昼寝ネコの雑記帳

居間に設置したウェブカメラが再起動した


Astor Piazzolla - Milonga Tres

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食後、台所で食器を洗いながら、あるいは日課のウォーキング中に、
気がついたら、参列してくださった皆さんを前に、喪主としての
挨拶をしている自分の姿をイメージしている。
まるで実際にその場に立っているような実感がある。

喪主の挨拶なんて、別に決まった様式があるはずもなく、
そのときに思い浮かんだことをいえばいいとは思っている。

母の居間に取り付けたウェブカメラが作動しなくなり、
歩き方や立ち方、朝ちゃんと起きているのか、夜まだ寝ていないのか、
という様子がまったく分からなくなっていた。
一昨日、メーカーのサポートに電話し、やっとつながったと思ったら、
勧められた解決方法は、ルーターとカメラの電源を一度抜き、
再度差し込むように、という至極簡単なことだった。
居合わせた近所の方にお願いしたら、さすがに一発で復旧した。

毎日何度か様子を見ている。
今日は初めてデイサービスを利用したが、椅子から立ち上がるのに
何度も反動をつけ、6度目にようやく立ち上がった。

もちろん母は、私がカメラで様子を見ているなどとは夢にも思っていない。
明日はポータブルトイレが届くことになっている。
カメラに接続し、たまたま用を足しているシーンだったら、
さすがに遠慮して、時間を置いて再接続しようと思っている。
人一倍きれい好きで、醜態を人に見せるのが嫌いな母なので、
せめて、その程度の配慮はしなくてはと思っている。

自力歩行がかなり困難になり、ロレツも回らなくなっている。

ここ約一ヶ月半、介護や病院関係の人たちの出入りが多かったため
その疲労が原因の、一過性の症状なのかどうか見極めようとしている。

たまたま地元の教会の皆さんが、奉仕活動の一環で、
毎朝カーテンを開けたり、ベッドメークしてくれたり、
あるいは食事を作って差し入れたりしてくれている。
皆さんに囲まれ、会話中に可笑しそうに笑う母の表情を見ると、
ほっとして、思わず微笑んでしまう。

昨晩、一人のボランティアの方にお礼のメールを送った。
今朝返信があり、最後まで母のお供をしますと書かれていた。
こんな殺伐とした時代でも、本当の善意の人たちが存在することを知り、
感謝だけでなく、感動の気持ちを新たにしている。

私のことだから、おそらくは喪主挨拶の際も、ジョークを飛ばしかねない。

「母との最初の出会いは、私の出産の時でしたが記憶にありません。
母は、親子間のことを第三者に話すのをとても嫌がっていました。
私は比較的オープンな性格なので、もし今ここで母の個人的な秘話を
話し始めたら、激怒して棺桶から起き上がるかもしれません」

まあ、ざっとこんな感じの喪主の挨拶になるだろうと想像している。

人にはそれぞれ、人生の航跡がある。
私もある程度大人の年齢を超えてきたので、母の苦難の歴史を
理解しているつもりだ。
苦労を負わなかった人間など存在しないと思う。
しかし、どのような人生だったかの評価は、晩年になって
ようやく定まるのではないだろうか。

冨や名声を追い求め、他人の犠牲を踏みつけて乗り越える人もいる。
愛する小さな人のために、自分の全存在を犠牲にして、
人生を全うする人もいる。

何人もの方が交代で母を訪れ、心から親身に接してくれている様子を見て、
ああ、いい人生だったなと、安堵の気持ちを持つことができる。
長い航路の途中で、何度も辛酸をなめ、自殺の波打ち際や線路から、
思いとどまって帰還した話を、数年前に聞かされた。

何かにつけて、心配ばかりかける親不孝息子(私のこと)のおかげで、
死ぬに死ねず、とうとうこの歳まで生きながらえたと、何度もいわれた。
逆にある意味では、ここまで生かしてくれたお前は、
親孝行息子だったのかもしれないともいうこともあった。

たとえ肉体は消滅しても、その崇高な魂はいつまでも輝き続けてほしいと、
心から願っている・・・あっ、いけないいけない。
母はまだ、還らぬ人ではなく闘病中の身だった。
あまりにも喪主としての挨拶をイメージトレーニングすることが多くなり、、
いつしか母を、今は亡き存在として捉えてしまっていた。

でも、母にこんな文章を読み聞かせてたとしても、
可笑しそうにケタケタと笑うのは目に見えている。
生ける存在でありながら、死の世界に限りなく隣接しつつ、
果敢に死と向かい合う静謐な姿勢は、母らしい最期の姿だと、
いつもそう思いながら、ウェブカメラを通して感じている。

抗癌作用のあるサプリメントを飲ませているので、
もしかしたら奇跡的に癌細胞が消滅し、体力も気力も快復して、
再婚したいなどといいだしたら、やはり反対すべきではないのだろうか。
・・・どうして私はこんなに風に、起こりえないあらゆる事態を想定し
懸念する性格なのだろうと溜息が出てしまう。
これはこれで、実に疲れる人生を私は生きている。


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by hirune-neko | 2016-02-19 00:56 | 心の中のできごと | Comments(6)
Commented by 薔薇姫s at 2016-02-19 09:44 x
おはようございます。

今日は少し暖かいです。
徐々にご快復されますように。
Commented by hirune-neko at 2016-02-19 14:16
薔薇姫sさん

少しずつ春に近づいていきますね。
母、義母の介護が同時開始していますので、参ります。
私が介護してほしいです。
Commented by かや at 2016-02-19 23:32 x
暑い日がところどころ混じるせいか早咲きの桜も開花して九州のほうでは梅の花も見頃になってきたようです。お花見に誘ってはいかがでしょう。

カメラとトイレについて、私は入院していた時に異性の看護師さんに付き添われていたことがあります。今となっては懐かしい思い出ですが安全のためとはいえ他人に見られるのは気恥ずかしいものでした。
そのためトイレに限っては全身を移さず安全が確認できる範囲にとどめておかれるとお母様も安心なさるのでは。
Commented by hirune-neko at 2016-02-19 23:45
かやさん

コメントを有難うございます。
母は花人間なんですよ。とにかく花が好きで、花だらけでした。
私は梅と桜の区別がつきません。

カメラ設置のことを知っている人が、ポータブルトイレを
持って来てくれましたので、ちゃんとついたてを置いていました。

電話派だけより、はるかに様子が分かりますね。
Commented by 日本晴れ at 2016-02-20 23:17 x
お疲れ様です。

お師匠ならではのハイテク装備による、二人のお母様への優しさに満ちたお気遣い、ご立派ですね。

お母様がお花がお好きというのは、素敵ですね。
あるサイトで見掛けたのですが、高齢者の方や物忘れの症状などに、アロマなど ‘匂い’・‘香り’ を活用した療法が効能有り、とのことです。 ちなみに、鼻詰まりがちで花粉症と年中闘っている僕は、「ノーズミント」というメンソール吸引スティックを重宝しております。
Commented by hirune-neko at 2016-02-23 13:21
日本晴れさん

見落としていて、返信が遅れました。
お詫び申し上げます。

コメントを有難うございます。
優しいのではなく、葬儀が面倒臭いので、X Dayを先延ばしするために
だましだまし優しくしているだけのようなものです。

アロマには効用がありそうですね。
有難うございます。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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