シジフォスの神話
最近の忙しさを振り返ったとき、
「シジフォスの神話」という言葉を思い出した。 おそらく、ギリシャ神話に起源があるのだと思うが、 アルベール・カミュの「シジフォスの神話」が すぐに思い浮かんだ。以下に、ほんのさわりを紹介する。 「不条理と自殺」 本当に重大な哲学の問題は一つしかない。それは自殺である。人生が生きるに値するか否かを判断すること、これこそ哲学の根本問題に答えることである。それ以外のこと、世界は三つの次元をもっているかどうか、精神は九つの範疇をもつのか十二の範疇をもつのか、などというのは、それから後の問題である。こういったことは遊びである。何よりさきに、先ず哲学の根本問題に答えなければならない。そしてもしも、ニーチェが望んでいるように、哲学者というものは身をもって教を説いてこそ哲学者たりうるということが真実であるとするならば、その時この答の重大さが納得できるのである。なぜならこの答は、次に決定的な行為を導きだすものだからである。これは心情にはじかに感じられる明白な事実だが、しかし更にこの事実を深くえぐって、精神に明らかにこれを把握させるようにしなければならない。 学生だった私には、カミュの「感性」の部分が新鮮に映り、 「理論」の部分は二の次だった。 とにかく、押し潰されそうな精神状態の時に 論理的に哲学的な思考などできるはずがない。 詳細は憶えていないが、拷問のひとつを紹介していた。 何日もかけて大きな穴を掘らせる・・・ 掘り終わったら、その穴を埋め戻させる・・・ それを何度も繰り返してると、その人間は 発狂するか人格が破綻する、というのだ。 日本では、確か「賽の河原の石積み」というような 似たような話があるように記憶している。 20代からこれまで、一体どれだけの企画書を作っただろうか。 大半は、実行に移したものの そのほとんどが思うように稼働しなかった。 落胆などしている暇はない。 すぐに次のことを考え、行動に移さなければならない。 大変な試行錯誤だったが、幸いに、ほとんどが 「出版業界」という範疇の中で展開した。 それも、国内の書籍・雑誌の分野に留まらず 英米・仏・独の洋書、海外雑誌、輸入楽譜までの 多岐にわたったのだから、今思えば まったく無謀な発想で行動していたように思う。 方向感覚は具わったものの、体力と気力が落ちた。 永年ずっと、昼の働く姿は仮の姿で 独りになって何か考えるのが、本当の自分の時間、 という感覚が続いていたように思う。 しかし最近はそうでもなく、仕事で何か実現しようとしている 部分に、自分を投影できるようになってきたようだ。 自分よがりの観念、妄想、夢想が、もしかしたら 世の中で必要とする人が、少しはいるのではないか・・・ そう思えるようになってきた。 だから、仕事で夜なべすることも 拷問のようには思えなくて、達成感を伴うように 思えてきている。 自分では、大変な進歩だと思っている。
by hirune-neko
| 2009-03-24 02:32
| 心の中のできごと
|
Comments(4)
Commented
by
バオバブ
at 2009-03-25 00:47
x
む、む、むずかしい事を常にお考えになられているのですね。
哲学の理論は難しくて分かりませんが、14歳からの哲学という本を読んで妙に納得した事があります。悩める中学生に物事をいろんな角度からみる癖をつけるように教えた教科書みたいなものです。 いじめとか自殺とか親への反抗とか、宗教とか・・・それについての解答はとても的を得ていました。たまに繰り返し読む本です。
0
Commented
by
hirune-neko at 2009-03-25 10:23
Commented
by
バオバブ
at 2009-03-25 11:40
x
Commented
by
hirune-neko at 2009-03-25 19:11
|
検索
ライフログ
最新の記事
最新のコメント
記事ランキング
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 昼寝ネコのプロフィール
・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
ファン
ブログパーツ
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||