昼寝ネコの雑記帳

2017年 06月 15日 ( 1 )

災害とクレモンティーヌは、いつも忘れたころにやってくる


Clementine クレモンティーヌ - Lete レテ~夏 - アン・プリヴェ~東京の休暇 01


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 今日は午後から、ボランティアで引き受けていた何種類かの製作物の作業をしていた。今ちょうど午前〇時を回ったが、なんとか校了用の原稿まで作成することができた。やれやれ、ひとつ片付いた。

 「おじさん、仕事もう終わったの?」
 
 突然部屋のすみから声がしたのでびっくりした。

 「おやっ、クレモンティーヌじゃないか。いつ来たの?びっくりしたよ」
 「夕方過ぎには来ていたんだけど、おじさんが凄く集中して仕事をしているようなので、声をかけそこなったの。椅子に座ってうたた寝してたみたい」
 「そういえばずいぶんしばらく会ってないね。平穏無事に暮らしていたのか?」
 「おじさん、私のことなんてちっとも思い出さなかったでしょう?」
 「いや、そんなことはないよ・・・」
 「いいのよ無理しなくて。ちゃんと顔に書いてあるんだから。おじさんは嘘をつけない性格だから、ちゃんとわかるのよ」

 姪のクレモンティーヌとのやりとりをそのまま文章にしてしまうと、あっという間に膨大な文字量になってしまうので要約させてもらう。

 このブログには、これまでクレモンティーヌが何回か登場している。すでにお読みの方はご存知と思うが、私がフランスのドゥーヴィルにいたとき、親代わりで育てた時期があった。本当は叔父でもなんでもないのだが、天涯孤独の子ネコだったので、叔父だと嘘をついて安心させていた。

 クレモンティーヌはどういうわけか、浅草が好きで舟和の芋ようかん、梅園のデカどら焼き、それと常磐堂の雷おこしを食べに、ぶらっとやってくることがある。

 クレモンティーヌの話によると、ようやく恋人ができて結婚し、それを機にパリに本部がある昼寝ネコ世界大会議の議長秘書を辞めたそうだ。ところが、結婚して1年も経たないうちに、夫のネコが車に轢かれて亡くなってしまい、失意のうちに暮らしていたそうだ。ところが、昨今の世界情勢の悪化に伴い、世界中に離散している昼寝ネコ一族の保護の必要性が急浮上し、議長からクレモンティーヌに再登板の声がかかったらしい。

 今回の来日の目的は、浅草巡りではなかった。昼寝ネコ世界大会議の情報部は、世界中のネコネットだけでなく、CIA、MI6、モサドなど主要国の情報機関とも頻繁に接触を行っているそうだ。

 最近、昼寝ネコ世界大会議の情報部が得た極秘情報によると、北朝鮮に棲んでいるネコたちが、食糧難のため野生化し始めているという。さらには、韓国でも深刻な干ばつのせいで、ネコたちが食べ物を得られず、南北朝鮮では餓死寸前のネコが急増しているという。
 そのような限界状況下で、・・・人間が聞いても一笑に付する情報なのだが・・・、北朝鮮の金正恩氏と韓国の文在寅氏の両方に対する、ネコたちによる暗殺計画が進んでいるというのだ。

 クレモンティーヌの来日ミッションは、南北朝鮮のネコたちがネコネットを経由して頻繁に発信している、乱数暗号を傍受し、暗殺計画を未然に察知することだという。つまり、昼寝ネコ一族の厳格な家訓では、人間やネコを問わず、生き物を殺害することは厳しく禁じられている。敵からの襲撃を受けた際も、反撃してはならない、という信じられない規律なのだ。

 そこで、パリの本部は一計を案じて、ネコのアインシュタインと呼ばれている、異才の科学者ネコに委嘱し、南北朝鮮のネコたちが餓死しなくて済む方法を研究させていたそうだ。

 その結果、絶対にあり得ない、夢のような、SF映画のような、とんでもない装置を開発したそうだ。パリの本部に設置された特殊なコンピュータとフードスキャンという器械で、食料を分子よりも微細な電子レベルに変換し、それをネコネット経由で世界中に送れるという。受信する側は、特殊なパソコンと専用電子レンジを合体させたような、割と大きめの器械があれば、あとは、デスクトップに表示されるレシピを選択するだけ。3分以内に、アツアツの料理が出来上がるという。

 もちろん野菜や果物、穀類は素材として高速で配信できるという。パリ本部の議長は、追い詰められた南北朝鮮のネコたちが、一族の掟を破って宇宙の灰燼となってしまわないよう、全力を挙げて保護したいと決意している。

 ネコのアインシュタインの存在は人間社会では主要国の情報部しか把握していない。このプロジェクトに対し、CIA、MI6、モサドが協力を申し出たため、比較的短期間で実験機器が完成したそうだ。現在は、実用に向けての最終実験を行っているとのことだ。

 もちろん、これら情報部は支援の見返りを求めている。それは、人間世界ではHUMINT情報(Human Intelligence)と呼ばれる手法を応用し、CATINT情報(Cat Intelligence)という手法による情報収集と分析を求められているそうだ。

 つまり、ネコだとどこにいても決して怪しまれることはないし、地下トンネルにだって自由に出入りできるし、核施設に近づくことも容易だ。そこで、ネコ専用の超小型GPSチップと、生体CCV(Cat Camera Visoin)と命名されたこれまた超小型のナノ・デジタルカメラを、目立たないように頭部に埋め込み、情報の自動発信を行う・・・議長はこの提案を受諾したそうだ。

 なんと、ネコ世界がここまで進んでいるとは、唖然として声も出なかった。

 クレモンティーヌは、寡婦となった哀しみを乗り越えて、使命感に燃えた闘士になっていた。もうこんな深夜なのに、これから夜行バスに潜り込んで、石川県・金沢まで行きそこからさらに能登半島の突端に行くそうだ。そこで一族のネコたちと合流し、南北朝鮮のネコたちにネコネット経由で食料を受け取れる、特殊機材の受け渡し方法を打ち合わせるという。さらには、CIAが富山大学の医学部に依頼し、南北朝鮮のネコたちの頭部に、超小型GPSチップと、生体CCV(Cat Camera Visoin)を埋め込む手術を受けられるようになっているというので、確認に戻るらしい。

 格言・・・災害とクレモンティーヌは、忘れた頃にやってくる。いつ来ても、ミニ台風のように、旋風を巻き起こしては、あっという間に消えて去ってしまう・・・本当に台風娘のような存在だ。

 すでに亡くなって久しいクレモンティーヌの母親・・・ドゥーヴィルの浜辺近くの家で、いつもピアノを弾いていた・・・そういえば、彼女は好んでシャミナードの曲を弾いていたっけ。今ではもう、化石のような想い出になってしまったが、おそらく今でも、いつも娘のクレモンティーヌを見守っているだろうと思う。


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by hirune-neko | 2017-06-15 01:42 | 創作への道 | Comments(2)



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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