昼寝ネコの雑記帳

災害とクレモンティーヌは、いつも忘れたころにやってくる


Clementine クレモンティーヌ - Lete レテ~夏 - アン・プリヴェ~東京の休暇 01


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 今日は午後から、ボランティアで引き受けていた何種類かの製作物の作業をしていた。今ちょうど午前〇時を回ったが、なんとか校了用の原稿まで作成することができた。やれやれ、ひとつ片付いた。

 「おじさん、仕事もう終わったの?」
 
 突然部屋のすみから声がしたのでびっくりした。

 「おやっ、クレモンティーヌじゃないか。いつ来たの?びっくりしたよ」
 「夕方過ぎには来ていたんだけど、おじさんが凄く集中して仕事をしているようなので、声をかけそこなったの。椅子に座ってうたた寝してたみたい」
 「そういえばずいぶんしばらく会ってないね。平穏無事に暮らしていたのか?」
 「おじさん、私のことなんてちっとも思い出さなかったでしょう?」
 「いや、そんなことはないよ・・・」
 「いいのよ無理しなくて。ちゃんと顔に書いてあるんだから。おじさんは嘘をつけない性格だから、ちゃんとわかるのよ」

 姪のクレモンティーヌとのやりとりをそのまま文章にしてしまうと、あっという間に膨大な文字量になってしまうので要約させてもらう。

 このブログには、これまでクレモンティーヌが何回か登場している。すでにお読みの方はご存知と思うが、私がフランスのドゥーヴィルにいたとき、親代わりで育てた時期があった。本当は叔父でもなんでもないのだが、天涯孤独の子ネコだったので、叔父だと嘘をついて安心させていた。

 クレモンティーヌはどういうわけか、浅草が好きで舟和の芋ようかん、梅園のデカどら焼き、それと常磐堂の雷おこしを食べに、ぶらっとやってくることがある。

 クレモンティーヌの話によると、ようやく恋人ができて結婚し、それを機にパリに本部がある昼寝ネコ世界大会議の議長秘書を辞めたそうだ。ところが、結婚して1年も経たないうちに、夫のネコが車に轢かれて亡くなってしまい、失意のうちに暮らしていたそうだ。ところが、昨今の世界情勢の悪化に伴い、世界中に離散している昼寝ネコ一族の保護の必要性が急浮上し、議長からクレモンティーヌに再登板の声がかかったらしい。

 今回の来日の目的は、浅草巡りではなかった。昼寝ネコ世界大会議の情報部は、世界中のネコネットだけでなく、CIA、MI6、モサドなど主要国の情報機関とも頻繁に接触を行っているそうだ。

 最近、昼寝ネコ世界大会議の情報部が得た極秘情報によると、北朝鮮に棲んでいるネコたちが、食糧難のため野生化し始めているという。さらには、韓国でも深刻な干ばつのせいで、ネコたちが食べ物を得られず、南北朝鮮では餓死寸前のネコが急増しているという。
 そのような限界状況下で、・・・人間が聞いても一笑に付する情報なのだが・・・、北朝鮮の金正恩氏と韓国の文在寅氏の両方に対する、ネコたちによる暗殺計画が進んでいるというのだ。

 クレモンティーヌの来日ミッションは、南北朝鮮のネコたちがネコネットを経由して頻繁に発信している、乱数暗号を傍受し、暗殺計画を未然に察知することだという。つまり、昼寝ネコ一族の厳格な家訓では、人間やネコを問わず、生き物を殺害することは厳しく禁じられている。敵からの襲撃を受けた際も、反撃してはならない、という信じられない規律なのだ。

 そこで、パリの本部は一計を案じて、ネコのアインシュタインと呼ばれている、異才の科学者ネコに委嘱し、南北朝鮮のネコたちが餓死しなくて済む方法を研究させていたそうだ。

 その結果、絶対にあり得ない、夢のような、SF映画のような、とんでもない装置を開発したそうだ。パリの本部に設置された特殊なコンピュータとフードスキャンという器械で、食料を分子よりも微細な電子レベルに変換し、それをネコネット経由で世界中に送れるという。受信する側は、特殊なパソコンと専用電子レンジを合体させたような、割と大きめの器械があれば、あとは、デスクトップに表示されるレシピを選択するだけ。3分以内に、アツアツの料理が出来上がるという。

