ムッシュ・ダダボクはね、これでもちょっとしたもんなんだよ。 だって、こうしてカトリ〜ヌ・笠井さんが 肖像画を描いてくれるほどなんだもの。 いやあ、ネコ社会なんてちょろいもんでね 今じゃボクもちょっとした権力者さ。 もともとブローニュのネコ社会は それなりに勢力バランスが取れていたんだよ。 ロシア貴族の血筋であるムッシュ・ポポロスキーが エカテリーナ大公妃の資産の一部を受け継ぎ フランスに移住して以来、ずっとブルジョワでね、 いつしかオーナー的地位を認められてたんだ。 それと、中国系・韓国マフィアの血筋の ムッシュ・キムがまた、大した政治的辣腕家で 渡仏してからあっという間に、ブローニュの 表社会から裏社会までにらみを利かせるように なったんだよ。 彼ら二人はお互いに補完し合って なんとか均衡を保っていたんだけどね よせばいいのに、ブローニュだけでは飽きたらず パリ市内の縄張りにまで手を出してしまったんだよ。 パリはね、ブローニュと違って 世界中からの移民ネコがたくさんいるんだよ。 だから、アラブ諸国やイスラエル、遠くは アメリカや日本などとの政治的な関係も視野に入れて 行動すべきだったのに、そこまで気がつかなかったんだね。 パリの保健衛生局のお役人の目に留まり 二人は、たちまち失脚してしまったんだよ。 さて、タナボタとはよくいったものでさ、 ボクには資金力もないし、政治的腕力もない。 それなのに、結局はボクに組織のトップの おハチが回ってきたんだよ。 確かにね、ボクは自分でいうのもなんだけど ムッシュ・キムに較べれば容姿がずっといいし、 ムッシュ・ポポロスキーに較べればずっと腰が低いし、 おまけに永年の「庶民派」という看板も奏功して いやあ、めでたくも組織の代表になったんだよ。 でもね、さすがにみんな、段々ボクの実力の無さを 知るようになって、クーデターまで起こそうとするんだよ。 ボクはね、柳腰とか二枚腰、二枚舌なんていう 生やさしいもんじゃない。 せっかく掴んだ地位だもの、タダでは起きるものか。 そう決心してからは、ペテン師といわれようが 左翼系のネコ新聞の社説で酷評されようが 辞めるふりをしたり、居直ったりで なんとか今日まで持ちこたえてきたんだよ。 いやあ、天はボクを見放していないと思ったね。 ボクが辞める前に、なんとか踏ん張って 「キャットフードの全量買い取り法案」を通してくれたら ムッシュ・ポポロスキーに対抗できるだけの 政治資金を継続的に献金してくれるっていう企業が 現れたんだよ。なんてボクはラッキーなんだろうね。 そうなれば、永年のあこがれだった 派閥の領袖になれるし、再起も可能になるじゃないの。 だからね、ボクは尊敬する日本の総理大臣を模範として 最後まで、辞任と引き換えに 「キャットフードの全量買い取り法案」を通すよう 死んでも頑張る覚悟なんだよ。 駄々をこねてるといわれようが なんといわれようが、一向に構わないさ。 資金力と政治力さえあれば、すぐに再選されるさ。 いっただろ? ネコ社会なんて、ちょろいもんなんだよ。 (筆者注意:え〜、これはカトリ〜ヌ・笠井さんが 丹精込めて描いてくれたイラストを凝視中に、 ふと思い浮かんだイメージであり、 実在するネコ社会や政治的な動きとは まったく無関係なフィクションですので、 くれぐれも邪推なさいませんよう お願い申し上げます。・・・邪推したくなる お気持ちは重々理解できますが、 あくまでも、くどいようですがフィクションであります)
by hirune-neko
| 2011-06-28 14:16
| 創作への道
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・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
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