昼寝ネコの雑記帳

あるがままの自分と異なる、もう一人の自分との葛藤


Astor Piazzolla - Woe pass away (11 - CD3)

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今日は珍しく、電話やiPadを使用できないない空間で、
約2時間を過ごす機会があった。
まったく何もしなかったわけではなかったが、大半の時間を
珍しくも脳内散歩に費やすことができた。

サルトルが唱えた実存主義の根底には、即自と対自という概念がある。
今在るところの自分が、より高められた自分へと変容する努力、
それが実存主義という生き方だという。

私見だが、サルトルは重大な要素を見落としている、と思う。
現実社会に生きる私たちの葛藤や苦悩の根源は、
即自と対自という二極化した存在だけで語り尽くすことはできない。
つまり、今在るがままの自分・即自と、今在らぬところのもので
あるような、理想状態の自分・対自。
これだけだと、人間心理の表象だけを概念化しているように思う。

実は、不可視化され、場合によっては認識できない第三の自分、
という存在を見落としてしまっているのではないだろうか。
理想状態の自分を目指そうという、健全な自己は存在するだろう。
しかし、ある瞬間に忽然と姿を現す、逆ベクトルの自己も存在する。
それは、飽和状態になった耐え難い内面を、リセットさせようとする
様々な誘いであり、しばしば不健全、不健康、不道徳な要素を伴う。

逆ベクトルの自己は、やはり自分自身の内面に同居している。
過去の経験や体験を通じて、しぶとく棲息している。
薬物の経験がない人間が、いきなり薬物に逃れようとするだろうか。
アルコールを痛飲した経験のない人間が、いきなりバーボンを
飲もうなどと思うだろうか。

誰もが過去を背負っている。
その過去に、昇華しきれなかった要素が沈殿している。
相当の努力を継続しなければ、弱ったとき、体調が優れないとき、
苦難を感じたときに、まるで亡霊のように、自らの過去から
甘美な囁き声が聞こえてくる。

ピアソラには、天使の組曲と悪魔の組曲という、
対極的な作品が存在する。
曲想だけを比較すると、どちらが天使でどちらが悪魔か、
私には判別することが困難だ。

あたかも、今在る自分が、理想方向を目指して天使に励まされ、
あるいは心身の破綻方向に歩みを進めるよう、悪魔の囁きが聞こえる。
これは、哲学というよりは神学的な視点なのかもしれないが、
人間の葛藤というものを客観的に考えるなら、サルトルの考察よりは、
現実的なのではないかと思える。(サルトル先生ご免なさい)

私自身の、今在るがままの自分と、目指すべき理想状態の自分と、
さらには、心身を破綻状態に誘う過去の亡霊の自分、
これら三者を比較対照してみると、驚くなかれ、非常に単純明快で
あることに気づく。

脳内疲労の快復を口実に、和洋菓子を食べたい自分、
ウォーキングとジム通いを欠かさず、健康維持のため和洋菓子を絶つ自分、
でも少しぐらいは和洋菓子を食べても、大勢に影響がないと囁く自分、
結局私の場合は、崇高な思想を追究しているのではなく、
いつまでたっても、脳内には和洋菓子の残像が存在しているという、
実に低次元の人間なのだと、改めて認識した一日だった。


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by hirune-neko | 2016-06-02 00:13 | 心の中のできごと | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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