昼寝ネコの雑記帳

無から有が生まれる時代の兆し


Astor Piazzolla - Largo tangabile


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無から有が生まれる時代の兆し


いくつかの素朴な疑問がある。
経営学の教授がすべて、新たな企業を興し
成功を収められるだろうか。
有名な文芸評論家がすべて、人に感動を与える
創作作品を書くことができるだろうか。
思想・哲学の分野で博識な人が全て
人を変革する独自の体系を創ることができるだろうか。
残念ながら答えはすべて「否」である。

改めて記憶を辿ってみたが、
常に安住できる体系を探してきたものの、
徒労の繰り返しだった。
つまり、体系そのものには安住できても
人間組織である以上、構成員である個は
どこまでも不完全であり、したがって
忍耐、受容、慈愛の精神を涵養する場として
自らをその体系の中に置いていることになる。
唯一の救いは、人智を超越した光が
疲れ果てた人間の魂を包み込むことを
実感できることだ。

今に至っても、二十歳前後に味わった
高濃度の厭世観や虚無感からは脱することができず
何事にも距離感を感じている。
重心を移せる場が次々と消失してきたように思う。
そんな虚脱感との闘いが長く続いた。
振り返っても足跡らしきものは見当たらず、
唯一、何物にも束縛されない精神世界の自由さが
せめてもの収穫だと感じている。

しかし、最近は不思議な心象風景を見ている。
徹底的に「無」を突き詰めてきたのだが
その反動のように、「有」がどこからともなく
忽然と姿を現し始めているような気がしている。
戦火に焼き尽くされた灰燼の中から
青々とした苗木が育ち始めているかのような、
あるいは灼熱の砂漠の窪地に小さな泉が湧き上がり
徐々に清流に育ち始めているかのような。

徹底した虚無感は、決して破壊行為だったのではない。
あらゆる虚構や虚飾を拒絶し、まがい物が入り込む
余地のない堅固な基礎石を敷き詰める
単調な作業だったのだと、新たな発見をした思いだ。
何もないと思い込んでいた場が
新たな構築物を建造するに最適な空間として
その姿を現し始めている。
無駄な人生ではなかったのかもしれない。
異物を濾過し、製錬された貴重な言葉を頼りに
ここから新たな体系を構築しようとする
新しい自分が、確かに存在している。

いずれは滅失すると思うものを無価値と断じ
これまで無の残滓(ざんし)を甘んじて受けてきたが
無からしか生じ得ない新たな体系があるのだと
静かな確信が湧き上がってきている。


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by hirune-neko | 2014-01-05 17:28 | 心の中のできごと | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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