悲しい酒
先ほど、電話の受話器を取った。いきなり女性の声で「ごめんね、遅くなって」・・・ん?一瞬間違い電話かと思い、丁寧に名乗ると、急に声の調子が改まった。で、先方も姓を名乗る。おお、息子のガールフレンドではないか。「ああ、いつも息子が大変お世話になっています」というと、かなりマズったなという気恥ずかしげなトーンに変わる。ああ、かわいそうなことをしたなと思いつつ、勝手に勘違いする方が悪いんだから、仕方がないだろうと割り切る。
昨日、仕事の用事で知人宅を訪ねた。自宅の2階に通され、入ると本棚にぎっしりの蔵書。知人は30年以上、仏教系の宗教団体が発行する新聞の販売店をしていた。従って、蔵書も仏教系の教義の本や、その解釈本などなど。で、興味があったので仕事の話の前に、教義の基本的な内容を質問すると、真摯に説明してくれた。お茶とお茶菓子を持ってきた奥様も、それは熱心に仏法の素晴らしさを説く。結局、宗教に関する話を1時間近くもしただろうか。おかげで普段耳慣れない、日蓮上人の教えの、ほんの入り口を知ることができた。 さて、話は飛ぶが、例のyoutubeで「美空ひばり 悲しい酒」と、複合検索すると、おお出た出た。ちゃんと日本語のタイトルで出てくるのだ。で、敬愛する美空ひばりさんが、涙を流しながら「悲しい酒」を歌う。私は酒を呑まないのだが、この歌を聴いていると、実に日本的な、いや色街の女性の性というものを感じる。色街などという表現を使ったが、実際の色街がどこのどういう所かは知らない。知らないが、酒と、男と、恋と愛に生きる夜の女・・・と短絡していいものかどうか分からないが、そんな世界の情景が非常に分かりやすく伝わってくる。 海外からオペラ関係の人が来日し、たまたま美空ひばりの歌を聴いて、いたく感動したという。いわゆる「歌心」を感じたのではないかと思う。 そうそう、学生の頃、「悲しい酒」を呑んだことが一度ある。青年から大人への過渡期にはよくある話で、委細には触れないが、そんなこともあった。今の自分が当時の自分を見たら、あまりにも滑稽で自嘲すると思うが、青春とはそんな具合に自分を客観的に見られない、そんな時期なのだと思う。誰しもが麻疹のように経験し、患う一過性の病なのだろう。 今日は、画像なしで失礼する。じっくり、「悲しい酒」でもお聴きいただきたい。 http://www.youtube.com/results?search_query=美空ひばり 悲しい酒&search=Search
by hirune-neko
| 2007-03-10 00:23
| 心の中のできごと
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Comments(6)
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君の名は
at 2007-03-10 01:08
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「君の名は?」とでも聞いたんでしょうか?ご子息と間違われるほどの
若々しいお声をしてるんですよ。 美空ひばりは涙をながしながら「悲しい酒」を歌っていましたね。 ひばりのように羽ばたきたかったんでしょう、きっと。
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hirune-neko at 2007-03-10 01:16
>君の名は・・・さん
声が似ていたから・・・と弁解していたそうです。 そうなのかな?そうかもしれませんね。 そのまま息子になりすましたら面白かったでしょうね。 なんの映画だったか・・・イザベル・アジャーニ? 確かフランス映画で、父親と息子の両方を愛してしまう そんな女性の映画がありましたっけね? 想像もしたくないですよ、そんな話。 設定を逆にして、母親と娘の両方を愛してしまう男性。 ん〜、どっちが画になるんでしょうかね。 どっちも醜悪なような気がします。 作者が奇をてらって書いたように思えますね。
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やぱりネコ
at 2007-03-10 09:55
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hirune-neko at 2007-03-10 11:37
>やはりネコさん
「田園交響楽」は読んでいませんが、いろいろな作作品の 原型は、やはり古典にあるんでしょうね。 読むべき本や読みたい本がありますが、 締め切り仕事に追われていると、 なかなか思うようにいかず、いつまでも ボンクラ状態です。
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バオバブ
at 2007-03-10 23:48
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「悲しい酒」...ありました、あ〜りましたとも!
わたしの場合はすぐにしゃっくりが出ますので、 端から見たら全然悲しそうには見えないんですけどね。 こころの中では『くぅ〜』なわけでして... でもお酒を呑んでいる時と素面な時の思いは、 どちらが自分の本質なのでしょうか、ね?
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hirune-neko at 2007-03-11 00:07
>バオバブさん
おお、しゃっくりですか?あまり色気がないですね。 かわいいお酒ですね。 私はお酒を呑まないので、よくわかりませんが、 お酒で本性が出る人もいますから。 どっちが本質かは、その人次第なんでしょうね。
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・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
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