昼寝ネコの雑記帳

大変残念なことに、駅前の銀座伊東屋が閉店した

Stephanie Jones plays Adagio BWV 1001 on a 2012 Michel Brück

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 マルイの8階には、文房具の銀座伊東屋があった。買う物がなくても、店内を一巡するのが楽しみだったが、残念ながら閉店してしまい、現在は商品の搬出をしている。

 何事も時が経てば状況にも変化が生じ、変遷が生まれる。年代を経た古木はただ寡黙に存在し、新しい枝を生じることもなく、ひっそりと朽ち果てるのを待っているかのようだ。

 自分の年齢を意識すると、いつ停止してもいいように徐々にスピードダウンするように、という声が聞こえる。その一方で、内なる声がさらに一歩、新しい方向に向けて踏み出すよう促すのが聞こえる。一体どちらの声に従えばいいのか、ささやかな葛藤が生じている。

 言い訳のように聞こえるかもしれないが、何かを成し遂げることよりも、一定の方向に向かって歩き続けることの方に意義を見いだしているように思う。前方を霧に包まれ視界が開けないときでも、目指している方向に確信を持ち、揺るがずにためらわずに歩き続けられたら、いつ振り返っても佳き人生だったと思えるのではないだろうか。

 不思議なことだが、最近はバッハの曲想に惹かれる。樹皮が剥げ落ちそうなぐらい乾燥している古木だが、内部には樹液が満々と湛えられ静かな活力を漲らせているかのようだ。重みと深みに支えられた存在感があり、時空や言語を超越した概念がイメージとして伝わってくる。

 私自身もすでに古木の内に数えられるのだろうが、長い人生を振り返っても剪定されたことがなく、思うように根と枝を伸ばしてきたように思う。その意味では、わがままに生きてこられた人生だと思う。

 何を偉そうに、と思われるのを承知でいえば、自分自身の物欲を満たそうという意図で、時間や労力を割いているつもりはない。少しでも多くの方が役に立ったと、後に思っていただけるようなささやかな「遺産」を残せればと、そればかりを考えている。

 私には未来に対する予見や予知能力はない。しかし、私利私欲を消し去った空間に、蜃気楼のように仄かに浮かび上がるイメージを頼りながら、歩み続けていきたいと思っている、それが自分の大きな支えにもなっている。

 苦難の旅だとは思ってはいないが、いつか振り返ってみたときに、道標もなく地図にも描かれていない領域に、ささやかな足跡が残されているのを見て、おそらくはそれだけで達成感を感じられるのではないかと思っている。


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by hirune-neko | 2017-08-11 23:51 | 心の中のできごと | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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