昼寝ネコの雑記帳

昼寝ネコの原点

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自分の心が重く感じるとき、私はこの画を眺めながら
ビル・エバンスの演奏する
「I will say goodbye」を聴くようにしています。
全ての営みがむなしく思えた若い頃から、
砂ぼこりの舞う道を、ずっと歩いてきました。
背中の袋の中には、厭世観と虚無感が染みついた
さまざまな思いがあり、ときとして、
その重さに耐えきれないこともあります。
詩人たちが好んで使う言葉も、私にとっては
ほとんどが死語に近く、ペルシャの詩人
オマル・ハイヤームの四行詩(ルバイヤート)が、
まるで呪縛のように、心に刻まれています。

【時の中で何を見ようと、何を聞こうと、
また何を言おうと、みんな無駄なこと。
野に出でて地平のきわみを駈けめぐろうと、
家にいて想いにふけろうと無駄なこと。

世の中が思いのままに動いたとてなんになろう?
命の書を読みつくしたとてなんになろう?
心のままに百年を生きていたとて、
更に百年を生きていたとてなんになろう?】
(オマル・ハイヤーム・作 小川亮作・訳)

伝道の書を著したとされるソロモンは、
冒頭から「いっさいは空である」と、
一読しただけでは虚無的としか思えない文章を
旧約聖書(伝道の書)で書き連ねています。
ダビデの子であり、知者といわれたソロモンです。
オマル・ハイヤームのように美酒の中に
真理があると考えているはずがありません。

私は、個人的にこのように解釈しています。
もし人が、全ては空であると確信するなら、
その人は、この世の富や名声に
心を奪われることはないのです。
知恵のある者、能力に長けている者さえ
空であるとすれば、
人からさげすまれる者も空なのです。
財力のある人にとって、
銀貨一枚がどれほどの値打ちでしょうか。
しかし、貧しい年老いた病人にとっては、
命をつなぐ貴重な価値があります。
国中から敬われ、賞賛を集める人に対し
尊敬の念を伝えて夕食に招待しても、
どれほど心に留めるでしょうか。
しかし、極貧の身の上で物乞いをしている人に向かって、
その労苦に理解を示し、
焼きたてのパンと、「ぶどう」ひと房を差し出したら、
その人は驚き怪しみ、
ついには感動の心で感謝しないでしょうか。

昼寝ネコの原点は、そこにあると思っています。
世俗の羨望の対象となる、あらゆる地位・財産・名誉を
この世を去るときには、
すべて置いて行かなくてはならない
むなしいものだと思えるそのエネルギーを
心を重く感じる人に、ほんの少しでも向けたいのです。
それは、どんなに高名な心理学者の助言より、
無学でも心根の優しい老女のいたわりのひと言こそが、
人の心を軽くしてくれることを
私自身が良く知っているからなのです。

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昼寝ネコの文章がグリーティング絵本になりました

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by hirune-neko | 2007-08-31 01:03 | 創作への道 | Comments(4)
Commented by romari n at 2007-08-31 04:04 x
昼寝ネコさんのご紹介で遅まきながらビル・エヴァンスを知ることができました。今日図書館でCDを借りてきましたが、昼寝ネコさんがぞっこんになるのが理解できました。

私もぞっこんになりそうですよ。

音の出し方が実に考えられていて、ソフトというか、体の深いところから出ていますね。第一音目で、参りました。

「I will say goodbye] ははいっていなかったけれど、今度探してみます。

話が本題からずれてしまいましたが、ここに書かれていることにはいちいち賛成してしまいます。

だんだん昼寝ネコさんのことがわかってきましたよ。
Commented by バオバブ at 2007-08-31 06:48 x
こころが重く感じた時...
 
明日地球が滅びようとも、わたしは林檎の樹を植えよう。

誰の言葉か忘れましたが、どろどろどよ〜んとなった最後には、
自分はこれ!

原点に戻る事を忘れないようにしないといけないな、
うんうん...
Commented by hirune-neko at 2007-08-31 17:20
>romarinさん

いやあ、プロの音楽家の方に気に入っていただき、
ビル・エバンスもさぞかし喜んでいると思います。
確か、彼はもともとはクラシックのピアニストだったはずです。
でも、さすがに鑑賞の着眼点が違いますね。

昼寝ネコのこともだんだんご理解いただき、
有難うございます。
なんのことはない、ただのグータラ夢想家なんですよ。
また、是非お立ち寄りください。
Commented by hirune-neko at 2007-08-31 17:22
>バオバブさん

いい言葉ですね。でも、リンゴは実がなるまで
結構年数がかかりそうですね。
だから、いい表現なんでしょうね。
私みたいに、ミニトマトを植えてすぐ食べたい、
なんて書いたら、情緒がないですものね。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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