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昼寝ネコの雑記帳

ようやく映画を観る気力が出てきたようだ


Changeling Soundtrack - End Title

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昨晩遅い時間に、奉仕団体の方から電話があった。
私と同年代の男性と面会することになったのだが、同席してほしいという。
そういう依頼は優先する主義なので、今日は午後から出かけた。
事前に、精神的な症状を持っていると聞いていたので、
どんな症状なのか考えていた。

数十年の激務を終え定年退職した瞬間、人生が空白になってしまった。
連日激務に追われ、何も考えなくてもするべきことは連続して存在した。
することが突然なくなってしまい、混乱の末に鬱症状になったという。

初対面だったが、私の考えに共感してくれるシーンが多かった。
どんな人間でも、自分の内面に抱いている心象を理解されると、
ある程度は心を開いてくれるものだと思う。
私は臨床心理士の資格を持っていないし、カウンセリングの技術も、
ほんのさわりだけしか習っていない。

ずいぶん昔、ミヒャエル・エンデのモモという作品が話題になった。
どういう理由からか知らないが、仕事で交流していた男性ライターから
その本をプレゼントされたことがある。
モモという名の少女が、とにかく相手の話を黙って聞く、いわゆる
聞き上手だということは分かったのだが、結局は忙殺された生活に
埋もれてしまい、とうとう読まないままになっている。

今日は、脳内のリセットを期待して映画を観ることにした。
とはいっても、音楽同様に極端な偏食傾向があるため、
スパイ映画以外は、タイトルや俳優の名前を目にしても、
何がなんだか、さっぱりわからない。
スパイ映画はほとんど見尽くしたと思うので、スリラー・
サスペンスのカテゴリーにしか興味が湧かない。

数週間前に、次に観るリストに入れていた、
「チェンジリング」という映画だって、最初の数分を観て
あまり気乗りがせず、さらに次の機会に数分だけ観て、
中断したままになっていた。

次男夫婦が誕生祝いにプレゼントしてくれた、BOSEの
小型スピーカーを使い、ミニシアター気分で観ることにした。

なかなかいい作品だと思ったので、エンドロールを
ずっと見ていたら、製作・監督がクリント・イーストウッドだった。
おまけに、音楽も彼が作ったようだ。
想像だが、メロディーを作った後は、専門家にアレンジさせたのだろう。
割と単調なメロディーだが、かなりのシーンでこの曲が流れていた。
効果的だったと思う。

1928年のロス・アンゼルスの街を再現しているのには驚いた。
アンジェリーナ・ジョリーが主演だといわれても、
名前は聞いたことがある程度なので、深刻な偏食家だと思う。

シングルマザーの女性が、小さな息子を誘拐されたという設定だ。
実際にあった事件をもとに作られたと書かれている。
そのせいか、なかなか練られたプロットであり、先を予測できなかった。
まるでドキュメンタリー映画のように、リアルに進行する劇中で、
LAPD(ロス・アンゼルス警察)への悪事告発をも組み込んでいる。

丁寧な作りだし、登場人物は端役に至るまで例外なく好演している。
映画作品としては・・・ハリウッド映画としては、秀作の部類だろう。
ただ、いつも必ず思うのはヨーロッパの映画作品と較べると、
どうしても筋立てを追いかけてしまい、人間の捉え方も一面的だ。

人間ほど、その内面が錯綜し多面的な生き物は存在しないと思っている。
その点、アメリカで作られる映画に登場する人物は、
あまりにも一部を抽出して描いており、物足りなさが残ってしまう。

じゃあ、お前自身がもっといい作品を作ってみろといわれそうだが、
なかなか長編作品に挑む時間が確保できない。
私は、短編小説家という領域で書き続けたいと思う。
時間をかけて綿密な取材をして、映画化できるような作品は自信がない。

私見だが、大仕掛けで、ものものしく、ドラマチックなストーリーの
作品でなければ存在理由がないとは考えていない。
究極的には、人間がその生き方を変えることほど、大きな奇跡はない、
という考え方に同調するし、ほぼ無限大に拡がりを見せるほどの
人間の内面を、深く掘り下げて描く作品こそが、偉大で崇高、深遠だと
考えている。

そう考えれば、作品の素材は至る所に存在する。
洞察力・直感力・感性によって、しかも人間に対する慈愛をもって
描かれる作品を作り続けられればいいなと、改めて実感した。


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by hirune-neko | 2016-03-21 19:44 | 創作への道 | Comments(2)
Commented by 日本晴れ at 2016-03-21 22:20 x
お疲れ様です。

早速、息子さん夫婦からのプレゼントのBOSEの小型スピーカー、ミニシアターで大活躍ですね。 映画鑑賞が捗りそうですね!

アンジェリーナ・ジョリーはここ最近、中国がスポンサーになって反日映画作ってコケたりだとか、拒食症レベルの激痩せに、乳癌予防の乳房切除(真偽も定かでは無い⁉︎)の是非を巡る賛否など、話題に事欠きませんね。

クリント・イーストウッドは、燻し銀のハードボイルド俳優として有名ですが、個人的には映画監督としての資質に凄いものを感じます。お時間あるときにでも、他のイーストウッド監督作品も是非。月並みですが、「ミスティック・リバー」とか「ミリオンダラー・ベイビー」あたりはお勧めです。 ストーリーは陰のあるものが多いですが、他のハリウッドの良心派監督と並んで、人間の倫理観の本質に迫る内容は結構観ごたえがあると思います。 ちなみに、御存知かとは思いますが、イーストウッドは相当なジャズ好きらしいです。

映画って、お国によってつくりだとか雰囲気だとか、まるっきり異なるのは面白いですね。 音楽等他の分野も含め、カルチャーの根っ子の違いでしょうか。
まあ、‘他民族共生国家’を謳ってるだけあり、アメリカの映画だけでもいろんなものがありますけどね。

ミヒャエル・エンデの「モモ」は、すごく包括的、多面的、普遍的な作品です。お師匠がまだ読まれていないのが不思議なくらいです。
ネット上でもたくさんの解説やまとめサイトも出ていますが、人間の本来の生き方/哲学のレベルから現在の資本社会システム/効率主義への警鐘まで、いく通りにでも解釈出来る、懐ろの深い作品です。 お忙しい中、なかなか読書に充てられる時間的余裕も無いでしょうが、まずはネットで「ミヒャエルエンデ モモ」検索結果から、ウィキペディアやNAVERまとめの名言集など、ざっと目を通されると、読むモチベーションも湧いてくるかと思います。

毎度差し出がましいようですが、ここ数日のブログを拝読して、お師匠もかなりリフレッシュされたようで、水を得た魚のように「昼寝ネコ雑感」冴え渡る印象を感じました。 何よりです!
Commented by hirune-neko at 2016-03-21 22:42
日本晴れさん

さすがに映画にも詳しいですね。大変参考になります。
それと、ミヒャエル・エンデ作品までご存じとは、
驚きました、一昔前の出版ですからね。

でも、現実から離れて映画の世界に入っていくのは、
私にとって疑似体験をするに等しく、感覚や思考の
滋養になっています。
ここしばらくは、実務的な仕事に追われそうですが
努めて、映画鑑賞や読書の時間を確保したいと思っています。

かねてから日本晴れさんの本業が何なのか、
とても興味がありますよ。
かなり才能をお持ちなので、へぇ〜っという
お仕事なのだろうと想像しています。

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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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