誕生死が発生する確率は低いけれど昨日に引き続き、オーダーメイド絵本「大切なわが子へ」の中の画です。大森裕子さんの作品で、全11点の画の中で一番気に入っていると、作者自身がおっしゃっていました。私も同感です。 最初にこの絵本を採用してくれた産婦人科クリニックは、院長先生が女医さんです。赤ちゃんがオギャーっと産声を上げて産まれ、母子ともに無事にお産を終えることができる・・・理想的なことです。でも、大変残念なことに流産もあれば死産もあります。ある日、悲しい出来事が起きました。永年、不妊治療を続けやっと妊娠。初めてのお子さんを楽しみにしていたのに、ヘソの緒が首に絡まってしまい、残念ながら亡くなった状態で産まれたのです。院長先生はとても残念がっていらっしゃいました。でも、当事者のご両親の気持ちを考えると、私も心が痛みました。 30年以上前のことです。出産直前に家内が「水疱瘡」に感染し、胎内の二男にも感染してしまったのです。医学用語では「先天性水痘症」というそうです。日本で初めての症例でしたので学会で報告されました。生後数日の小さな赤ちゃんが、保育器の中で呼吸停止を起こし、身体全体がサーッと土色に変色するんです。手を握って名前を呼ぶと蘇生しますが、再び呼吸停止の繰り返し。親としてはとても辛い経験でした。ですから、永年待ち望んだ赤ちゃんが、産声も上げずにいる姿を目にしたお母さんは、どれだけ悲痛な思いだったか・・・ オーダーメイド絵本「大切なわが子へ」には、無事に生まれておめでとう、というメッセージが込められているのですが、一番心にケアが必要なのは、そうして大きな落胆を感じ、心に傷を負ったご両親だと思うのです。ですから、出版社・クロスロードからの要請もあり・・・まったく商業ベースから外れるボランティアなのですが・・・大切な赤ちゃんを失ったご両親のために、特別版の文章を書くことにしました。実際に作成した例は極めて少ないのですが、涙を流して読んでくださったそうです。その特別版を・・・普通は目にする機会が少ないと思いますので・・・公開したいと思います。 【大切なわが子へ・特別版】 大好きな ○○○ちゃん お母さんよ 「はじめまして」そして「さようなら」 大切な ○○○ちゃん お父さんだよ 「こんにちは」そして「さようなら」 お父さんはね おなかの大きいお母さんといっしょに あなたが生まれるのを ずっと楽しみに待ってたのよ ○○○ちゃん あなたはまだおぼえているかしら 生まれる前の遠い世界のことを あなたは 小鳥さんやどうぶつたちと いつもたのしく お話しをしていたのよ 大きな木の枝から流れる やさしいメロディーを聞きながら この地上に生まれてくる順番を 今か今かと楽しみに待っていたの ○○○ちゃん お母さんとお父さんは あなたが成長して行く姿を思い描いていました お母さんのお腹の中にいたとき お母さんとお父さんの声が聞こえていたでしょ? あなたにやさしく声をかけていたのを 覚えているでしょ? お母さんとお父さんは ○○○ちゃんを わがやに迎えることを とても楽しみにしていました 愛する ○○○ちゃん あなたは お母さんとお父さんの 神聖な愛の力によって 生まれてきました この世があなたをこばむはずがない あなたがこの世をこばんだのかもしれない もうひとがんばりだったと思うけど なぜあなたの成長して行く姿を 見守ることができなかったのか とても思い悩みました 大切な ○○○ちゃん お母さんとお父さんからの 最初の贈り物だった あなたの名前を そっと心にしまっておきますね 私たちより先に 次の世界に行ってしまったあなたのことを いつまでも大切に 覚えていますからね 私たちの ○○○ちゃん あなたとはいつかまた会えるような気がしています 不思議なことですが 立派に成長したあなたと また次の世界で会えるような気がしています あなたが なぜ先に行ってしまったのか 今は理解できないけれど そして受け入れるのは簡単ではないけれど でも もしかして ○○○ちゃんには 何か特別な理由があったのかもしれませんね 私たちの ○○○ちゃん お母さんとお父さんには もう あなたの姿は見えないけれど でも どこかで見守ってくれているような気がします 夏の暑い日に さわやかな涼しい風が頬をなでたら それは ○○○ちゃんのささやきだと思うようにします 寒さが厳しい冬の日に 心が温かく感じたら それは あなたからの思いやりだと思うようにします 優しい ○○○ちゃん 私たちと同じ心をもっている ○○○ちゃん いつか なにかに感動したときや とっても悲しいと感じたとき そこに手をおいてみてほしい あなたの心は そこにあるのだから お母さんとお父さんがもっているのと同じ心が あなたの中にもあるのだから お母さんとお父さんは あなたが この世から離れてしまっても あなたの心が すこやかに成長することを願っています 悲しいこともつらいことも 乗り越えて たくましく成長するよう願っています 大切な ○○○ちゃん お母さんとお父さんは いつまでも あなたを愛し続けます とても短い時間だったけど ○○○ちゃんは お母さんとお父さんに 幸せを残してくれました 本当に短い時間だったけれど お母さんと お父さんは あなたに会えて感謝していますよ 「人気blogランキング」クリックのご協力をお願いします。 人気blogランキングへ 昼寝ネコの文章がグリーティング絵本になりました グリーティング絵本のコミュニティーもできています(mixiです)
