昼寝ネコの雑記帳

やがていいずれ、自分の存在が消滅するのだろう


Astor Piazzolla - Marejadilla

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青梅線の西立川から一駅乗り、立川で南武線に乗り換えた。
空席があったので座ろうとしたら、後ろから若い男性が話しかけてきた。
「落としましたよ」といって、折りたたみの傘を差しだした。
リュックサックのポケットに入れていたのだが、
肩から外したときに、落としたのだろう。
「いやあ、どうも有難うございました」とお礼を伝えた。
ずいぶん親切な人がいるものだと、嬉しく思った。

昨日、近所のセブンイレブンで「龍角散のど飴」を選んだとき、
肩掛け鞄がガムを陳列した箱に触れ、二箱分がひっくり返り、
床の上にまき散らしてしまった。
焦ってもたもたしていたら、長髪の若い男性が何もいわず、
床から拾い上げ、次々と箱に入れてくれた。
一瞬、店員さんかと思ったのだが、お客さんだった。
親切な行動に、新鮮な感謝を感じた。

中国では、怪我や病気で倒れている人がいても助けると、
訴訟になることが多いので、見て見ない振りをするのだと
何かで紹介されていたのを思い出す。
改めて公徳心の大切さを感じる経験を、続けてすることができた。

今日の夕方からの打ち合わせで、10年前の出版営業の手法と、
現在の出版物の販売手法が、どれだけ異なるか説明した。
ある意味では単純化し、ある意味では複雑化しているともいえる。

当時、業界では最大の取次会社はトーハンだった。
業界の論客でもあり、社長候補と見なされていた専務と、
仕事上で激論を交わしたことがある。
彼の部下である部長と課長が同席していた。
最後は彼が言葉を失ってしまい、気まずい雰囲気で解散した。

不思議なもので、それがきっかけとなり、個人的に親しくなった。
結局、彼は社長になることなく、定年を迎えた。
埼玉のご自宅へ何度かお邪魔するほど、交流が続いた。
あるとき、出版業界の将来についての予測意見を聞いた。

「昼寝ネコさん(とはいわず、人間名前だったが)が
おやりになっていることと、これから始めようとされていることは、
いずれも出版業界で、生き残れる事業ですよ」といってくれた。
業界に精通された方からの太鼓判なので、嬉しかった。

こうして、ひと昔前を懐かしむようになったということは、
私自身も徐々に過去の人間になりつつあり、存在そのものも希薄になり、
そう遠くない将来には、完全に消滅しているのだろう、
・・・だなんて、まったく思っていない。
強がりでもなんでもなく、私はまさに今の時代に必要とされる
提言をしているのだ、という確信が年々、いや月々、いやいや
日に日に強くなってしまっている。

その数年後、彼の訃報を電話で知らされ、横浜から高速に乗って
浦和の葬祭場まで車を飛ばした。
お通夜の参列者の姿は既になく、奥様とご子息だけが
私を待っていてくれた。
遅れて来た、独りだけの弔問客だった。

相変わらず、サイト構造の微調整を続けている。
しかし、どうやら発進態勢が整いつつあると感じている。

身体機能は確かに低下しつつあるし、ときどき
表現したい言葉が出てこないこともある。

こうしてピアソラの作品を聴いていると、
改めて、ピアソラの音楽家としての偉大さを感じる。
曲想は、疲れ果てた心を癒やし、心を揺さぶり
励ましてくれるのを感じる。

永年の間、独りで考え独りで計画し、独りで悪戦苦闘してきた。
しかし、どうやら機が熟したのか、思いがけない空間から、
予測していなかった方法で、助け手や協力者が出現している。

人間はすべてを完璧に予測することはできない。
しかし、諦めずに心の中に感じる純粋な動機を大切にしていれば、
人智を超えた、不思議な力が後押ししてくれるものだと感じている。


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by hirune-neko | 2016-02-16 22:53 | 心の中のできごと | Comments(4)
Commented by 薔薇姫s at 2016-02-17 00:17 x
今晩は。

寒さがまた戻ってまいりました。

人知を超えた不思議な力…アタクシもそれを信じております。
Commented by hirune-neko at 2016-02-17 10:33
薔薇姫sさん

おはようございます。
信心深い薔薇姫sさんを見習います。

今日も一日、お元気でお過ごしください。
Commented by 日本晴れ at 2016-02-17 11:35 x
おはようございます。

前回のオチにあった「龍角散のど飴」の更なるエピソードや折り畳み傘の落としものなど、お師匠独自の硬派な文体でご自身の意外にそそっかしい性分と、若い日本人たちも捨てたもんじゃないよというエールを掛け合わせた妙味あるお話に、つい実際のシーンを想像してしまいました(笑)

またお師匠ならではの内省的でありつつ、一方で社会的責任を全うしようとされる強い意志との見事なバランスには、いつも学ぶところが多いです。

自分自身はちょっとかじった程度で、まだ不勉強なところがありますが、お師匠がブログで淡々と語られるご自身の生涯を拝読すると、老子思想(道教~タオの教え)が浮かんでくることが少なからずあります。

僭越ながら、お師匠の生き方は「大器免成」・「大器曼城」のように見えます。 

老子という人は、『道』や『徳』について説かれた学者で、彼がが描いた理想的な「小国寡民」国家は、とても牧歌的な社会だったとも聞きます。 お師匠の現在進められているプロジェクトに大変近いものを感じます。

「道というのは、これまで言われてきた道ではない。名も従来の名ではない。天地の始まりには何も無かった。だから無名である。天地に万物が生まれ、それぞれに名が付けられた。有名である。したがって有名は万物の母である。  故に無は常にその奥深き妙を見せ、有は常に無との境を見せる。此の両者は同じ所から出て名を異にしているだけだ。どちらも玄妙で、玄のまた玄は見通せないほど深遠なものである。」 

ちょっと乱暴な解釈かもしれませんが、僕は基督教も仏教も道教も、根幹的なところは大変共通しているというか、真理に通じているように思います。 お師匠の目指されるところも非常に 真・善・美 の追求や慈悲・人間愛・寛容に溢れつつ、等身大で語られる日常はリアリティに満ち、それらがこの「雑記帳」に常に妙味を感じ、元気を頂いております。
Commented by hirune-neko at 2016-02-18 01:27
日本晴れさん

あらら、せっかく書いてくださったコメントなのに、
「コメント管理」のリストに反映されず、たった今気づきました。
これまでも同様の不具合があったかもしれませんね。
大変失礼しました。

いつもながら、敬老精神を発揮してくださり、有難うございます。
実は私、自分が年寄りだとはぜんぜん思っていないんですね。
何せ三千年も生きていれば、年齢は超越しており、
年賀状にも毎年、「今年もネコ年宣言」とやっています。

ご紹介いただいた文章は、老子のものなのでしょうか。
さすがに、なかなかいい文章ですね。勉強になります。

宗教はなかなか難しい領域ですね。個人的には、有神論か無神論かで
まずは分岐し・・・まあ長くなるからまたの機会にしますが、
現代人には対立構造以前に緩衝効果のある、心理的な覚醒が必要で、
しれにはもう宗教しかありえないのかなと、思うぐらいです。
しかし多くの方々は「鼻で息する人間に依り頼んで」いるのが現実です。

いつも励ましのお言葉を有難うございます。
しっかり、励まされています。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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