 もちろん野菜や果物、穀類は素材として高速で配信できるという。パリ本部の議長は、追い詰められた南北朝鮮のネコたちが、一族の掟を破って宇宙の灰燼となってしまわないよう、全力を挙げて保護したいと決意している。

 ネコのアインシュタインの存在は人間社会では主要国の情報部しか把握していない。このプロジェクトに対し、CIA、MI6、モサドが協力を申し出たため、比較的短期間で実験機器が完成したそうだ。現在は、実用に向けての最終実験を行っているとのことだ。

 もちろん、これら情報部は支援の見返りを求めている。それは、人間世界ではHUMINT情報(Human Intelligence)と呼ばれる手法を応用し、CATINT情報(Cat Intelligence)という手法による情報収集と分析を求められているそうだ。

 つまり、ネコだとどこにいても決して怪しまれることはないし、地下トンネルにだって自由に出入りできるし、核施設に近づくことも容易だ。そこで、ネコ専用の超小型GPSチップと、生体CCV(Cat Camera Visoin)と命名されたこれまた超小型のナノ・デジタルカメラを、目立たないように頭部に埋め込み、情報の自動発信を行う・・・議長はこの提案を受諾したそうだ。

 なんと、ネコ世界がここまで進んでいるとは、唖然として声も出なかった。

 クレモンティーヌは、寡婦となった哀しみを乗り越えて、使命感に燃えた闘士になっていた。もうこんな深夜なのに、これから夜行バスに潜り込んで、石川県・金沢まで行きそこからさらに能登半島の突端に行くそうだ。そこで一族のネコたちと合流し、南北朝鮮のネコたちにネコネット経由で食料を受け取れる、特殊機材の受け渡し方法を打ち合わせるという。さらには、CIAが富山大学の医学部に依頼し、南北朝鮮のネコたちの頭部に、超小型GPSチップと、生体CCV(Cat Camera Visoin)を埋め込む手術を受けられるようになっているというので、確認に戻るらしい。

 格言・・・災害とクレモンティーヌは、忘れた頃にやってくる。いつ来ても、ミニ台風のように、旋風を巻き起こしては、あっという間に消えて去ってしまう・・・本当に台風娘のような存在だ。

 すでに亡くなって久しいクレモンティーヌの母親・・・ドゥーヴィルの浜辺近くの家で、いつもピアノを弾いていた・・・そういえば、彼女は好んでシャミナードの曲を弾いていたっけ。今ではもう、化石のような想い出になってしまったが、おそらく今でも、いつも娘のクレモンティーヌを見守っているだろうと思う。


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# by hirune-neko | 2017-06-15 01:42 | 創作への道 | Comments(2)

追加コメント〜ブログ読者の方から


helen merrill what's new


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 昨晩の記事で、村上春樹作品をシビアに論じた、ブログ読者・causalさんの投稿コメントを紹介したが、それを読まれて今朝、改めて追加のコメントを投稿された。以下にご紹介させていただく。

【ブログ読者・causalさんの投稿コメント】
(引用開始)
 私の「村上本には日本が無い。」との感想ですが、酷評の味付けが薄すぎたと反省しております。
 本当はもっと酷いのです。
 「昔の日活の無国籍映画を見るようだ。小林旭や宍戸錠主演の渡り鳥シリーズみたいな「うどんウエスタンの小説版」ではないか!!」

 文学賞選考委員の意見は、流石に無教養な私とは違うのですが、同じ事を言っていると思います。
 「アメリカ文学からの影響が」「外国の翻訳小説の読み過ぎで書いたような、ハイカラなバタくさい処が…」
 「今日のアメリカ小説をたくみに模倣した作品もあったが…。」等々。

 日本ではなく海外読者の心を掴み、「売らんかな」の姿勢がタイトルからも覗えます。
 「ノルウェーの森」「海辺のカフカ」等々。
(引用終了)

 causalさん、とても参考になる連続投稿にお礼申し上げる。

 私は二十代の後半からアメリカに行き始めた。高校生の頃からジャズを本格的に聴いていたし、いわゆるハリウッド映画だけでなく、エルモア・レナードやロバート・B・パーカーなどのアメリカン・ハードボイルド小説にも親しんでいたので、ある種の憧憬があったのは事実だ。

 何年間かは仕事の関係で、アメリカ一辺倒だったが、その後新天地を求めて渡欧するようになった。英語も通じるし・・・と甘く考え、旧知の弁護士がクリフォード・チャンスという、大きな弁護士事務所に所属していたこともあって、最初はロンドンを拠点に模索を始めた。

