昼寝ネコの雑記帳

遠い日の心象風景〜I still Believe, Miss Saigon


lea salonga i still believe

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今日、左前に座っていたのは、3歳ぐらいの女の子とその母親。
いつもは父親も含めて三人連れなのだが、二人きりだった。
個人的に、家庭内の事情をある程度は知る立場にある。

母子家庭になってしまうかもしれない危うさを抱えている。
そんなことは何も知らない女の子は、無邪気に母親に甘えている。
母親として、妻として、さらには仕事を持つ立場でもあるので、
その心労を推察すると、何もしてやれないもどかしさを感じる。

二人の表情を垣間見るうちに、あるミュージカルのシーンが甦った。
30年以上前に観たミュージカル「ミス・サイゴン」だ。
「ミス・サイゴン」といっても、今の若い人たちには
馴染みがないと思う。

当時、なんの仕事でニューヨークに行ったか思い出せないが、
知人にミス・サイゴンを勧められ、ブロードウェイの劇場に行ってみた。

開演の冒頭でいきなり、ヘリコプターが客席の後方から舞台に移動し、
度肝を抜かれたのを憶えている。

当時はすでに終結していた、ヴェトナム戦争が舞台だ。
アメリカ人で、大使館の軍属運転手のクリスと、売春バーで働く
ヴェトナム人女性キムの悲恋、と説明できるのだろう。

もう記憶の彼方なので、Wikipediaで確認してみた。
「作詞家のアラン・ブーブリルが、ベトナム人少女が元GI(アメリカ軍兵士)の父親の待つアメリカへ出発しようとしている写真を入手し、そこから着想を得て創作された。ジャコモ・プッチーニ作イタリア・オペラ『蝶々夫人』と、その着想のもととなったフランスのピエール・ロティの小説『お菊さん(Madame Chrysanthème)』をストーリーのベースにしている。」(Wikipediaから引用)

真っ先に思い浮かんだのは、母親独りで子どもを育てる決意を歌った
I Swear I'd Give My Life For You〜命がけでお前を守ると誓う。

戦争終結後帰米し、夜、戦争の悪夢にうなされるクリス。
ヴェトナムに夫クリスの子どもがいると知らされた、妻エレンの苦悩。
いつかクリスが迎えに来てくれることを願うキム。
この三者の心情を、キムとエレンのデュオで聞かせる歌を思い出した。
I Still Believe〜まだ私は信じている。
キムとエレンの期待し、信じる内容は相反するので、聴いていても辛い。

私もずいぶん涙もろくなったものだと思う。

数年後、頻繁にロンドンに行くようになった。
たまたま一日オフの日ができた。
地下鉄の切符の買い方も知らず、さすがに単独行動の自信がなかったので、
JCBデスクに相談してみたら、日本人のツアーガイドを手配できるという。
聞くと、舞台に立っている人だというので、即断して依頼した。

待ち合わせ場所に現れたのは、私より少し若いぐらいの女性だった。
移動中の地下鉄の中だったと思う。
舞台女優だというので、ブロードウェイで観た
ミス・サイゴンのことを話してみた。
初演はロンドン・ウェストエンドだと聞いているけど、というと、
彼女はミス・サイゴンに出演していたという。
へえ、なんの役なのだろう、いきなり売春バーのダンサー?
なんて聞くのもためらわれた。でも質問してみたら、キムだという。
一瞬耳を疑った。キムはリー・サロンガが好演していた主役なので、
目の前の女性とキムとが、なかなか結びつかなかった。

その後、その女性・森尚子さんが来日するタイミングに合わせ、
当時わが家で定期的に開催していた、サロンコンサートに出演してもらった。
普段はクラシック音楽だけのコンサートだったが、
例外的にミュージカル曲だけのプログラムを組んだ。
NHKのプロデューサーをしていた知人を招待したが、
その縁で彼女を紹介する番組が、NHKで放映されることになった。

