昼寝ネコの雑記帳

厳しい冬であっても、やがて春は訪れる

Jessye Norman - You must believe in spring (Michel Legrand)


今朝、配達された郵便物の中に、
仙台の中学校の先生からの封書があった。
開封すると、被災者向けの絵本の寄贈申し込み葉書が1枚と
9人の先生からの、特別版絵本の申し込み葉書が9枚。
専用葉書による申し込みが初めて到着したので
驚いたのと同時に、手紙を読んでもらって喜びも拡がった。
文字が小さかったので、横で読んでもらったのだが
読みながら何度も言葉に詰まる様子に、こちらの
感動も呼び覚まされた。

手紙を送ってくれたのは、ある市立中学校の
養護学級の先生で、発端は5年前に遡る。

当時、仙台・河北新報の販売子会社・河北仙販が発行する
タブロイド新聞「ひまわりクラブ」で
絵本「大切なわが子へ」の記事をお読みになり、その先生が
養護学級の最後の授業に使いたいと連絡してくれた。
主旨が主旨なので、1冊寄贈させていただいた。
授業には父兄が参観され、先生は一人ひとり
子どもの名前を文中に入れて、読み聞かせてあげたらしい。
お母さんたちが感極まって涙を流し、
子どもたちも感動したという報告の手紙と
その子どもたちが作ってくれた「豆乳石けん」を
お礼に贈ってくださった。
あれからちょうど5年の歳月が流れた。

10日ほど前だろうか。
書類を整理していたら、5年前にその先生からいただいた
手紙が出てきた。
ためらわず、中学校に電話したところ
ちょうど都合良く、電話口に出てくださったので
絵本「大切なわが子へ」に被災者向けの文章を
3種類作ったので、必要とする方がいらっしゃたら
紹介してあげて欲しいと伝えた。
無料で寄贈する絵本であることを伝えた。
即日、案内パンフレットを数十枚送ったところ
今日、その先生から封書が届いた次第だ。

手紙を読むと、スクールカウンセラー・心の相談員、
「道徳の授業」を受け持つ教諭、「命の授業」を
担当する特別支援教諭の皆さんが、授業で活用したいと
製作を申し込まれたそうだ。

奇しくも、先日私が電話したのは、授業担任の先生と
5年前に寄贈を受けた絵本「大切なわが子へ」を使って
授業をされたときの様子を説明した直後だったらしく
とても「縁を感じる」とおっしゃってくださった。
その先生は、あと1ヶ月で定年らしく
個人としては望外の、たくさんの寄贈を申し出てくださった。

機関投資会社や大企業に金融商品を推奨し、
数百億円、数千億円という巨額の売買を
行っている企業から比べれば、私たちの作る絵本の単価たるや
まさに無に等しいと言われるだろうし、
1冊ずつ、手間のかかる絵本を製作して
理念・理想を追う私たちの姿を見て、
非効率的な仕事だと冷笑・嘲笑する人も存在した。
でも、数十年間、稚拙な営業の連続ではあったが
そこで学んだのは、売上や組織の規模の大きな企業・団体に
頼り切って事業展開することによって潜在的に拡大するリスクだ。

物言わぬ、社会的には無名かもしれない
たった一人の顧客が、心に感動と平安を感じ
私たちの製作した絵本を、心から支持してくださる・・・
これに勝るビジネスモデルはあり得ないと確信している。

私のために、横で手紙を読んでくれたスタッフは
読み終えると、旧約聖書の「伝道の書」の1節だという
次の言葉を暗唱して告げてくれた。
まさか、聖書の言葉を耳にするとは思わなかったので
正直、非常に驚いたが、心に残る言葉だった。

「朝のうちに種をまけ、夕まで手を休めてはならない。
実るのは、これであるか、あれであるか、
あるいは二つともに良いのであるか、
あなたは知らないからである。」(旧約聖書「伝道の書」より)

どんなに厳しい冬であっても、やがて春はやって来る、
そう思い続けられるかどうかは、確かに分水嶺だと感じる。
You Must Believe in Spring・・・ずっと
ビル・エヴァンスの演奏しか聴いていなかったが
ミシェル・ルグランの作曲だということを、今日知った。
さらに、オペラ歌手のジェシー・ノーマンが
こんな風にジャズを歌っているのも、初めて聴いた。
まだまだ、自分の未知、そして無知な面積が広いと発見するのは
実に楽しいことだ。
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by hirune-neko | 2012-02-20 23:07 | 心の中のできごと | Comments(2)
Commented by romarin at 2012-02-23 11:43 x
そのような方々が昼寝ネコさんの本を申し込んでくださって、本当に素晴らしい事ですね。
でも、無料で寄贈というのは大変では? 
「伝導の道」・・・まさしく。
Commented by hirune-neko at 2012-02-23 15:06
romarinさん

そうなんですよ。
好意的な反応で、とても有難く思っています。

無料といっても、私が自腹を切るわけではありません。
個人や企業・団体からの助成でやりくりするわけです。
いざ足りなくなったら、スイスの銀行から
隠し預金を送ってもらうつもりです。(爆笑)
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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