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昼寝ネコの雑記帳

96歳の老母のささやかな抵抗、「家を出て行くから」

Astor Piazzolla - Mumuki (RCTV 1984 - Live/En Vivo)
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 義母は数年前に家の中で転び、骨折した。自宅療養に決め、数ヶ月寝たきりになったが、最終的には手術を受けることにした。とても上手な先生だったようで、車椅子生活に移り、今ではゆっくりだが自力歩行できるようにまで快復している。

 その義母が最近「今度やったら、家を出て行くから」と言ったそうだ。一体何があったのか。

 食事は3食、ベッド脇のテーブルまで運んでいる。元々食が細い人であり身体も細い。体重は30キロそこそこのようだ。ご飯に味噌汁、納豆、サツマイモの煮たの、魚料理が主で、肉類は肉団子やハンバーグなどの挽肉製品のものしか食さない、という比較的ワンパターンのメニューである。もともと偏食傾向が強いので、用意する方も大変だ。

 ある日、デイサービスに向かう朝、義母のハンドバッグ中から、家内がティッシュペーパーに包まれた不審な塊を見つけた。開けると食べ残しのおかずだった。こちらは、食器を下げるときに食べた量を確認しているので、食べ残しを「秘匿」されると、一体どの程度ちゃんと食べているか把握ができなくなってしまう。

 そこで家内は、かなり強い口調で注意した。さしもの義母も家内の剣幕に圧倒されたようで、もう繰り返さないと約束した。

 その後しばらくは、平穏無事な日々が続いた。

 しかし数日前、デイサービスに行こうとする義母が、膝の上に別のバッグを載せショールでグルグル巻きにしているのを、家内が目ざとく見つけた。開けると、また食べ残しの塊だった。

 約束を破った義母に対し、家内はかなり立腹したようだが、お迎えが来る直前のタイミングだったので、優しく注意したそうだ。家内は優しく注意したと言い張るのだが、おそらく義母にしてみたら、悪事が露見して鬼検事の前に立たされた罪人ような、恐怖感と威圧感を感じたに違いない。

 すっかり観念し、「今度したら、家を出て行くから」とすっかりしおらしくなってしまったようだ。しかしちゃんと確認すると、見つかるたびに、何度も何度も同じ言葉を繰り返しているそうだ。しかし、96歳で、30キロそこそこの体重で、自力歩行がやっとの状態で、一体どうやって家を出て行くなどという発想が出て来るのだろうか。

 しかし私は、そのような義母から多くを学んだ。

 そうか、甘い誘惑に負け、袋菓子を買ってきても、食べた後はティッシュペーパーにくるんでくずかごに捨てれば、厳しい検閲の目をかいくぐることができるのだ。・・・ときどき、その老獪な手口を実行してみた。今のところは、なんとか露見せずに無事安泰である。もしバレても、「また繰り返したら家を出て行くから」、と真似して、しおらしく言ってみよう。

 
 先週は製本屋さんが夏休みだったため、今日は2週間分の量を持って行った。事前チェック作業も2倍の分量だったので、時間に追われてみんなピリピリし、時には怒声を上げての作業になってしまった。なんとか無事に終えることができたが、全員ぐったりと消耗してしまった一日だった。でも、売上が2倍になると、この程度の量、忙しさだということを身体で理解できたのは、いい経験だったと思う。

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by hirune-neko | 2019-08-23 00:31 | 心の中のできごと | Comments(0)
<< 在韓邦人・宮本富士子さんの現地... ようやく復調したようだ >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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