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昼寝ネコの雑記帳

かくも長き不在・・・許されよ

かくも長き不在・・・許されよ_c0115242_13165723.jpg

ひとつ学んだことがある。

日常生活で自分の心が、現実社会との接地面積をより広く保つほど、その人の価値観、あるいは価値基準が「現実そのもの」から大きく影響を受けるのだと認識した。

何かに追われ、何かに集中して人は生きている。時間や約束に追われ、自分や家族の健康状態、クライアントの動向に神経を集中する。かくして、自由な想像力や豊かな感性は徐々に湿度を失い、現実的な整合性に妥協して実社会に組み込まれてしまう。

魂の自由というのは、案外大切なものだと改めて思っている。生きるためには食べることが必要だが、生きることの意義をつきつめて考えてみて、そこにせいぜい一つか二つぐらいの「不滅の価値」を見いだせれば、そのための生存という意味での食事は、別に三つ星レストランのメニューである必要はなく、費用も労力も限られたものとなる。ましてや、身につけるもの、持ち歩くものなどに至っては、その機能を果たすものであれば、とりあえずは満足すべきなのではないだろうか。
たしかソロモンも、野に咲く一輪の花を例えにして、そんなことをいっていたように思う。

さて、小さなジョセフィーヌを護るようにかばっている昼寝ネコは・・・カトリ〜ヌ・笠井さんの画「何を見ているの?」のオリジナルシーンによれば・・・地上から少し離れた所で、人々の空しい争いを見ている。なぜ、あんな価値のないものに執着して争奪戦を繰り広げているのだろうか。
国境をはさんで向かい合う兵士たち。故郷で帰りを待ちわびる家族や友人を残し、はるか何万マイルも離れた安全なところから下される、統治者の命令により、家族と国のために命を捧げようとする若者たち。愛国というラッピング用紙に包装されて届けられるものの中には、利権や功名心、野心や尽きることのない欲望・・・。遠く離れて眺めてみれば、実に驚きだらけの人間の行動。

昼寝ネコとジョセフィーヌは、人間の欲望の渦に巻き込まれない平安な場所を求め、しばし彷徨っていたようだ。

魂が、地上の富や名声に対する執着を捨てない限り、そのあるがままの姿を見ることは、決してないだろう。

連休返上で仕事をしていると、かくもシニカルになるものなのだろうか。
by hirune-neko | 2007-05-05 13:42 | 創作への道 | Comments(6)
Commented by バオバブ at 2007-05-05 17:47 x
おかえりなさぁ~いませ!
良かったです・・・地底人間になって穴を掘ってるのかと思いました。
大変なんですね、にゃんこ先生のお仕事って!

皆こころに抱えているものは違うのでしょうけど、
最近は穏やかに暮らしていける事がいちばんの目的になってしまいました。それが本当はいちばん難しいことなんですけどね。

以前、あるTV番組で何処かの国のストリートチルドレンに、
「将来君は何になりたいの?」と聞いたんですが、
彼は途端に気分を害し怒ったように
「僕達は今日食べることしか考えた事がないのに、将来なんてどうして考えられるの?」と答えたんです。
どき~んとしました。
温度差の違う平和ボケの日本人は恥ずかしいなと、正直思いました。
最近こういう内容にとても敏感になる自分です。
人種差別というかそういう事にも気持ちが向いてしまうのです。

最近DVDでホテルルワンダを観てからなのでしょう、
普段はお馬鹿な自分でも、これを観た衝撃はかなり大きかったようです。
とりあえずご飯はありがたくいただきましょう~と・・・
そう思う今日この頃!




Commented by hirune-neko at 2007-05-05 18:34
>バオバブさん
寅さんのように、諸国放浪の旅から帰ってきました。
地底人だと思われていたんでしょうか?
地デジです・・・おやじギャグでした。
「ホテルルワンダ」って、なんですか?
最近の映画なんでしょうか?
でも、今日の食べ物をどうしようかと考える人間に
将来を考える余地なんてないでしょうね。
おいらも、エサ代の工面に追われる毎日で、
国際金融情勢の将来、なんてまるで関係ないです。
なんか希望の持てない国になってしまって、
すっかりしょぼくれています。
さて、気を取り直して原稿を仕上げねば!!
Commented by バオバブ at 2007-05-05 19:28 x
ほほっ、地で爺ですか?

ホテルルワンダ・・・友人から人種差別というものは、
これを観なくては語れないと聞きました。
アフリカでのフツ族とツチ族の国内紛争を描いた大虐殺のお話です。
あるホテルの支配人が何千人もの人々をホテルに匿って、
助けたという実際のお話です。
昔ニュースで見た事があるのですが、これほど酷い争いだったのかと、
改めて驚きました。
同じ国内での人種差別紛争・・・何万人もの人々が斧で殺される様子は、どうして~そんな~事が~ぁ~ぁ(ガックリウナダレマシタ)
残酷という言葉を通り越しましたよ。

最近格差という言葉をよく耳にしますが、
これですかね?
働いても働いても我が暮らし楽にならん・・・
豊かさに対しての嫉妬心が精神的にオカシイ人間を増やしているような、
そんな気もしますね。
日本も危のうございますね・・・お気をつけあそばせ!

Commented by hirune-neko at 2007-05-05 23:00
>バオバブさん
なるほど。そんな内容だったんですね。
きっとドキュメンタリーのようでもあるんでしょう。
凄惨なできごとですね。日本では想像がつかないですね。
格差って微妙な問題だと思うんです。
能力差を無視して無理矢理平等にしたら、
能力のある人のやる気を削ぐことになり、
能力のない人の怠惰さを助長しかねない・・・
でも、基本的な部分での公平さは必要だと思います。
考え方が人それぞれですので、
なかなか難しい議論になりそうですね。
確かに、精神的な安定性を欠く人が多いとは思います。
Commented by 君の名は at 2007-05-06 23:46 x
 かくも長き不在・・そう、とても切ない悲しい映画でした。ご覧になっているんですね。10年ぶりに待ち続けていた人と瓜二つな男性が目の前に現れる・・。それまでの時間が一気に凝縮されるんですよね。

人生もそんなことの繰り返しのように思います。忘れているけど、早合点したり、記憶のあるところに引き戻されたりね。
だから生きることに飽きないんでしょう。
Commented by hirune-neko at 2007-05-07 01:25
>あっ、いえいえ。ただタイトルらしきものを思い出して、
たまたま使っただけなんですよ。そうなんですか?
そんなに切なく悲しい映画だったんですか?

生きるということは、その人の視点や考え方、価値観によって
落胆したり、希望に満ちたり、それぞれだと思います。
私は、人のちょっとした表情や、選んだ言葉によって
ストーリーが思い浮かぶことがあり、それを丹念につなぎ合わせて
ストーリーを展開できればいいなと思っています。
洞察力と想像力が、大切なエネルギー源のようです。
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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