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昼寝ネコの雑記帳

陶然としたコンダクター

Astor Piazzolla - Libertango


どうもリベルタンゴは、あまり好きになれなくて敬遠しています。

ピアソラの曲の中では、かなりポピュラーであり
それだけに多くの演奏家が演奏しているのだけれど
聴いたほとんどは、表面的で平板な感じで・・・
なので、いつしか遠ざけていました。

一度だけ、イスタンブールのピアニストとチェリストの
女性デュオの演奏を紹介したのを思い出しました。
「怠け者のボランティア(1)」に掲載しました。
ついでながら、続編では今日紹介したい指揮者が
バンドネオン奏者のMario Stefanoと共演した名演奏
Oblivionを掲載しています。ピアノの前奏が、少々仰々しいけれど
なかなか聴かせる作品として、印象に残っています。
続編は「怠け者のボランティア(2)」です。

余談ですが、先月88歳の誕生日を迎えた母は、
他界する準備のために、少しずつ荷物を整理しています。
数日前、電話で話したときに、整理中に「怠け者のボランティア」の
印刷原稿が出てきて、読んでいるうちに泣けてきたと言ってました。
その情景を思い浮かべ、思わず笑ってしまいました。
こんな会話も、母の死後、いつかふと思い出して
懐かしむのだろうなと、時間が錯綜する思いでした。

締切に追われる期間が、やっと一段落して
YouTubeでピアソラの曲を探していたのですが
「ピアソラ音の出る図書館」に収録されていない演奏を
2曲見つけて追加しました。
いずれも、ロベルト・ゴジェネチェとの共演です。

で、話しは本題に戻りますが、
リベルタンゴの室内交響楽演奏バージョンを見つけました。
ちょっと気になって試聴したところ、なかなかいい演奏なんです。
ん?・・・ずいぶん陶然・超然とした指揮者ぶりだなと思ったんです。
ふと思い出して確認したら、やはり同一人物でした。
上記の「怠け者のボランティア(2)」で紹介した
Oblivionの演奏の指揮者でした。

ピアニストの前奏曲も、バンドネオンの演奏も
とても聴かせるものでしたが、この男性指揮者が
なかなか
「芸術的感性に満ちたスタイリスティックな指揮者」なんです。
カメラワークも非常に優れており、テレビ局の制作だと思います。
すっかり音楽に陶酔し、忘我の境地に見えます。
音楽家はこうでなくっちゃ、と思ったものです。
確認したところ、アルメニア国立室内交響楽団で
指揮者の名前は・・・はて、なんて読むんでしょうか。
アラム・ガラベキアン?・・・で合ってますか?
もしかしたら、著名な指揮者なのかもしれませんし
アルメニア国立室内交響楽団も、名オーケストラ
なのかもしれませんが、そうだとしたら
単に私が無知なだけのお話しですけどね。
(YouTubeの解説)
Aram Gharabekian conducts the National Chamber Orchestra of Armenia - the orchestral version of the Astor Piazzolla Libertango at the Zvartnots Monument-Complex Gala Concert in 2006 in Armenia.

ここまで書く途中で、思い出しました。
わが家の次男のお嫁さんは、外資系企業に勤務してますが
もともとは、ピアノ・オルガンの先生で、
なかなかいい感性の演奏をします。
彼女のお母さんは、とてもユニークなスタイルで指揮をするんです。
私の知人男性で、プログラマーの彼は、意外にも
オルガンを両手で演奏するのを最近知り、あまりの好演に
本当におったまげたのですが、その彼はもともとは
非常にユニークな、オーバーアクション気味の
指揮手法で有名になっていました。
ある日、彼に誘いをかけてみたんです。

「今度、持ち寄りコンサートを開くときに
エア・コンダクター部門を創設してもらうから
出演してみない?うちの嫁さんのお母さんも
ユニークな指揮法なので、受けるよ、きっと」
「エア・コンダクターって、なんですか、それ?」
と聞かれたので、
「エア・ギターってあるでしょ?ギターを持たずに
惹く真似だけするの。あれと同じで
音楽をかけて、それに合わせて指揮だけするの」
数秒間考えた彼は、こう言いました。
「それって、単にボクが馬鹿だっていうことですよね?」

いやあ、全然そんな積もりはなかったんですが、
その話はそれっきりで、以後、実現していません。
お嫁さんのお母さんは、ずいぶん乗り気だったので
残念ですけど、仕方ありません。
その、エア・コンダクター候補の彼は現在、
一緒のボランティア活動で、「情報伝達の適正化システム」を
担当してくれています。
私にはまったく、別世界の内容なので一切、口出しできません。

こうして、珍しく何も予定のない土曜日の午後、
久しぶりにブログに向かうことができて、ほっとしています。
by hirune-neko | 2013-02-09 16:14 | 音楽・映画・本の世界 | Comments(6)
Commented by papabubure at 2013-02-09 17:28
あら、御予定の無い土曜日だったのなら早めにお知らせすればよかったかな?
今、有楽町の角川シネマで「大人の音楽祭」と銘うって数々のライブをドキュメント方式で上映してます。かなりハイクオリティな作品らしいです。
ちなみに9日、本日ですね16,50分からはダイアナ・クラールのリオでのライブでした。アントニオカルロス・ジョビンとか諸々・・・
4月半ばまで上映してるみたいですよ。
Commented by hirune-neko at 2013-02-09 17:44
papabubureさん

へえ、そんな映画が存在するんですか。
知りませんでした。
ダイアナ・クロールが、ジョビンとも共演しているということですか?
なかなか豪華ですね。
難点は、かなり出無精になっており、電車に乗って
人混みの中に行くことが、億劫になってるんです。
困ったものですね。
でも、これが無料和洋菓子試食会だったら
行く気になるかもしれませんね。
Commented by El bohemio at 2013-02-13 08:41 x
リベルタンゴですがピアソラ自身の演奏で
イタリア初演は寄集めの楽士の演奏で
何かはりがなく、キンテートの演奏は
ピアノがジャズ臭くいずれも気に入らず
余り聞くことがない今日この頃でしたが、
アルメニアの室内楽演奏は新鮮です。
Commented by hirune-neko at 2013-02-13 16:39
El bohemioさん

この曲はイタリアで初演なんですか?
曲の背景は分かりませんが、
演奏の技術の問題ではなく、感情の掘り下げとか
演奏家の「血」の匂いとかが伝わらない
ほぼ楽譜をなぞって自分流に解釈して・・・という
いわばピアソラ不存在の演奏が多いように思っています。

まあ、個人の好き好きですから、私は黙って
自分の好きな演奏を聴くだけです。
Commented by El bohemio at 2013-02-20 00:27 x
昼寝ネコさん
リベルタンゴはクリー氏のデータでは73年作曲
とあり、手元にあるLPでは74年5月にミランの
スタジオで録音されたとあります。小生は
74年12月にブエノスアイレスのコリセオ劇場
のコンサート実演で聴くことができました。
Commented by hirune-neko at 2013-02-20 11:38
El Bohemioさん

ピアソラの生演奏を聴かれた肩は、日本人では
そうは存在しないでしょうね。貴重な存在です。
やはりいつか、ブエノス・アイレスに行ってみたいと
ますます思っています・・・が、長旅ですよね。
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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