昼寝ネコの雑記帳

ちょっぴり贅沢でセレブな気分


"Yo Soy Maria" di JULIA ZENKO

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器械には耐用年数というものがあるらしい。
考えてみたら、そんなことは完全に無視している。
壊れたら買い換えるという、乱暴な発想だ。

社内のビジネスフォンが今年の第1号だった。
NECのはおそらく15年は使っていたはずだ。
NTTの製品に全面交換したが、工事日の
前日だったかに、旧い電話機と主装置が
とうとう他界あそばされた。
いやあ、永年お疲れさまだった。
実によく働いてくれた。

社内にはプリンターが何台もある。
インクジェットプリンターの1台が、印刷時に
汚れが出てしまい、あれこれ試したが
品質的に、商品の印刷には無理だと判断し、
入れ替えた。

bluetooth対応のヘッドセットがある。
最近、skype通話中に雑音が入るようになり、
どうしようか考えていた。
昨晩とうとう、将棋の師匠と通話を始めた瞬間、
パタッと息絶えてしまった。
どうやら7年か8年お世話になっていたようだ。

さてどうしようか。

一緒に仕事をしている次男の得意分野らしく、
いつの間にか他にいくつものオタクカテゴリーを
作っていた。

彼によるとBOSEがお勧めだという。
えっ?ぼうず?
坊主が上手に屏風に坊主の絵を描いた?
それは関係ない?
値段を聞いて驚いた。
amazon.comでは数千円でbluetooth対応の
ヘッドセットを買えることは知っていた。
10倍まではいかないが、ほぼそれに近い。
「ヘッドセットにそんな贅沢はできないよ」

すると次男の講義が始まった。
何やらBOSEはとてもこだわりのある会社で
値段は高いが、音質もいいという。
そういえば過日、山手ゲーテ座で朗読劇の
モノローグをしたいなと考え、BGMを
どうしようかといったら、そこでBOSEの
スピーカーの話をしていたのを思い出した。

次男の講義はなおも続く。
「これはもともとiPhoneとiPad専用に
作られていて、外出先でもiPhoneでskypeの
アプリを立ち上げれば、どこでも通話できるよ」

「お前、いつからBOSEの営業マンになったんだ?」
とはいわなかったが、次々と熱心に商品説明をする
次男の説明を聞くうちに、段々ほしくなってきた。

今朝、次男から手提げ袋を渡された。
昨日は風邪の症状が酷かったのに、わざわざ
二子玉川にあるBOSEの直営店に行って
買ってきてくれたという。

早速、必要な設定を行い、おかげで
耳にとってはとても快適な環境になった。

少しして、何気なく足許のゴミ箱に視線を移した。
真新しいBOSEのヘッドセットで音楽を聴く私と
「高価格の」ヘッドセットを、無言で見上げていた。
・・・ような気がした。寂しそうなヘッドセット。

アホな私はゴミ箱から拾い上げ、軽く頭を下げた。
「長いこと、ありがとね」
そして何か必要があったときの退役予備兵として
保存しておくことにした。
器械にまで感情移入してしまう自分は変人だろうか。

昨年、BlackberryをiPhoneに変更したとき、
もう必要ないと思って捨てようとした。
でも捨てきれず、自分の博物館所蔵品だと考えて
保管しておいた。
その後、会社専用の携帯電話として復帰し
今は現役で働いてくれている。

さてと。かくいう私だって、もうじき
耐用年数が到来することになる。
寝たきりになるか、廃人同様になるか、
半身麻痺になるか、まったく予測できない。

そんな私を見て、家族はどう考えるだろうか。
子どもたちも孫たちも、もしちゃんと
私の心情的DNAを受け継いでいたなら、
少しは憐れみと慈愛の気持ちで
優しく接してくれるだろうか。

少なくとも一度はゴミ箱に入ったヘッドセットと
携帯のBlackberryだけは、私に対して
冷たい視線を向けないだろうとは思う。
そう期待している。


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by hirune-neko | 2015-03-27 20:55 | 心の中のできごと | Comments(0)
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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