 英国人と対面して、明らかにアメリカ人のメンタリティや価値観とは異なると感じた。アメリカの大都会の持つ雰囲気と、ロンドンの雰囲気はまるで違った。乱暴な言い方をすれば、アメリカに較べると、ロンドンの人間も街も、陰影が深い。

 いろいろな経緯があったが、ヨーロッパの国々を動き回るには、ロンドンよりもパリの方が圧倒的に便利だということが分かった。たまたま、ブローニュの森の近くに住んでいた、旧知の日本人夫婦の紹介で、新婚間もない夫婦のアパートに転がり込み、同居生活を始めた。普通では考えられないことだが、一カ月以上は居候の身だった。奥さんはブルターニュの出身で、ご主人はフツナという、確かフランス領ミクロネシアの島の王様の長男だった。今にして思えば、畏れ多いことだ。

 結局は、スイスとドイツまでしか行かなかったが、移民の国でもある英国やフランスで、多国籍の人たちと対面する機会があった。とくに意識はしなかったが、日本人である自分が、徐々に無国籍人間になりつつあるのを実感していた。

 ブログ読者・causalさんのコメントで表現されていた、「村上春樹作品の中には日本の痕跡がない」という意味の表現を目にしたとき、改めて自分が果たして今でも無国籍人間なのかどうなのか、自問してみた。・・・自問してみたが、答えは出なかった。ただ、私は私である・・・というしかない。

 当時の私は日本が嫌いだった。日本で生活していること自体に圧迫感を感じ、バスで成田空港に近づくにつれて解放感を味わったものだ。機内ではすっかりくつろぎ、サン・フランシスコ空港に到着したときには、まるで亡命者のように、自由で新しい未来世界が開けるような気分に浸った。

 その一番の理由は明らかだ。あの頃の私はまだ若く、社会や国の表層しか目に入らず、しかも、ある種の虚構である映画や小説からのイメージで、その国を捉えていた。深層に蠢く錯綜した、複雑な事象など視野に入るはずもない。

 あれから30年以上が経過した。今の私は少なくとも、人間や社会、国家の実態を表層で捉えず、その背後に存在する目に見えない深層領域を洞察しようと試みている。気がついたら、それがいつの間にか私自身の体質として、身体中に染みついてしまっているようだ。

 今の私は、完全に日本らしさを肯定的に考えている。国家の体内に歴史的に浸透してきた、「病巣」を抱えているのは事実だと思う。しかし、その病巣は時間経過とともに、善良な人たちの手によって徐々に開示され、日本人の多くはその独特の感性で、忌避感を強めている。ここ何年かのインターネットの普及と、加速度的な情報の拡散により、世論に大きな影響を与えてきたオールドメディアは、すでに衰退の途をたどっている。

 神学的な表現を借りれば、この時代は明らかに、イスラエルの散乱し失われた支族が再集合する時期にさしかかっていると思う。日本人は・・・全てとはいえないものの、大多数の日本人はその心の中に、信仰心にも似た正義感と潔癖さ、倫理観、慈愛の情を持ち続けている。実際に宗教者ではなくても、義に忠実なDNAを持ち続けている。

 狭い国土で資源も少ない国だが、民が一致結束し、光を放つ潜在的な力を有する、強大で恐るべき国民であると考えている。無限の底力を有するのが日本人である。

 日本も幾多の試練を経てきたが、真に「日本的な」底流が、地面を引き裂いて溢れ出てくる時代になっていると思っている。私は、そのような視点から、これからも自分のできることを追求していきたいと思っている。

 ブログ読者の方に、すっかり啓発された次第である。改めて、causalさんにはお礼を申し上げる。アメリカやアフリカを舞台にした短編をいくつか書いたことがあるが、ちゃんと作品中に「日本的なもの」を失わないように書き続けたいと思う。・・・いや、やはり私には今でもある種の無国籍人間のような感覚は残っているが、日本の良さに根ざした感性は失わないようにしたいと思う。日本的な良さに立脚した、国際感覚を維持したいと思う。


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# by hirune-neko | 2017-06-14 00:55 | 創作への道 | Comments(0)

