昼寝ネコの雑記帳

2012年 05月 23日 ( 1 )

明日は仙台から福島へ向かいます

Gustav Mahler - "Ich bin der Welt abhanden gekommen" (Rückert) - Fischer-Dieskau


13日に出発でしたから、10日が経過しました。
仙台駅近くのホテルに滞在しています。
明日は最後の訪問地である、福島に向かいます。

北海道、青森、岩手、宮城での予定は
すべてこなしましたが、結局、田代島には
行けませんでした。

少し疲れが蓄積しているせいか、
ホテルの部屋番号を間違えてしまい
ドアが開かなくて焦ったこともあります。
前日滞在したホテルの部屋番号を記憶していて
開けようとするのですから、どうにもなりません。

今日までに、合計で新聞社13社に伺って
12社が記事化を明言してくれました。
今日、会社に青森・弘前の陸奥新報がとどきました。
今朝の岩手日報の記事を読んだといって
何人かの方が、お電話をくださいました。
私から電話して詳しく説明しましたが、
聞いている私が声に詰まるような、切羽詰まった状況で
絵本を希望されている方でした。
もう、新聞社訪問の効果が出て、動き始めたわけです。

福島の2新聞社に行って、旅程の終了です。

被災地の景観は、テレビを観ない私にとって
現地に行くまでは、実感の伴わないものでした。
でも、大船渡の新聞社から気仙沼の新聞社に向かう途中、
海岸線と並行に走りながら、目の当たりにしました。
単に建物や街並みが破壊されたというだけではなく
人間の希望や思い出をも破壊尽くしたかのような
自然の猛威と、1年を経てもまだ残る傷跡。
重い現実でした。

その二日後に、石巻から女川町に向かって
車を走らせました。
海とは、彼方に水辺線が広がっているというイメージでしたが、
複雑に入り組んだ湾は、まるで湖のように陸地に抱えられ
青緑色の水をたたえていました。
そこは、非現実の世界に近く、あたかも
死せし人々のあまたの霊魂が、離れがたく存在している、
そんな厳粛な雰囲気を感じさせました。

言葉で表現するには限界を感じます。
マーラーのこの曲は、リュッケルトの詩をもとに作曲され
原題の意味は「私はこの世に忘れ去られて」だったかでしょうか。
バリトン歌手、ホセ・ファン・ダムが主演した
ベルギー映画「音楽教師」の最後のシーンで流れています。
生き方を貫いた音楽教師の遺体を船で運び
水葬するシーンです。

震災で生き残られた方よりもむしろ、亡くなられた方々の
心象近くに、私の心の視点もまたあるような気がしています。
この世を離れて存在し、新たな世界を得て
この世を見下ろしている、死せる人々の目に映るもの。
その一部を、私も一緒に見ているようなイメージが拡がっています。

改めて、人間の心のもろさと、そして同時に
状況に即して変容していける強靱さの、両方を垣間見ています。
人間は、自分自身が底辺に身を落とし
挫折と苦難を経て初めて、他者の苦しみを理解できるし、
心を閉ざした人の心に届く言葉を発することができる、
と、そのように思える日々でした。
改めて、藤沢周平作品の、陰影ある味わい深い
人間の描き方に、敬服しています。
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by hirune-neko | 2012-05-23 22:38 | 現実的なお話し | Comments(6)



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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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