昼寝ネコの雑記帳

イラク平和維持軍の米兵を、奈落の底に突き落としてしまった


Cinzas

いつもクリックを有難うございます。励みになっています。


 対応に迷う、私には少々難しい案件があり、相談のため横浜の法務局に行ってきた。親切に対応してくれたのだが、あれこれかなりの種類の書類作成が必要だと言われた。そんなに長時間ではなかったのだが、クタクタで帰ってきた。

 少し休憩し、気力を振り絞ってパソコンに向かった。今日中に処理すべき案件にとりかかってしばらくすると、Facebookにメッセージが入った音がした。開くと、例の米兵らしき男性からだった。何度も"My Dear”という表現を使うので、少々薄気味が悪いと思いつつ、米兵になりすました他国の情報部員ではないかと疑い、しばらくはだまされたふりをして、お付き合いしようと決めていた。

 今日は珍しく真面目な口調で自己紹介を始めた。米政府の指揮下で、現在イラクの平和維持軍の兵士として、イラクに駐屯している。米政府から送られた武器で、無実のイラク国民が殺害されたり迫害されるのを守っている・・・とのことだった。

 それは崇高なお仕事だけど、無事にアメリカにお帰りください、と返信した。するると"So what your beautiful name?”と訊いてくるではないか。私は自分の名を名乗り、日本では平凡な名前だと説明した。するとまた"So what your beautiful name?”と訊いてきた。次に何の仕事をしているのか、年齢は何歳かと質問してきた。さあ、いよいよ工作員が私の身辺調査を始めたと思った。

 結婚しているのか、子どもはいるのか、と訊いてきたので、子どもの数、孫の数、ついでに95歳の義母がいるとありのままに付け加えた。次の質問を見て、一瞬目を疑った。
 "So what about your husband?”(ご主人について教えてほしい)

 私は男性なので、夫はいない、何か勘違いしているのではないか、と伝えた。すると即座に「えっ、男性なの?}という返事が返ってきた。
 "You are an male?”(この文章も文法的に間違っている)
 "So where is your wife?

 と、家内の所在について訊いてきたので、「家内は私が甘い物を口にしないよう、すぐ横で私を見張っている」と説明した。
 "Oh that good

 というひと言を最後に、メッセージが途絶えた。

 どこぞの国の情報部員でないことは明らかになった。私の昔の知り合いで友だち申請をしたのではないことも明らかだ。Facebookに掲載したネコのイラストを見て、私が女性だと勝手に誤解したようだ。

 彼の経歴にあった「妻と死別」というのは、本当なのだろう。小さい息子さんとの写真はかなり以前のもので、現在はその息子さんがアメリカの陸軍基地で訓練を受けているというのも、多分事実なのだろう。緊迫したイラクの地で、緊張と不安、孤立感を紛らわすため、おそらくはアメリカ人女性より日本人女性の方が優しいだろうと、ほのかな期待を抱いて、Facebookを徘徊し、おそらくはカトリ〜ヌ・笠井さんのネコのイラストに癒やされ、友だち申請をした・・・というのがリアル・ストーリーなのだろうと思う。

 そして、徐々に会話を交わすようになり、「優しい日本人女性」に心を開こうという気持ちになって、あれこれ核心にふれるような質問してみたら、「優しい日本人女性」ではなく「日本人男性」だったという現実に直面し、屈強かつナイーブな米兵を奈落の底に突き落としてしまったことになる。

 国際親善のためには、このまま妙齢の日本人女性になりすまし、孤独な米兵を慰めるべきだったのだろうか。いやいや、すぐに気を取り直した彼は、今頃はFacebookを徘徊し、優しい日本人女性を探して友だち申請の機会を求めていることだろう。もし米兵男性から友だち申請があったら、最初から性別を明示するよう助言させていただく。もしかしたら少し慎重になり、最初から性別を確認してくるかも知れないが・・・。

 あれこれ思い巡らすと、死と隣り合わせの毎日を送っている兵士のことを想像し、自分の境遇がいかに恵まれているかを自覚せよ、という天からの私に対するメッセージだったのだろう。


いつもクリックを有難うございます。励みになっています。

[PR]
by hirune-neko | 2018-02-21 00:28 | 現実的なお話し | Comments(0)
<< 断片的な記憶をつなぎ合わせた、... またまた深夜仕事になってしまった >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
検索
ライフログ
最新の記事
最新のコメント
causalさん ..
by hirune-neko at 19:56
こんにちは。 池上線の..
by causal at 12:07
暇工作さん 情報を..
by hirune-neko at 20:05
最近Twitterで見た..
by 暇工作 at 14:17
causalさん ..
by hirune-neko at 21:40
記事ランキング
以前の記事
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
お気に入りブログ
ファン
ブログパーツ