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昼寝ネコの雑記帳

雑踏の中の静謐(せいひつ)・・

静謐(せいひつ)だなんて、普段あまり使わない言葉が
ふと思い浮かんでしまったので、書いてみた。
静寂(せいじゃく)と静謐(せいひつ)両者の
語感の違いを考えてみるだなんて
思いもよらなかったことだが、それだけ静かな環境を
欲しているのだと、自己分析している。

余分なものを削ぎ落とし、脳内の雑音を鎮めたい。
そんな静かな悲鳴が聞こえる。
重要ではあっても、本質的には雑多な想念が
勝手に脳内で反響し、増幅されているように感じる。

知人が肺と脚に血栓ができ、集中治療室に入った。
今日、電話連絡があった。
血栓を溶かす治療を受けているようだが、
下手をすると心臓か脳の血管に流れ、そこが詰まる
危険性があるという。心筋梗塞、脳梗塞。
私も自分の病と闘ってはいるが、
彼は静かな空間に独りいて、恐怖感と対面しているのだろう。
もともと駄洒落が好きな人間なので、
もしかしたら、こんな言葉をつぶやいているかもしれない。
「ボクは今、血栓と戦っています。これが本当の決戦です」
「心筋梗塞で動けなくなったら、本当に拘束ですね」

別の知人は肝臓に膿が溜まり針を刺して
膿を抜いたそうだ。つい昨日のことだ。
肝臓3カ所に針を刺す治療は
3度の出産の痛みと較べても、もっと痛かったそうだ。
複数の難病を持つ女性だが、気丈に闘病生活を送っている。

二人の健康の快復を心から願っている。

較べる尺度は違うだろうが、肉体の苦痛と精神の苦痛。
どちらが耐えやすいのだろうか。
ある知人がこう言ったのを思い出した。
「人の心は病苦をも忍ぶ、しかし、
心の痛むときは、だれがそれに耐えようか。」
(旧約聖書・箴言18章14節 )

昨年の夏にスタートした、鎌倉の「たけこさん」の原稿が
ようやく校了にこぎつけた。
統合失調症で精神病院に7回入院した経歴を持つ。
今も、鎌倉の施設で暮らしている。
彼女は40年間、ずっと死ぬことばかりイメージしてきたという。
「希望」や「愛」が視野に入ることのなかった心の闇。
その閉ざされた空間から、絞り出すような文章が生まれ
8月の下旬には1冊の本となって出版される予定だ。

いろいろな人生がある。
人生というものを、ようやく分かりかけた頃に、
すなわち、どのように生きるべきかを悟った頃に、
人は、その人生の終末を迎える。
なんと皮肉なことだろうか。
「たけこさん」は、文中で、「天の母様(ははさま)」に
心を委ね、救いを求めたと語っている。
彼女がクリスチャンなのかどうか尋ねてはいないが
おそらく、人の心の奥深いところには
原始的な信仰心があるのだろうという気がする。

もし、死が人生の終末ではなく、死後にも人生があるとすれば、
この地上での苦難も、価値あるものとなるのだろう。
しかし、実際に目で見ることのできないものを
信じるというのは、論理性や科学的検証を超越する行為であり
まさに「まだ目で見ないものを信ずる」ことに違いない。
その感度、感性こそが、現代人が喪失しつつも、
創造されし者として、持ち続けているもの・・・
すなわち、重層的に蔓延する
雑多な雑音によって毀損されてはいるが、
前世で恩寵として与えられたものの
残滓(ざんし)なのかもしれない。

うぐぐ・・・今日は久しぶりに「こしあん大福」を食べたので、
それと内緒だが、セブンイレブン・ブランドのバタークッキーと
さらに、ヤマザキの薄皮クリームパンまでつまんでしまい、
ちょっと自省的な内容になってしまった。
すっかり反省していることを付記しておく。
by hirune-neko | 2009-07-18 02:13 | 心の中のできごと | Comments(2)
Commented by バオバブ at 2009-07-21 01:06 x
何だか読んでいたら恐ろしくなってしまいました。
大変な御病気をお持ちの方は辛い治療と戦っていらっしゃるのですね。わたしの顎関節症(?)なんて物は痛い内に入りません。
大あくびの連発と大口開けて食べたお弁当がいけませんでした。
にゃんこ先生も本当に御身体に気を付けて下さいね。
Commented by hirune-neko at 2009-07-21 18:40
>バオバブ

はっ、有難うございます。
顎関節症なんですか?
大あくびの連発と大口開けて食べる・・・
私の日常ですが
今のところ、大丈夫のようです。
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

by hirune-neko
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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