昼寝ネコの雑記帳

そういえば、旅行なんて久しくしていない


Dyango - Los Mareados

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ときどきふと、不思議な感覚に包まれることがある。

人と挨拶し、冗談をいって笑わせ、相手の話に耳を傾け、
若夫婦の3人の、小さな子どもたちの名前を確かめ、
親切に対してお礼を述べ、健康状態を気遣い・・・
どれもが現実世界の出来事なのだが、まるで自分が
演出家でもあるかのように、客観的に自分自身を
醒めた目で見ている。
モノクロ映画の試写でも観ているかのように
現実感が伴っていないことに気づく。

仕事で飛行機に乗り、新幹線を利用し、駅で乗り換え、
バスで移動し、カーナビを頼りにレンタカーを運転した
記憶はいくらでも甦る。

常に時間を気にし、商談内容を頭の中で反芻している。
なので、車窓からの景色なんて味わった記憶がない。
でもいつだったか、数十年ぶりに津軽鉄道に乗ったときは、
懐かしさがこみ上げ、少し津軽弁を残したアテンダントの
女性のアナウンスには郷愁をそそられた。

私は北海道で生まれ育ったが、母方の祖父が青森県の
金木村(現在の五所川原市)の出身だった。
三十歳代の後半という早世だったものの、母から繰り返し
祖父についての思い出話を聞いていたので、
アルバムに貼られた写真の記憶しかなかったが、親近感と
尊敬に近い感情を持ち続けている。

菩提寺が太宰治と同じで、しかもほぼ同時代人だったので
ほとんど作品を読んでいないものの、太宰にも親近感を持っている。

すっかり観光化した斜陽館よりも、少し離れた津島家別邸の、
太宰が執筆したとされる和室に座り、陶製の火鉢に手を触れたとき
理由もなく感涙したのを今でも覚えている。

厳密にいえば、自分の郷里ではないのだが、今も郷愁を感じる。

何年も前、絵本「大切なわが子へ」の津軽方言版を作ろうと思い
地元で太宰の読み聞かせをしていた女性にお願いすることにした。
文章ができあがったのを機に、五所川原のホテルに滞在し
電話帳をめくって、最終的には弘前市に本社がある
陸奥新報の五所川原支局に取材のお願いをした。

タクシーで支局に行き、女性記者のインタビューを受けて
記事にしていただいた。
売上とか利益とかより、自分のこだわりを優先したことになる。
しかし、自己満足とはいえ、永年イメージして来た
母方の祖父へのレクイエムになったような気がしている。

何ごとも即効性を求める時代風潮だと思うが、
私の場合は、遅効性どころか一体何になるのか疑わしいことを
平気で行動に移してしまう悪い癖があるようだ。

厳密にいえば、仕事として青森に飛び、津軽鉄道に乗った。
でも、心に余韻の残る旅だったと思っている。

右手では、しっかりと収益を握るべきだと思うが、
しかし左手には、懐古できる佳き思い出を
持ち続けるようとする意思を、失いたくないものだ。

たとえ世の中の事物すべてが、
洪水で流されてしまうようなことがあったとしても、
心と思い出の中に、還って行ける場があれば、
それはそれで、穏やかな佳き人生といえるのではないだろうか。


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by hirune-neko | 2015-07-20 00:18 | 心の中のできごと | Comments(0)
<< 自分自らを葬った後の余命を生きている 久しぶりのマインド・ストレッチだった >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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