記憶の彼方に埋もれていた当時の心象風景を、懐かしく思い出している。

「主演のキム役はレア・サロンガ、モニク・ウィルソンのフィリピン人女優が起用された。後に、森尚子が日本人女優初のウエストエンド主演を果たしている。」(Wikipediaから引用)

探したら、YouTubeで森尚子さんを見つけたので、紹介する。
あれから30年以上経ったので、消息や現在の体型などは一切不明だ。
階段で、私の目の前すぐの後ろ姿を見て、思わず訊いてしまった。
「森さん、体重は何キロあるの?」
デリカシーのない男だ、という表情で苦笑しながら睨まれてしまった。
いやあ、大変失礼をお詫び申し上げる。今さらだけど。


John Barrowman & Naoko Mori Sing The Last Night of the World


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by hirune-neko | 2016-02-21 18:46 | 心の中のできごと | Comments(2)
Commented by causal at 2016-02-22 10:35 x
おはようございます。初めて投稿させて戴きます。
薔薇姫s様、余命三年時事日記様経由便で到着致しました。

1976年頃、FM東京で放送されていた「男の心女の心」
パーソナリティーは精神科医(カウンセラー)の深沢道子さん。
香山リカさんがラジオ番組をもったとしたら、どういう番組になるか興味深々ですが。

■FM25時 男の心女の心「旅」
https://www.youtube.com/watch?v=LPZRB7hju6E

「嬉しい事、楽しい事、悲しい事。少々ですが人生の知恵も。それを歌い上げた曲と共に。
彼らの人生経験を分け合って戴けましたでしょうか。」

※「嬉しい事、楽しい事、悲しい事。少々ですが人生の知恵も。」
 この言葉はそっくり昼寝ネコ様のブログと重なり合っているように思います。
毎回、テーマに纏わる曲を貼られているのを見ても。

「男の心女の心」で、毎回エンディングを飾る言葉にドキッとして胸騒ぎ…。

「明日が素晴らしい日でありますように。 素晴らしい人間関係が持てますように。
仕事場で皆と楽しくやれますように。 奥様とうまくやれますように。
そして、貴方が秘かに想っているあの方ともうまく行きますように。」

この番組のテーマ曲は「La Grande Bouffe-最後の晩餐」
Philippe Sarde ~ La Grande Bouffe Original Theme 1973
https://www.youtube.com/watch?v=ZB03sPRX6DU&feature=related
Commented by hirune-neko at 2016-02-22 13:29
causalさん

こちらこそ初めまして。ようこそ、おいでくださいました。

この「男の心女の心」という番組は、今はもう放送されていないんですね?
仕事をしながらヘッドセットで聴きましたが、ひと言でいえば、
「お耳の恋人」という感じですね。
同時代かもしれませんが、「Mid Night Jazz Report」という番組を
聴いていました。
深沢道子さんの語りと音楽と、いずれも耳に心地いいですね。
もっと聴けるかと思って、YouTubeで探しましたが、
この「旅」だけのようですね。残念です。

最後の「貴方が秘かに想っているあの方ともうまく行きますように」
これには私もドキッとしましたよ。
男性リスナーが多かっただろうと推測しています。
もっとも、私が密かに想っていても声をかけられないのは、
近所の黒ブチのネコではありますが。

番組テーマの音楽も有難うございます。
「最後の晩餐」という邦題のようですが、このような映画があることとも
知りませんでした。伊・仏合作のようですが、ノスタルジックで
いい曲ですね。

おかげさまでいい時間を過ごさせていただきました。
有難うございます。

ただ、私のブログは本当にその日の行き当たりばったりの
感じたままを書き、そのイメージで選曲している程度のものですので、
女性心理も男性心理も、どっちにも疎い鈍感な人間です。
でもまあ、たまにはぶらっとお立ち寄りくだされば
嬉しく思います。

改めて有難うございました。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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