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昼寝ネコの雑記帳

徒労感と諦観などの今日の雑感である

Astor Piazzolla-Retrato de Milton
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 先日来、書店の無い自治体が全国に400以上ある、という実態がずっと脳内に居座っている。本来的には、何も私ごときが頭を悩ませる必要は無いと思う。紙の本であれ電子書籍であれ、読書の動機は人それぞれだし、購入方法も自由なのは明白である。

 しかし、この約20年で、全国の書店に廃業が相次ぎ、書店総数は当時と比較して約60%までに落ち込んでいる。その結果、書店の空白地帯が増加していることになる。

 その原因は何か。単純に述べることは困難だが、いくつか考えられる。読書人口が減ったからなのか、電子書籍の購入者が増えインターネットからの購入が増えたからなのか、あるいはAmazonに代表される、便利で早くて場合によっては送料無料の購入が定着し、利用者が書店からAmazonに移ったからなのか・・・そのいずれもが原因として相関関係にあると思う。

 日本の書籍・雑誌は再販法により、値引き販売ができない。全国どこの書店でも同一価格で購入することができる。もちろん、注文してから書店に入荷するまでの日数は、まちまちのはずだ。

 その点、Amazonは翌日に配達されるケースが圧倒的に多い。しかも、プライム会員であれば、送料が無料なことが多い。最近は、書籍の在庫センターを全国展開し、自前の配送機能も構築しつつある。つまり、調達スピード、送料、そしてIT技術を駆使した読者サービスによる囲い込み技術は、大したものである。

 日本の出版文化は、ある意味では鎖国主義だったのかもしれない。洋書の翻訳出版、日本語書籍の海外出版はともかく、伝統的な取次・書店ルートの販売は他の新規参入を許さない牙城であり、Amazonですら最初は取次会社から仕入れて販売していた。それが気がつくと、出版社から直接仕入れるようになってしまい、現状は大規模な取次会社と通販書店の合体のようになってしまっている。

 では、これまでの長い間、取次会社と書店は努力を怠り、経営改革を行わないで来たのだろうか。決してそうは思わない。しかし、いわゆるグローバルビジネスの典型であるAmazonには、さすがにシェアを奪われつつある。

 書籍を単に商品と考えるなら、安くて便利で速いサービスに顧客が流れ、不便な販売網は淘汰される、というのがある意味で自然の摂理だと思う。しかし、書籍というのは・・・どうしても業界用語の書籍に馴れてしまっており、本という呼び方に違和感がある・・・単なる大量生産の工業製品なのだろうか。

 断じて違う、というのが私の持論である。知識を得るための読書というケースも多いだろう。しかし、子どもが小さいときから、親から「本」を読み聞かせられて育った場合、その子どもの感性や感覚は目に見えないところで涵養されると確信している。やがて自分で「本」を選び、自分で読むようになるなら、それは大人でも同じことだが、知的世界が拡がり、さらにはストーリーのある場合は、いろいろな疑似体験をすることになり、洞察力や観察力が育つ。

 つまり、広い意味では人格の涵養にもつながる、とても大切な時間が、読書だと考えている。自分の町に本屋さんがあり、その本屋のおじさんやおばさんが、親身になってお父さん・お母さんに対し、子どもへの読み聞かせを勧める。読書感想文を積極的に紹介する。大人には読書サークル活動を勧め、さらには種々の同人活動をサポートする・・・そのような、ぬくもりのある読書環境が、町の本屋さんを中心となって地元で醸成されてほしい・・・それが私の個人的な願望になっている。

 それで?能書きと理想論は分かったが、一体お前ごときに何ができるのか?と自問している。そこでもう少し、現状を詳しく知りたいと考え、「書店ゼロの自治体」に連絡してヒアリングしようと考えた。

 先日の「書店ゼロの自治体」の情報源である、トーハン広報課に電話し、主旨を説明した。すると、新聞社独自の調査で自治体名が報道された、と言われたので、朝日新聞に電話した。担当者の方が2017年の該当記事を探してくれて、1面の記事だと特定できたが、数カ所の自治体名しか記事に掲載されていないという。書店組合なら情報を持っているのではないかと助言され、書店組合に電話した。すると、そこまでの情報は無いという。書籍出版協同組合ならあるのではないかと言われたので、その書協に電話したが、やはりデータは無いと言われた。少し調べてくれて、以前アルメディアという団体がそのような情報を公開したことがある、と電話番号を教えてくれた。アルメディアに電話すると、かなり以前のことであり、すでにデータは無いという。行き止まりで八方ふさがりになってしまった。