ブログ読者の方からの粋な投稿コメント


"I Love Apples" Song


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 今日の日中、ブログが開かなくなってしまった。しばらくして何とか開いたのだが、今度は肝心な会社のサイトが開かなくなってしまった。今もまだアクセスすることができない。まるでサイバー攻撃にでも遭っているかのような、嫌な気分である。しかし、同じサーバーに設置している他のサイトは開く。どういう理由で開けないのか、さっぱり分からない。おかげですっかり調子が狂ってしまった。おそらく明日は、絵本の申し込みをしようとされた皆さんから、問い合わせの電話が何本も入るだろうと、覚悟をしている。

 最近のブログ記事で、村上春樹大先生のことやアップルコンピューターの別名であるMacintoshが、りんごの種類の名称であるなどと書いたところ、ブログ読者の方から投稿コメントをいただいた。この方はとても音楽に精通されているし、博学な方でもあり、かなりの語学力の方でもある・ ・ ・はずだ。ハンドルネームはcausalさんという。

 冒頭に掲示したのは、そのブログ読者の方が教えてくれた動画である。ご自分もMacintoshがりんごの種類の名前だとはご存じなかったようだ。この動画を観ていると、可愛らしい子供たちの歌声と一緒に、りんごの種類が1つずつ、ごく短時間だが表示される。気をつけて見ていないと見落とす位だ。2番目に出てくるのが主人公のMacintoshである。

 最後まで注意深く観ていたら、興味深い名前がいくつか出てきた。どうやら日本のりんごは富士だけのようだ。それ以外に、村上春樹の研究家で英語の論文を書き、その和訳の推敲をお手伝いしている方のファーストネームが出てくる。Jonathanという名だ。それともう一つ、読んではいないのだが「寒い国から帰ってきたスパイ」という小説があるが、それにぴったりの、Northern Spyという名前も出てきた。おそらくアメリカに行かないと食べられないと思うが、もしいつか行く機会があったら果物屋さんで探してみようと思う。

 それともう一つ、このブログ読者のcausalさんは、村上春樹作品を読んでいらっしゃるそうだ。ご本人の許可はいただいていないが、コメント欄は公開スペースなので以下に一部を、勝手に引用させていただく。私にとっては、なかなか痛快な評論だった。


【causalさんのコメント】
(以下、引用開始)
おはようございます。
新刊の村上本は「期待はずれで大量返本の可能性が浮上」と
書かれていますね。版元の新潮社では130万部を用意したが
50万部以上が返本か ?
私は彼の本を何冊も読んだ経験上。はっきり申し上げます。
村上本には「日本が無い」と。月が川端康成、三島由紀夫とすれば、すっぽんが村上本。読む価値もありません。
(以上、引用終了)

 おっ、何やらNHKラジオがニュース速報を流している。日本を代表する作家の村上春樹さんが、突然原因不明のくしゃみに襲われ、全く止まらない状態なので、救急車で病院に駆け込んだそうだ・ ・ ・。わがライバルが自滅したかのような瞬間である。

 しかし、ここまで酷評されるとは思わなかった。

 さて、仕事が立て込んでおり時間的に厳しい日々を過ごしているので、今日はこれにて失礼させていただく。


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# by hirune-neko | 2017-06-13 00:36 | 音楽・映画・本の世界 | Comments(2)

人生の晩年における雑感


2CELLOS - Oblivion (Piazzolla)


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 人生の晩年・・・とは書いてみたものの、どういうわけか自分の余命があとわずかであるという実感は、全然ない。あれこれ学びたいことが多いし、やり遂げたいことが、遥か彼方ではあるものの実体として存在するからなのだろう。

 病院で検査を受けた結果、余命6ヶ月とかのように、残りの人生の長さを宣告されることもある。そういえば、私の母が検査の結果、脳に腫瘍があることが分かった。その時、訪問医の先生は余命3ヶ月から6ヶ月だと、私に告げた。なるほど確かに、およそ6ヶ月弱で母は他界した。

 このように、医学的な事例からある程度の余命を予測することは、可能なのだろうと思う。しかし、普通に元気で生活をしている人たちが、最先端の科学技術を駆使して、正確に何年何月何日に、自分が他界する期日を確認できるとしたらどうなるだろうか。現実的に考えると、人間は病気で亡くなるだけでなく、思わぬ事故や事件に巻き込まれることもある。したがって、正確な余命を計算することは不可能だ。