by hirune-neko
| 2007-07-13 11:57
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Comments(10)
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天然木
at 2007-07-13 23:21
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誕生・・それはなんて崇高な事なのでしょう。
改めて、そう感じます。
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hirune-neko at 2007-07-13 23:27
>天然木さん
コメント有難うございます。 天然木の家具に囲まれてお暮らしのご様子、 羨ましいですね。 人生は、誕生というスタートから始まり、 常に何が待ちかまえているか予測のつかない 道をとぼとぼ歩いていくようなものですね。 せめて、限られた人数の、これから出会う人たちは皆 いい方たちであって欲しいですね。
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バオバブ
at 2007-07-14 00:53
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hirune-neko at 2007-07-14 01:56
>バオバブさん
えっ?すばらしい勢いになっているんですか? 後で見に行ってみます。 でも、たくさんの方が見てくださるのは嬉しいですね。 とくに絵本の特別版を涙を流しながら 読んでくださった方が、今日だけで三人いらっしゃいます。 そういうお話しを聞くと、本当に嬉しいですね。
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やっぱりネコ
at 2007-07-14 07:51
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Ton
at 2007-07-14 10:02
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目の奥がツーンとして、画面が滲みました。
実は、絵本を紹介した友人から、もっといろいろなバージョンがあったら..って言われていたのです。 この文、紹介してもよろしいかしら? それからこの絵、私も好きです。 大切に、優しく抱いている鳥の重量感が何ともいえなくて.....
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hirune-neko at 2007-07-14 12:45
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hirune-neko at 2007-07-14 12:49
>Tonさん
ご紹介いただき、有難うございます。お世話になります。 この特別版は「誕生死」を経験された方向けのものです。 それで宜しければ、どうぞご紹介くださいますよう お願いいたします。 この絵、お好きですか? 有難うございます。感覚が近いんですね。 嬉しいです。
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romarin
at 2007-07-14 22:03
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MixiのPu-chaさんの所からたどり着きました。
はじめまして。 大森さんの絵とても素敵ですね。 実は、私の友人も、子供さんが生まれてから数日で亡くなってしまうというつらい経験をなさいました。 しかも病院の先生などは、「あ、これはだめだな」などという実に人間味のかけらも無い言葉を産後直後の友人の前で言ったそうです。 もうそのお子さんもそだっていれば中学生くらいです。 その子供さんの年齢にあわせて仏壇にお供えをしているのが心を打ちます。 人気Blogランキングにクリックいたしました。 ますますのご活躍をお祈りいたします。
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hirune-neko at 2007-07-14 22:20
>romarinさん
はじめまして。コメント有難うございます。 出産に特化した文章を作っていますと、 いろいろなケースがあるものですね。 それでなくても落胆されているのに、 心ない言葉はつらかったでしょうね。 お読みくださった方の心が軽くなり 少しでも癒されてくだされば嬉しいです。 クリック有難うございます。
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・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
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