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昼寝ネコの雑記帳

なおもまだ、創作意欲は継続している

Shirley Horn - "I Wanna Be Loved"

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 久しぶりに休日らしい一日だった。集荷のドライバーの方が午後から二人来てくれただけで、電話もなく、何本かのメールを送信し、サイト上のフォームの不具合を直しただけだった。遅れている案件はあるのだが、鋭気を養うことを優先することにした。

 夕方からは、いつもの散歩コースを往復し、ノルマの6千歩を達成した。94歳の義母の昼食と夕食を給仕し、短時間の雑談を交わした。もともと痩せているが、現在の体重は31キロなので、食べることが優先課題になっている。耳はずいぶん遠くなったが、思考力はしっかりしており、冗談にはちゃんと反応して笑う。世の中が平穏であり、苦痛を味わうことなく、このまま静かに眠るように人生を終えられれば、佳き人生だったといえるのではないだろうか。

 38歳で他界した祖父、45歳で他界した父、63歳で他界した義夫、寝たきりのまま92歳で他界した母・・・人生模様は様々である。

 仕事で赤ちゃんの名前が入った絵本を作っている。文章は両親、あるいは母親からの歓迎と愛のメッセージだ。新生児は、特殊な場合を除きほぼ同じスタートラインである。子どもを迎え入れ、腕に抱いて感じる愛情は、どの親にとっても共通のものである。離婚後の出産だったり、出産後の離婚を考えていたりというケースもあった。出産を待ち望んでいる最中に、父親が病死したり、あるいは出産直後に母親が病死したり・・・ひと言で出産シーンといっても、いろいろである。

 自分の母を見送り、高齢の義母と同居し、すでに他界した父や祖父のことを思い起こすことがある。父の死に目には会えなかったが、対話が少ない関係だったので平静に受け止めた。後日、病床で父が私の到着を待ちわびていたとを聞かされ、初めて父からの思いを感情で受け止めたのを憶えている。

 絵本の何種類もの文章は、私が自分で書いている。これまで生きてきて、感情のひだに隠れていた、様々な人間の心模様が少しずつ甦っている。自分もその年齢に近づいてきているせいか、疲れ果てた心身で人生の終焉に向かっている人たちの心象風景が伝わってくる。

 早世の人たちもいるが、還暦はまだまだ現役だろうけれど、古希、喜寿、米寿などの人生の節目で、永年見守ってきた子どもから、感謝とねぎらいの気持ちを込めた、しかも自分の名前が入った絵本をもらえたなら、深い感動とともに人生の達成感を味わっていただけると思う。しかもずっと育て、見守り続けたわが子が自分に語りかける内容だったら、心を開き心で受け止められるに違いないと思う。数年前、自分の母に試作して送ってみた。深く感動したといって喜んでくれた。ああ、母はいつも私を「親不孝息子」と呼んでいたが、ちゃんと親孝行をしていたんだ。

 新生児のスタートラインはほぼ一緒なので、同じ文章でも違和感は少ない。しかし、60年、70年、80年と齢を重ねている人たちには、それぞれの人生、それぞれの労苦がある。共通の文章を使用し、名前だけを差し替えたような内容だと、心に伝わるものは希薄になってしまう。

 知人の父親は長崎の工場で原爆の直撃を受け、即死した。母親の苦労は並大抵ではなかったと思う。
 過日、お嬢さんの結婚の時に「大切なわが子へ」の文章をそのままで、お嬢さんの名前を入れて作ってほしいという電話があった。ブログに記録してあるが、離婚後女手一つでお嬢さんを育て、結婚の日を迎えたとのことだった。手許を離れて寂しいだろうと思い、人生の思い出に同じ絵本をお母さんにプレゼントすることに決めた。その数日後に、そのお母さんから同じ絵本を自分のために作りたい、と電話があった。ブログ記事のURLを送り、すでにお母さんへのプレゼント用の絵本を作り始めていると伝えると、喜んでいただけた。

 誰でも経済的に困窮し、家賃や食費、光熱費が払えないときは、お金を得るために必死で働く。しかし、安定した人生で晩年を迎えた人間にとって、最も価値のあるものはなんだろうか。預貯金の残高だろうか。銀行の貸金庫にしまっている株券や債券だろうか。貴金属だろうか。広大な敷地に建てられた豪邸だろうか。誰もが尊敬と崇拝の念で注目するような地位や名声だろうか。

 もちろん限られた数ではあるが、これまでにいろいろな人生模様を見てきた。人生観も価値観も人それぞれだろうとは思う。しかし、自分自身の素直な気持ちを見つめるなら、家族や友人・知人が心から示してくれる感謝や愛情・友情の気持ちが、人生の勲章のように思える。家族しか知らない秘められた苦労、挫折、葛藤が文章の中に散りばめられてあり、ねぎらいと尊敬、いたわりの言葉が添えられていたら、過去からの感情が一気に目から溢れ出てくるに違いない。そのように思っている。

 いつか、「大切なわが子へ」ではなく「大切なお父さんへ」あるいは「大切なお母さんへ」という名入り絵本を提供できるようになりたいと思っている。この絵本で全国のお父さんやお母さんの流す涙が、ドラム缶1本分ぐらいになったら、私は自分の人生の達成感を感じることができるだろうと思っている。

 基本的な製作ノウハウはあるので、後は絵本の絵柄の問題である。新生児と違い、晩年の人間の過去の軌跡や苦難はそれぞれに異なる。さらには、感性や性格によって、人生の晩年の生き方も違う。そのような差異を超越して最大公約数化したイメージを表現するには、どのような絵柄を選べばいいのか。実はそれが一番の難問になっている。

 かくのごとくこんな私でも、あれこれ思い悩むことを抱えている。しかしいずれも、他の皆さんの平安、安らぎ、感動の創出が根底に動機として存在している。そのような生き方を貫くことが、自分のライフワークだと思っている。

 ・・・今日は自分に対する叱咤激励の文章になってしまったようだ。


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by hirune-neko | 2017-11-04 00:58 | 創作への道 | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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