 あくまでも想像だが、かなりの確実性を持って自分の余命期間を宣告されたら、どのような行動になるだろうか。今日は、そんなことを考えてみた。

 今でも憶えているが、私の叔父が癌を宣告された時、葬儀の時の挨拶文などを自分自身で準備した。そのような状況になってみなければ、どのような優先順位で行動に移すか予測がつかない。

 なんとなくの想像だが、おそらくは価値観や人生観が大きく変容するのではないだろうか。自分の人生で何が最も大切か、死ぬまでに誰に何を伝えたいか、それまでに何を成し遂げたいか・ ・ ・人それぞれだろうとは思うが、かなり残りの人生を猛スピードで生きようとするのではないだろうか。

 こうして考えてみると、虚しいものを追い求めて時間と労力を費やしてきた人の人生は、その通りに虚しく終わるだろう。それに対し、私利私欲を克服し他の人たちのために身命を賭する生き方をした人は、たとえ途中で倒れようが充実した人生だったと思えるのではないだろうか。

 一般論だが、人間にとって魅力的に思えるものはいろいろある。社会的な地位、資産、名誉などがその代表ではないだろうか。そのいずれもが、獲得するのに相当の努力と苦労が伴うだろう。だからより一層、執着し続けるのかもしれない。人それぞれの生き方だから、決してそれを責めることはできない。

 もし自分に、朽ち果てない人生観や価値観があるならば、それを達成することに全身全霊を傾けるだろう。そのためには何かを学び知恵を得て、さらには様々な技術を習得する必要がある。そのためには健康管理も大切な要素だ。私自身は、まるで巡礼者のように一生をかけて、朽ち果てない価値観や人生観を道標に、できるだけ長く生きて目標を達成したいと希望している。

 過去1年間を振り返ってみて、私はどのように私欲を克服してきただろうか、考えてみた。・・・そういえば、セブンイレブンに行ってもチーズケーキは買わなくなった。クッキーもチョコレートも買わなくなった。笑われるかもしれないが、これは私にとって大変大きな進歩である。比較的長い時間、頭と目と神経を酷使するので、どうしても甘いものが欲しくなってしまう。結果的に血糖値が上がってしまうという悪循環だ。医者は、血糖降下剤の処方を勧めるが、どういうわけか薬を飲むことに抵抗を感じる。急性の一過性のものであれば従うが、慢性的にずっと薬を飲む事はしたくない。

 笑われてしまうようなささやかな抵抗だが、遥か彼方の到達点に向けて自分なりに努力をしている。長年にわたって、ずるずると床に着く時間が遅くなっているが、とりあえずこれを改善しようと努めている。

 メンタルな領域のメンテナンスも、とても重要だと思う。日常化しているブログ記事の更新、好きな音楽を聴くこと、たまには好きな映画を観ること、ギター演奏や将棋の対局・ ・ ・時間との戦いではあるが、これに加えて名前を呼べばすぐに膝の上に飛び乗ってくれるネコがいれば申し分ない。今でも時々、ネコ禁断症状が出る。


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# by hirune-neko | 2017-06-12 01:04 | 心の中のできごと | Comments(2)

自分が正真正銘の妄想家だと確信した


A Time for Love by Shirley Horn


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 村上春樹の研究家が、学会での発表のため英文で原稿を書き、それを自ら日本語に翻訳して私に推敲というか、添削の依頼をしてきたのは先週で終えた。A4サイズで6ページだった。

 新たな依頼があった。円卓会議のような場で、村上春樹をテーマに5分ほどの発表があるので、また日本文を推敲してほしいという。英文はA4サイズで1ページなので、日本文では2ページになるとのことだった。日本人が、なぜ村上春樹の作品を日本語だけでなく、英語でも読みたがるか・・・という内容なので、昼寝ネコにはぴったりだと付け加えられた。

 できれば事前に英文を送ってもらい、雰囲気だけでも確認しておきたいと願い出た。今日、その英文原稿が届いた。1ページではなく2ページ半だった。

 どんな内容か開いてみた。最初から最後まで、音読してみた。そんなに難解ではなかった。彼は、日本語訳に10日ほどかかるので、待ってほしいと連絡してきた。

 そのとき、心の中に良からぬ考えが浮かんでしまった。この際だから、自分で和訳し、その訳文を彼に送ってチェックしてもらおう、と考えたのである。そのような展開になると、私の翻訳能力を判定してもらういい機会になるではないか・・・そう考えたのである。