 最後の手段は、都道府県庁に直接電話するしかない。北海道、青森が思い浮かんだが、東日本大震災後に最も多く訪れた気仙の地と、いろいろ力になってくれた東海新報社の常務さんの顔が思い浮かんだ。そこでためらわずに、岩手県庁に電話した。

 交換の女性に会社名と、震災後の寄贈絵本のため、気仙地域に何度もお邪魔したこと、東海新報社が何度も記事で紹介してくれたことなどを、手短に説明した。

 少し待たされたが、生涯学習関係の男性という方が電話口に出た。主旨をざっと説明し、「書店ゼロの市町村」を把握しているか質問してみた。把握できていないとのことだった。

 そこで、「書店ゼロの市町村」が主導し、地元の皆さんへ読書の機会を広めていただくお手伝いをしたいと思っているが、具体的に提案できる状況になったら、話を聞いてくれるか、と訊いた。お話は承るが、そのまますぐ実現するということにはならない、とのことだった。それは百も承知している。しかし紆余曲折はあったが、なんとか分厚く重い扉を開ける鍵を見つけた思いだった。

 「書店ゼロの市町村」を特定できなかったという徒労感はあるものの、読書の機会を待ち望んでいるそれぞれの市町村の皆さんとの、距離がかなり縮まったと勝手に思い込んでいる。

 しかし、どう考えても、わが社の商売にはならない。ボランティア、さらには下手をすると、持ち出しを覚悟しなければ始められないプロジェクトである。もし私が、アメリカの会社の新規事業企画担当者だったら、明日から出社しなくていいと、クビを言い渡されるだろう。正直言うと、自分でも呆れているぐらいだ。

 でも、ようやく営業対象がほぼすべて、テーブリの上に載ったという実感がある。営業コンタクトの優先順位、手法、時系列による展開方法などを、もう少し考えたい。

 あまり声高に言えることではないが、このまま年月が経ち、出版業界におけるAmazonの寡占・独占化が進むと、日本の国家安全にとって、どのような状況になるか。それを危惧・懸念しているのも、孤軍奮闘を厭わない理由のひとつである。

 何度かご紹介したが、現在トランプ大統領はペンタゴンに指示し、軍事裁判に向けて準備しつつあると聞いている。つい数日前も、ヒラリー・クリントン氏の疑惑調査に関わった元FBI長官が喚問され、拒否しているという情報を目にした。いわゆる、ディープステートの中心人物が軍事裁判にかけられるかもしれない。

 同様に、テック・ジャイアンツと称される、名だたるIT企業の雄、何社もが国家反逆罪の嫌疑をかけられているとの情報がある。いうまでもなく、中国政府と深く関わり、情報面での世界制覇を目指していると見なされている。その中にはFacebook、YouTube、Twitterと一緒に、Amazonの名も入っている。

 つまり・・・これはあくまでも私の個人的な懸念・疑念にしか過ぎないが、Amazonが、その販売手法で出版市場をほぼ独占するなら、中国共産党政府を批判したり、中国に都合の悪い情報の書籍は、実質的に不扱いとなり、情報がコントロールされてしまうことになりかねない・・・そのような状況の到来を懸念している。もちろん、全国の書店主の中には、すでに左翼的・反日的発想の人たちも存在するだろうと思う。しかしそれは、憲法で保障されている思想・信条の自由の範疇である。

 しかし、もし仮にAmazonジャパンが、中国政府と一体化し、戦略的にシェアを拡大しているとしたら、それはもうビジネスの世界ではなく、明らかにプロパガンダ・情報工作活動ということになると判断している。

 だがしかし、私自身もそろそろネコを被っておとなしくしようと思う。それこそ営業先には、いろいろな思想・信条の方が存在するのだから、自説を頑迷に主張することで自己満足するのではなく、「理念・哲学を前面に出す、書生論の未熟な商売人」を装って、演じ切ることにしようと思う。

 もう二度と表現することはないと思うが、ある意味では国家・国民のための、カウンターインテリジェンス・ビジネスを目指しているのだと、心密かに自負している・・・なんてっちゃって。大爆笑

 やはり私は、スパイ映画の観すぎなのだろう。

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by hirune-neko | 2018-11-27 02:27 | 心の中のできごと | Comments(0)
<< 優しい日本人の本質は、怒らせる... 少しずつだが、身辺整理が進んでいる >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

by hirune-neko
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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