「お前には命を投げ出す覚悟があるか・・・」 数日前から、旧約聖書を読み始めている。年間読書計画には、旧約聖書と新約聖書が入っているので、毎年1回だけだが読み通すようにしている・・・正確には、音声ファイルを聴くようにしている。 ある時期は、夜寝る前に読んでいた。しかし、くたくたに疲れていると読んでいる最中に、いつの間にか寝入ってしまうことが多かった。そこで、去年からはずっと朝目が覚めたら、朝のうちに読むようにしている。しかし、最近は深夜3時とか4時とかに目が覚めてしまい、寝付けない時があるので、音声ファイルを聴くようにしている。 旧約聖書の中で、最も好きなのはアブラハム、その息子のイサク、そしてさらにその息子のヤコブから始まる、いわゆるイスラエルの十二支族といわれる12人の息子たちの、壮大なスケールの物語である。 ヤコブの息子の1人であるヨセフは、兄弟たちから命を奪われようとするが、最終的にはエジプトに向かう隊商に売られた。エジプトに行ったものの、無実の罪で投獄されるなど、辛酸をなめた。 ある日ヨセフは、エジプトの王であるパウロの夢を解き明かした。広範な地域に7年間の豊作あり、続けて7年間の飢饉がある、という内容だった。その解き明かしがパロや家臣の心にかない、ヨセフはエジプト全土の司として、豊作の時期に食料を蓄えるようになった。 7年の後に、深刻な飢饉訪れた。詳細を説明すると長くなってしまうので、結論だけをご紹介する。この物語は、既にご存知の方も多いと思う。食料が枯渇したカナンの地から、最終的にはヨセフの父親であるヤコブ、そしてヨセフの兄弟たち家族の一族が、エジプトに移り住むようになった。 かつて、自分の命を奪おうとした兄弟たちは、罪の意識にさいなまれ、ヨセフに詫びる。しかしヨセフは、自分の一族を救うために、神が自分を先にエジプトに向かわせたのだと言い、と意に介さない。 今の時代は、世界中でウィルス感染が拡大し、今もなおその勢いが続いている。おそらく多くの人たちは、それまでに追い求めていたものが、なんと虚しいことだ、と感じているかもしれない。この苦難の時期は、多くの人たちに対し、人生観や価値観の覚醒を迫っていると感じている。 私自身は、零細規模ではあっても、一応は私企業を経営している立場なので、当然のことながら契約を増やし、売り上げを増大させ、利益を生み出すことを視野に入れている。しかし、その一方で、できるだけ多くの方々に対し、奉仕し、仕える気持ちを大切にしたいとも思っている。 ウィルス感染が日本国内でも広がっている、という情報が連日伝わってくるせいなのだろうか。今日、旧約聖書のヨセフとヤコブ、および一族との再会の物語を読み終えたときに、耳には聞こえない声で「お前には命を投げ出す覚悟があるか」という問いかけを心に感じた。 私は意志薄弱で、勇気のない人間である。いつも、甘いものの誘惑にさらされており、今日もウォーキングの帰りに、黒糖饅頭を買って食べたいな、という甘い誘惑を感じてしまった。 それなりに手間のかかる案件を、いくつも抱えている。しかし、日中の時間は問い合わせや修正、足りなくなった資材の作成などに追われ、自分本来の作業に着手できるのが、どうしても夜になってしまう。そうなると、歩くのも億劫になってしまうし、集中力も気力も意志力も低下してしまう。 それでも、諦めずに食い下がり、たとえ一歩ずつであっても前進しようという気持ちを、何とか維持している。財力や地位、名声という私利私欲に支えられているのではなく、客観的に自己分析してみると、少しでも人の役に立つことをしたい、という使命感に支えられていると感じる。 この先、まだまだハードルが続くだろうと思う。これまでも、たくさんのハードルを乗り越えてきた。改めて、自分の年齢や体力、健康状態を考えたときに、自分には命を投げ出す覚悟があるか、と自問してみた。 そんなにすんなりと、はい、ありますよ、などとは答えられない。しかし、もし途中で放棄してしまったならば、もしかしたら役に立てたかもしれない多くの人たちを、見殺しにすることになってしまう、という遠い将来の後悔と自責の念を感じる。 人と群れることを避け、長い期間自分だけの世界に引きこもってきたように思う。一体、いつ頃から今のような使命感を感じるようになったのか、特定することはできない。実に長い年月をかけて、少しずつ醸成されてきたとしか言いようがない。 あとどれぐらい生きられるか、皆目わからないが、最後の息を引き取るまで、この志は大事にしたいと改めて思っている。 北海道で生まれ育った私なので、不思議と、猛吹雪などのような極悪な環境にさらされると、かえって闘争心が湧く性格になってしまった。 人間は、生き方を変えることができる生き物である。そして、人間がそれまでの生き方を、善の意思によって変えることこそが、人間にとっての最大の奇跡だと感じている。
by hirune-neko
| 2020-04-04 00:11
| 心の中のできごと
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・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
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