 夕方から何時間かかけて、半分近くを翻訳し終えた。途中、どうしても意味を把握できない文章に遭遇したので、無理に一気に終えるのを止め、途中までの翻訳文を見てもらおうと思う。

 黙って彼の日本語翻訳文を待っていれば楽なのに、脳内で妄想ストーリーが駆け巡ってしまった。どんな妄想かというと・・・

 私が短時間で翻訳した日本文を読んだ後、彼の教える大学で、日本人の同僚に読んでもらったら、ひょっとして村上春樹が翻訳したのか?というほどの評価を受ける・・・いやいや、村上春樹ではなく、村上冬樹だよ・・・という冗談が飛び交う。

 その評判を聞き、英語圏の人たちの間で、村上春樹もどきの村上冬樹の存在が知られるようになる。やがて論文の日本語訳の依頼が増え出すことになる。調子に乗った私は、睡眠時間を削って、次々と引き受ける。

 やがて、私は自分の作品集を出版し、村上春樹研究家を中心に、英語圏の人たちが興味本位で買って読んでくれる。そのうち、アメリカの雑誌編集者の目に留まり、短編が何点か翻訳され、英語雑誌に掲載されることになる。

 ・・・いいぞいいぞ、その調子だ。

 ある日、会社に電話がかかってくる。相手は英語を話す女性だった。・・・以下、日本語に翻訳して実況中継することにする。あっ、あくまでも、妄想シーンの実況である。

相手「昼寝ネコさんですか?」

ネコ「はい、ネコが英語を話すので驚きましたか?」

相手「ハハハ・・・私は、アレクサンドラ・ウディノフと申します。ニューヨークで海外出版の仲介をしている会社に所属しています。」

ネコ「名前を聞いた瞬間、ロシア系の方がと思いました。」

相手「はい、両親はウクライナの出身で、アメリカに移住してきました。」

ネコ「お名前をお聞きして、冗談かと思ったんですよ。」

相手「どうしてですか?」

ネコ「いや、アメリカのテレビドラマに出てくる名前なので、一瞬冗談かと思ったんですよ。」

相手「昼寝ネコさんは、ひょっとしてニキータをご覧になってましたか?」

ネコ「へー、よくわかりましたね。」

相手「はい、アメリカではニキータが人気のテレビドラマでしたので、アレクサンドラ・ウディノフの名前を知ってる人が多いんです。ですからたくさんの人が、私の名前を聞いて怪訝な表情をするんですよ。」

ネコ「なるほど。ところで、今ニューヨークは何時なんですか?」

相手「いえ、私は今東京から電話をしてるんです。仕事の関係で、日本の出版社何社かと商談をしている最中なんです。」

ネコ「なるほど、そうでしたか。で、私に何のご用でしょうか。」

相手「はい、ニューヨークを発つ前に企画会議をしました。以前から、昼寝ネコさんの作品を多言語出版するという構想がありました。せっかく日本に行くのだから、直接お会いしてご相談したいと思ってお電話しました。」

ネコ「多言語ってどんな言語ですか?」

相手「はい、主要な言語は英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、ロシア語です。それに加えて、他の言語にもかなり対応しています。」

ネコ「へー、そんなに多言語なんですか。すごいですね。でも、私の作品がインターナショナルに読まれるような需要があるんでしょうか。」

相手「はい、もちろんです。私たちはこの仕事を長年にわたって行っていますので、出版物の需要予測は得意分野なんです。」

ネコ「なるほど、わかりました。お話だけでも伺ってみたいので、アメリカにお帰りになる前に、一度どこかでお会いしましょう。」

 ・・・このような妄想話は際限がなくなるので、ここで終わることにする。本当は、もっともっと続編があって、最終的には私が正真正銘の妄想家だと自覚するほど、ストーリーが展開するのである。でもまぁ、それぐらいの妄想力がなければ、とても創作などできないのではないだろうか。

 相変わらずまだ、私は日本語の村上春樹作品を読んでいない。私のほうが勝手にライバル視しているだけだが、一応は天下の村上春樹なので、どんな作風なのが読ませていただこうと思っている。

 まぁ私の場合は、妄想と現実が紙一重なので、正常なのか異常なのかと訊かれても、自信を持って答えることができない。そう遠くない将来、「続・昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版するので、半信半疑でお待ちいただきたい。これは妄想ではなく、十分に現実化できる内容である。


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# by hirune-neko | 2017-06-11 00:00 | 創作への道 | Comments(2)



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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