昼寝ネコの雑記帳

嬉しい偶然があり、感動することができた


Astor Piazzolla - My Happiness

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年明けに、母は要支援から要介護に移行する
なのでその打ち合わせのために、何年も母の担当をしてくれている、
ケアマネージャーの女性が説明に来てくれた。

彼女とは何度も電話で話していたので、初対面ではないと
思い込んでいたが、私の勘違いで初対面だった。

終末を自宅で迎えたいという母の考えや心境を、とてもよく
理解してくれており、母も信頼を置いていることが窺えた。

詳細な説明が終わり、少し雑談の時間があった。

「母は新聞の字が読みにくくなっているので、ICレコーダーに、
何か読んで録音し、それを聞かせようと思ってるんですよ」
「ああ、そうなんですか」と彼女はいった。
「ええ、ブログを書いているものですから、以前は印刷して
何ページか送ったんですが、もう読めないでしょうから、録音ですね」
「ブログをなさってるんですか?」
「そうなんです」
「いただいた名刺に書いてありますか?」
「いえいえ・・・これなんですよ」
そういいながら、iPadで「昼寝ネコの雑記帳」を開き、見せた。
「昼寝ネコの雑記帳というタイトルです・ネコはカタカナです」
すると彼女は思いがけないことを口にした」
「私、渓仁会(札幌の大きな総合病院)で出産したんです」
「えっ?何年前ですか?」
「2,3年前です」
「はぁ」

この手稲渓仁会病院は約8年前から、私が文章を書いている
名入れ絵本「大切なわが子へ」を、出産祝いに採用してくれている。
だったら、絵本を持っているのだろうか、と思った。

「病院から絵本をいただいています」
「そうなんですか。文章は昼寝ネコが書いてるんですよ」
「ええ、昼寝ネコの名前は覚えていました」
「お子さんは何人ですか?」
「二人です。二人とも渓仁会で出産し、絵本を2冊もらっています」

いやあ、なんという偶然だろうか。
すっかり嬉しくなってしまった。
赤ちゃんの名前を差し替えて、お父さんとお母さんを著者にする、
ある意味では部分的なカスタマイズ絵本だが、
いつもずっと、産婦人科から絵本を受け取り、子育て中のご家庭を
遠くからではあるものの、案じる毎日だった。
それでなくとも不穏な時代なので、絵本を届ける以外に、
何か家族にとって有益な情報を提供しようと、ずっと考えていた。

一面識もない家族ではあるが、懸念や心配の種は尽きず、
あれこれ考えている。

絵本は、私にとってはとても小さな種のようなもので、
お子さんや親御さんの心に、少しでも感性を育むきっかけにして
いただきたいと願って制作している。
会社のスタッフもみんな、同じ気持ちだ。

要支援から要介護に変わってしまうと、彼女は担当から外される。
母はとても信頼しているし、まるで娘・・・年齢的には孫だろうけど、
娘に対するような依存心も持っている。
でもそれも、仕組みがあるので仕方がない。

別れ際のごく短時間で、絵本を受け取った家庭向けの、
無料の会員制情報サービスである「みるとす」について少し説明した。
ご縁があったら、登録して利用してほしいなと思っている。

これまでに、おそらく約3万8千世帯に絵本が届けられている。
しかし、実際に絵本を受け取っているご家族にお会いするのは
初めての経験だった。

一面識もない皆さんに対して、何年もかけて準備している仕組み、
家族のためのファミリー・インテリジェンスサービスを、
途中で投げ出さず、公開準備をしてきて良かったと実感することができた。

十数年にして初めての遭遇だったが、これまでの苦労が報われたような、
ささやかな達成感を感じることができた。

いい一日だった。


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by hirune-neko | 2015-12-17 23:58 | 心の中のできごと | Comments(0)
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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