たちの声が聞こえるような気がした。ずっと気になっていたが、彼女は香水の香りに包まれていた。二つか三つほどしか香水の名前を知らなかったので、何も尋ねなかった。

「昼寝ネコさん、最後の確認をさせてください。探査衛星は、すでに昼寝ネコさんの両方のDNA確認しています。でも、実際に血液か息で、最終的な確認をする必要があるのです」
「へ?どうやって確認するの」
「まず、こうしてお互いの右手と左手を交叉させます」
 私たちはお互いの手の指を絡めた。彼女の手は、とても冷たかった。その時初めて、彼女の指にマニキュアが施されているのを見た。不思議な色だった
 ミミとロドルフォが初めて出会ったとき、ミミの手の冷たさに驚いたロドルフォが「冷たい手を暖めてあげよう」と歌ったアリアを、突然思い出した。プッチーニもどこかで、このエイリアンの訪問を受けたのだろうか・・・こんな異常な状況なのに、オペラのシーンを思い出すなんて、我ながら呆れてしまった。
「わたしの体内には、小型のDNA測定装置が埋め込まれています。わたしの口から、ゆっくりと息を吹き込んでください。三十秒ほどで済みますから」
「口から口に?」
「はい、そうです。純粋に医学的な検査方法ですから、雑念を取り払ってくださいね」
 雑念を取り払えといわれても、物憂げで初々しい表情のカトリーヌ・ド・ヌーヴと二人きりで手をつなぎ、顔と顔が次第に近づいて行くのだから、それはちょっと難しそうだなあ。しかし、まるで冷凍庫に顔を入れて行くような異様な冷気に覆われ始め、私は恐ろしくなった。
「ずいぶん、空気が冷えて、なんか変だね」
「キラキラ星では温暖化が進んいます。それに連れて体温も上がると、様々なバクテリアやウィルスの動きが活発化するので、とても危険なんです。ですから、空気中の窒素を吸って体内で液化し、体温を下げるように進化しているんです。さあ、そんなことは気にせずに、わたしの口から息を吹き込んでください。あとは自動的に分析が始まりますから」
「まあねえ、そこまで言われて引き下がっていては、地球男児として宇宙親善の精神に反するから、まあじゃあ思い切って・・・」
 弁解がましい言葉をつぶやきながら、私は心底凍傷を恐れつつ、鼻で息を吸って彼女の口に吹き込んだ。何度か繰り返した。たぶん三十秒は経ったのだろう。彼女が顔を離して話し始めた。
「自動分析器が作動し始めました。分析データをキラキラ星のセンターに送り、そこで最終判定をしますので、少し時間がかかりますがお待ちください」
 少し待てといわれても間が持ちそうもない。これが映画なら、少しはロマンチックな雰囲気になる設定なのだろうが、相手がエイリアンなので持ち前の好奇心が頭をもたげてきた。
「ちょっと質問してもいい?」
「はいどうぞ。なんでしょう」
「ずいぶん文明が発達してそうな星なのに、どうして温暖化を防げなかったの?」
「はい。キラキラ星には三つの強大な国がありました。それぞれの国の指導者は軍事的に優位に立とうと考え、あらゆる地下資源を掘り起こしたんです。それと、兵器を造る過程で発生する大量の化学物質を、地中や海に捨てました。結果的にキラキラ星の持つ再生能力を低める結果となり、未知のバクテリアやウィルスを甦らせることになったんです」
「今でも冷戦状態なの?」
「いいえ。政治家OBと有識者で構成される『長老会議』が三国それぞれにあり、共同で仲介することになりました。結果的に覇権争いを止め、国境を撤廃してひとつの国になったのです。今では共同研究の成果も出てきて、重力をエネルギーに変える装置も発明されました。環境の悪化に歯止めがかかるようになったんですよ」
「そう、それは良かったね。でもキミってかなりの数の言葉を話せるんだね?」
「そうですね。地球だけでなく、いくつもの惑星の言語を全て話します。かなりの種類ですね。わたしたちは三歳になると『バイオ人工知能』を頭に埋め込まれるんです。個人差はありますが、数年で、およそ百テラバイトの記憶容量に成長します。宇宙一のスーパー図書館を、はるかに超える情報量がダウンローされているんですよ。昼寝ネコさんのお好きな将棋の棋譜も、プロ棋士の公式戦のはすべて暗記しています」
「じゃあキミ、将棋はかなり強いんだ?」
「はい。申し訳ないですが名人、棋聖、王将のタイトル保持者と指しても、負ける気がしません。わたしは『目隠し将棋』が得意なんですよ。試してみますか?」
「へえ、エイリアンのド・ヌーヴとの記念すべき一戦だね」
「昼寝ネコさんの先手でどうぞ」
「うん、じゃあ・・・7六歩」
「3四歩」
「6六歩」
 我ながら、こんなときに将棋だなんて、信じられないことをするものだ。
「8四歩」
「7五歩」
「おや、立石流を指されるんですね」
「へえ、本当に詳しいや。嬉しいなあ」
 次の手を考えているとき、彼女の体内から断続的な金属音が聞こえた。彼女と視線を合わせた瞬間、私は急に睡魔に襲われ、突如として思考力がダウンしてしまった。

【第3部に続く】


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by hirune-neko | 2008-06-28 17:21 | 創作への道 | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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