昼寝ネコの雑記帳

感涙二重奏曲


Piazzolla: Melodia en la menor


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感涙二重奏曲
 
 
数週間前に、映画監督を目指しているという女性と
初めて言葉を交わした。その1週間後に、どんな監督の
どの作品が好きかをメモしてもらった。帰宅して目を通したら
「ポン・ヌフの恋人たち」がリストに入っていた。

今日も同じ場所で会う機会があり、呼び止められた。
何事かと思ったら、カバンからDVDを出し、
「ネコの映画です。ネコがお好きなようですので」
と、手渡してくれた。私がどうしてネコ好きだと
分かったのか不思議に思った。すると、前回話したとき
彼女の実家で飼っているという二匹のネコの名前を
知りたがったからだという。
彼女は、娘が関西に住んでいた頃の、娘の友だちと親しく、
一緒に娘の舞台を何度か観てくれたというので、親近感を
持っていたのだが、「ポン・ヌフの恋人たち」は
私自身も好きな映画なので、女流監督としての将来に
期待したいと思っている。

ふと思い立ち、彼女が独身者何人かと一緒にいる部屋の
ドアをノックし、一斉に場違いな私の顔に視線を向けた
皆さんに、真面目な顔でこういってしまった。
「彼女の家の飼いネコの『よりちゃん』は
亡くなったわが家のシロと、幼稚園の同級生だったんです」
一瞬、呆気にとられたみんなは、すぐに大爆笑した。

さて、そのDVDだが、パッケージに子ネコの写真が
載っており、動物図鑑のネコ特集のようなものかと思った。
パソコンで鑑賞を開始したら、これはロシア映画だった。
邦題は「こねこ」だが、ロシア語はチンプンカンプンなので
でもまあ、おそらく同じようなタイトルなのだろう。
使われている音楽は、クラシックでやや古めかしいのだが、
ネコを飼うことになった子どもたちの父親が
フルート奏者のソリストであり、ラストシーンを考えると
なるほど、伏線として音楽もうまく使われている。

それと、なんと7〜8匹のネコと同居する男性が
登場するのだが、子ネコを飼う家族とは対照的に
孤独に極貧生活を送るこの男性とのコントラストが
作品の構造を印象的なものにしていた。

残り20分ほどのところで、かなり感動が高揚し、
涙腺が緩んだところで、玄関のベルが鳴った。
宅配業者が、三陸の若布(ワカメ)を届けに来た。
数日前に、東海新報の連載コラムを読んで
電話してきた女性からだった。生ものなので
冷蔵庫に入れようと台所で、箱を開けた。
なんと、一番上には「かもめのミニ玉子」が
ひと箱入っていた。そういえば、コラムでかなり
何回も、かもめの玉子に言及したので、
憶えていてくれたのだろう。その心遣いに感銘し、
緩んでいた涙腺が、さらに緩んでしまった。

中には手紙が入っており、このように書かれていた。

「『昼寝ネコの雑記帳』(の連載)終わりですか?
あの大震災からもうすぐ三年になりますが
気仙の人達のことを、こんなにもあたたかく
見守って頂き、ありがとうございます。
時々、『かもめの玉子』が好物って書いて有りますね。
世界中、日本中に、いっぱいいっぱい(お菓子が)ある中で
気仙のおかしが好きって、嬉しいことです。」


読みながら、私の駄文を読まれて、ああこんなにも
心に感じてくれるものがあったんだ、と
さらに、見ず知らずの私にわざわざクール宅急便で
心のこもった品物を送ってくれたんだと思うと、
恥ずかしながら私の方が感動し、落涙してしまった。
この際なので、血糖値のことは忘れ、かもめのミニ玉子
1個を口に入れた。やはり特別な味がした。
そして一緒に送ってくれた、地元で古くから作られているという
「えいさくあめ」という名の飴菓子もいただいた。

再び、ロシア映画に戻ったが、映画のストーリーと
気仙からの贈り物の両方に感動してしまい、
右眼と左眼それぞれから、それぞれの異なる涙が
しばし流れ落ちた。

気仙・綾里(りょうり)に住むこの女性は
お孫さんのために手作りの絵本を作られる方で
何冊か送っていただいている。いずれこのブログで
紹介しようと考えている。

女流映画監督の卵の方と、気仙からのかもめのミニ玉子の
両方に、改めて感謝したい。


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by hirune-neko | 2014-02-17 01:02 | 心の中のできごと | Comments(6)
Commented by El Bohemio at 2014-02-17 01:25 x
昼寝ネコさん、

カモメの卵は娘が本のお礼に
貴氏に送ろうとしたのを駄目だと
他の者を送らしたのはまずかった
ですね、、、
Commented by hirune-neko at 2014-02-17 10:37
El Bohemioさん

いえいえ、お嬢さんから送っていただいた京都の和菓子も、美味しくて有難くいただきましたよ。お嬢さんは今、日本ですか?
Commented by El Bohemio at 2014-02-18 02:08 x
昼寝ネコさん、

娘はまだコロンビアにいますが
近日中にまたメキシコ行きです
Commented by hirune-neko at 2014-02-18 12:15
El Bohemioさん

コロンビアですか。東奔西走ですね。でも、日本よりはメキシコだと
近いので安心ですね。
Commented by バオバブ at 2014-02-19 19:00 x
ロシア映画の仔猫…大好きな映画です。
それはそうと、にゃんこ先生はポンヌフの恋人はお好きなんですか?
びっくりしたなぁ〜もぉ〜!
Commented by hirune-neko at 2014-02-21 00:34
バオバブさん

あの映画、ご覧になったんですね。なかなかよかったですよ。
ポンヌフの恋人は、ん十年前に観ました。好きな映画のひとつです。
ちょっと時間に追われていますが、落ち着いたら連絡します。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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