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昼寝ネコの雑記帳

失われた空白の時間を求めて


Gidon Kremer - Historie Du Tango Cafe 1930, Bandoneón/arrangement: Per Arne Glorvigen

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1969年・昭和44年という年は、振り返ってみると
自分の人生の大きな分岐点だったと思う。
いや、正確にいうと、その後の人生にも大きな分岐点は
いくつもあった。

しかし1969年という年は、いわゆる日米安全保障条約を
更改する前年であり、それに反対する社会的なうねりが
大学生にまで波及した、いわゆる
学生運動のピークの時期でもあった。

北海道の地方都市で、
学校を抜け出し毎日ジャズ喫茶に通う
おちこぼれの高校生活を送っていた私にとって、
東京という都会は、著名なジャズ喫茶やライブハウスが
存在する、それだけでも憧憬の空間だった。

しかし、実際に東京で大学生になってみたら、
お茶の水では異様な雰囲気の機動隊の隊列を目にし、
高田馬場ではデモ隊を鎮圧するための、空からの
催涙液散布に巻き込まれ、
重篤なカルチャーショックを受けた。

もともと、自分の外の世界に対しては
醒めてしまっていたと思うが、
そのカルチャーショックは、漠然と抱いていた
社会に対する幻想を、無残に打ち砕いた。

大学には行かず、
もっぱらすずらん通りの古書店を徘徊した。
当時の嗅覚は、やがてカミュを探し当て、不条理から
サルトルの実存という概念に引き込まれていった。

計算間違いでなければ、あれからすでに46年が
経過しようとしている。四捨五入すれば半世紀だ。

目的を失い、何に対しても価値を見出せず、
その意味では、形而上学的な葛藤と常に闘ってきた。
振り返れば、そのように実感してる。

この約半世紀という長い年月で、
自分のある部分は風化し、
ある部分には忽然と湧水が出現した。
失っていた感情や感覚が蘇生したようにも思う。

そんな過去から押し出されるように、
昨秋は突如思い立ち、
ある大学院の講座を受講させていただいた。
大学も大学院も若い学生で溢れ・・・当たり前だが・・・
希望と活力に満ち溢れている。

未来に向かって漠とした希望や夢を抱く学生の空間は、
疑念や雑念を払拭させてくれるし、まさに学問の家だ。

さらに押し出されるように、正規の履修生としての
出願を、今日終えてきた。試験科目は専門分野の英語と、
口頭試問だという。すでに、志望動機や目的は
所定の用紙に記入して、願書と一緒に提出してきた。

もし試験に通り、受講するようになったときは
すでに64歳になっている。

自分の子どもと同年代の先生に教わり、
ほぼ孫たちと同世代の学生たちと机を並べる。
そのシーンを想像してみると、奇妙な光景に思える。

若者は、未来に向かって自分の存在を投機する。
・・・ふいにヘーゲルのアウフヘーベンという言葉を
数十年ぶりに思い出し、苦笑している。

私は、自分の過去に向かって、
とりあえずは自己投機してみようと思っている。
この約半世紀で失ったものと、得たものの双方を吟味し
改めて新しい自分を生き直そうという情熱に
後押しされている。

そんなこんなで、すっかり疲れ切った頭のために、
セブンイレブンに立ち寄って、ガトーショコラを
買ってきた。これは内緒の、私だけの秘密事項だ。


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by hirune-neko | 2015-02-05 23:47 | Comments(0)
<< 今日はここまでにしよう やれやれ、やっと一段落だ >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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