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昼寝ネコの雑記帳

訓練の機会を与えられていると思えば、気も楽だ


Keith Jarrett - Then I'll Be Tired Of You


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 ときどき仕事の手を休め、時間の流れの中で立ち止まっている自分がいる。雑踏の人の流れの中で歩みを止め、方向性を失って佇んでいる自分がいる。視野を前方に向けたまま、脳裏に遠く過ぎ去った過去の出来事が甦るときは、過去の自分が現在の自分を否定的に見ているように感じる。

 過去に戻って人生をやり直すことはできない。過去の航跡が今の自分を形成しているのだと、現在を肯定的に捉えられるようになってから、それなりの年月が経過している。

 毎日、あれこれ考えながら、それなりの時間を仕事に費やしている。売り上げが際限なく、右肩上がりになることが目標なのではなく、一定の環境を作り上げたら、魂が静かに寛げる場所で、時間がゆっくりと流れるのを感じながら、その小さな世界に安住したいと思っている。そこに到達するのを目的に生きているような気がする。

 社会に同化し、自分の役割を果たそうとしているが、同時に自省的・内省的な自分自身と対面する時間もある。一切の利害を超越し、寛いだ感性で対話できる相手は、得がたい存在だと思う。

 音楽家、演奏家、作家、画家、写真家、俳優・・・心酔できるアーティストは、貴重な存在だ。しかし、特別な才能や能力に恵まれていなくても、信頼できる人格を持ち、価値観や感性を共有できると感じる人間関係は、決してお金では買えない、貴重な存在だと思っている。

 もうかなり以前に認識したことだが、自分が学生時代に深く味わった虚無感が、深いところで今も消えずに残っているようだ。考えてみれば、恐ろしいことだ。多感だった頃の心象が、未だに感性を支配している。

 忙しく時間に追われ、自分が機械化しいる時間が長いと、感性が徐々に乾燥するのを感じる。まだもうしばらく、そんな環境を過ごさなければならないが、もう少し将来の自分が必要とする要素を習得する、必要な訓練期間だと割り切っている。

 高校生の頃、ビル・エヴァンスばかり聴いていたが、初めてキース・ジャレットの演奏を聴いたとき、ビル・エヴァンスの演奏だと思ってしまった。こうして改めてじっくり聴いてみると、やはりビル・エヴァンスの鍵盤音とは、根本的に違うと思う。でも、偏食傾向は強いものの、音楽が好きで良かったと思う。傾倒できる映画作品にも恵まれて良かったと思う。あとはもう少し、短編作品を量産できる環境になりたいと願っている。

 今日、知人から村上春樹論文の日本語訳文が、全部で7ページ送られてきた。英語を母国語とする人間が、自作の英語論文を自ら和訳したものだ。そういえば、このようなケースの文章を推敲するのは初めての経験だ。不思議な縁で、村上春樹の世界への入口に導かれてしまった。なんとか日本語推敲をお手伝いしたいと思う。学会の人たちから、「自分で日本語に訳したの?」と訊かれたら、「はいそうです、でも推敲してくれたのは、村上春樹もどきの人です」と答えるようにお願いしようと思っている。


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by hirune-neko | 2017-05-27 01:56 | 創作への道 | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

by hirune-neko
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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