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昼寝ネコの雑記帳

ネコの視点から見た日本の社会構造、なんちゃって


"Solo" Roberto Goyeneche

いつもクリックしてくださり有難うございます。とても励みになっています。


おそらく私は、あまり過ぎ去ったことを考えたり、
悔やんだりはしない方だと思う。
もう終わってしまったことをあれこれ考えても、
どうにもならないことだし、やり直せる訳でもない。

その代わり、知らないことがあると欠落感を感じ、
知識欲が湧く方だと思う。
別の表現でいうと、今まで見えていなかった世界や、
側面が見えてくると、どうにかして把握しようと思ってしまう。

そんな考え方は、際限のない、境界線のない、
一見すると徒労に終わりそうな、果てしない追求の旅のように
思えるかもしれない。

しかし、忍耐強く何か複数のことを追い求めていると、
不思議なもので、いつか気がついたら、一見脈絡のない
無関係に思える要素が、自身の感覚世界の中で、
有機的に結合しているのを実感する。

知識は多いに越したことはない。
しかし、知識の量を追い求め、知識の量だけを誇る人は、
気づかないうちに、自分の周りに無機的な高い塀を築いている。
知識に命を吹き込み、有機化できるのは感性しかない。
しかし、感性というのは目で見ることができず、
手で触ることもできない。
感性の度合を、数量的に測定する器械も存在しない。

その人に感性が具わっているかどうかは、感性を有する人にしか
判断できないものだという気がする。
人が人を受け入れるのは、相手の知識の量によってではなく、
目に見えない、共有できる面積と深さを、感性で判断できるからだ。

感性と無関係な財力、名誉や地位・肩書を見て近寄ってくる人は、
何か現実的な目的があってのことに決まっている。

人生とは、なんと選択肢の多い旅だろうか。
一度選択したことを、もとに戻って選択し直すのは、
ほとんど不可能に近い。
できれば最善の選択、あるいはせめて次善の選択が常にできれば、
人生はもっと違ったものになっただろうと考える人は多いはずだ。

繰り返すが、知識は多いに越したことはない。
しかし、問題は知識の量に目を奪われたまま生きてると、
どの領域の知識が本当に重要かさえ見失ってしまう危険性が増す。

再度繰り返すが、感性は人生にとって重要な要素だと思う。
では、感性とは何かと改めて質問されて、明確に説明できる人が
どれぐらい存在するだろうか。

振り返ってみるといい。
小学校から始まる学校教育で、感性に着目して
感性を育むなどというテーマの授業があっただろうか。
音楽を鑑賞する時間、絵を描いたり美術を鑑賞する時間、
遠足で自然に接する時間は記憶に残っている。

長い間、あまりにも実利的で,知識偏重の無機的な社会が
続いて来なかっただろうか。
感性の欠落した社会にも金属疲労同様、制度疲労が蓄積している。

私自身の乏しい知識と感性で表現するならば、
日本には、「国家」を論じることのない、
脆弱なインテリジェンス・コミュニティしか存在しなかった。
感性と密接な関係のある日本固有の「文化」を
真剣に論じるインテリジェンス・サイクルが存在しなかった。

永年にわたって、識別・目視しにくい異分子が、あらゆる部分に
浸食してしまっている。
このまま放置するならば、制度疲労と腐食によって崩壊する
国になりつつあったと感じている。

改めて自問している。
では、そんなに重要な感性は、どのようにして得られるのか。

残念ながら決まった法則はないだろうと思う。
その人に具わっている資質や、感性体験もそれぞれに異なる。
まさにマニュアルのない世界だ。
自分自身も思索し、感じながらさまざまな小さな種をお届けする
という気の長いプロジェクトになりそうだ。

今の時代を生きる人は既に、感性だけでなく、
感性と密接な関係にある内面世界の安定、平安を必要としている。
そのような人たちが、理屈に惑わされず、直感的にも
社会的な正しい選択をできるようになるという希望を抱いている。

孤立感を楽しみながら、道を切り拓いて行きたいと願っている。


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by hirune-neko | 2016-07-12 23:13 | インテリジェンス | Comments(2)
Commented by 日本晴れ at 2016-07-13 00:46 x
お疲れ様です。 本当に暑い日が続いています。しばらく、 熱中症には要注意ですね。

>長い間、あまりにも実利的で,知識偏重の無機的な社会が
>続いて来なかっただろうか。
>感性の欠落した社会にも金属疲労同様、制度疲労が蓄積している。

確かに社会構造というか、社会システムの、抜本的どころか「建て直し」くらいの変革が必要とされている時代なんだと痛感します。
暴力と権力闘争がつきものの「革命」ってやつは勘弁です(ジョン・レノン/ビートルズも歌で皮肉っていました)が、かわりに必要なのはやはり(集合意識的な)「覚醒」かなと思います。 ただ小生の老父母と話しても、非ネット世代はマスメディアを含めた権威っていうのにコロリと騙されている一方、高度成長時代には大衆は「知らぬが仏」くらいが良かったのかも。 知り過ぎるのも考え過ぎるのも、「過ぎたるは及ばざるが如し」(中庸が大事)だろうと日々痛感します。

知識については、 「知識」よりむしろ「知恵」、「常識」よりむしろ「良識/倫理」が大事かな、というイメージが強いです。

ネット上で近年ひっそりと話題の「美しき緑の星」という仏映画は、まさに人間が忘れかけている感性の大切さを的確に表現していると思います。
お手透きの際にでもどうぞ。

乱筆、ご勘弁願います。
Commented by hirune-neko at 2016-07-13 14:34
日本晴れさん

コメントを有難うございました。
選挙が終わり、次の亜大は都知事選挙のようですね。
まだ候補者が絞りきれないようですが、神奈川県民の私としては、
とりあえず、傍観させてもらうことになります。

「美しき緑の星」という映画があるんですか?
知りませんでした。
威嚇的、フランス映画は無条件に隙ですので、
さがしてみます。有難うございます。

私の方は、ようやく身辺が少し落ち着いて来ましたので、
もう少し加速度をつけて、生きようと思っています。
もともとがのろいので、加速度がついてようやく
人並みというところでしょう。

暑さはこれからで、内外に懸念情勢満載ですので、
せめて体力はしっかり蓄えておいてください。

有難うございました。
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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