昼寝ネコの雑記帳

人間は過去によって形成される


Astor Piazzolla - La famille


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人間は過去によって形成される


すっかり外出するのが億劫になってしまった。
本質的に、もともと出無精ではある。

昨日は、次男夫婦宅のクリスマスに招待された。
今では、毎年の恒例行事になっている。
都内に住む娘夫婦も招待対象なのだが、
夫が江ノ島のヨット合宿のコーチの仕事とかで
娘が単独でやってきた。

せっかくなので、娘と2ショットで
記念撮影をしようとしたら、娘の方から
身体を寄せてきたので、私も図に乗って
チーク・ツー・チークで顔をくっつけた。
それを見ていた次男の嫁さんが笑いながら、
娘に「お父さんと仲がいいね」といった。
すると娘がすぐさま
「いつもは寄せつけてないでしょ?」
ときたもんだ。
そうか、寄せつけないようにしていたのか。
つまり、撮影の時だけは外交辞令ということなんだ。
ちっとも知らなかった。

ネットで閲覧可能な無料映画に
ロバート・デ・ニーロ主演のがあった。
「スコア」というタイトルで、金庫破りの役だ。
さすがに役者としての存在感が違った。
カナダでジャズクラブのオーナー、というのが
表向きの顔なのだが、そろそろ引退して、
一緒に暮らしたい女性がいる。なので、
フランスの国宝級の宝飾品を盗み出し、
その報酬でジャズクラブのローンを返済して、
老後を気きままに送りたい、というのが彼の構想だ。
2時間ちょっとという、少し長い作品だったが、
プロットは文句なしに出来が良かった。

デニーロは劇中で過去を語らなかったし、
相手の女性も、説明的に過去を語らなかった。
高校生ではない、大人同士の会話から垣間見る
彼らの過去は、想像の領域にしか存在しない。
名優なので、台詞に頼らない饒舌さがある。
過去を持つ一人の男性と一人の女性が、
無事に人生を再構築できるのだろうか。
劇中の緊迫した展開とは裏腹に、老後を
独りで暮らすであろう知人たちの姿が脳裏に浮かんだ。

誰にでも過ぎ去った過去がある。
しかし、その過去が現在のその人間を形成しているのだと
意識できる人は、どれぐらい存在するだろうか。
過去のできごとから押し出されている、現在の自分。
その過去をどう生きてきたのか、そしてさらに
これからの未来を、どのような過去に昇華させるのか、
それが、常に連続する人生の分岐点であると分かれば、
そこからの人生はかなり充実するように思える。

早世の予感を持ち始めてから、すでに30年以上が経過した。
私にだって過ぎ去った過去はある。
色彩でいえば無彩色で、風景でいえば雪原であり、
ときどき視界を遮るような猛吹雪もあったように思う。
自分の名をどこかに刻もうという意思はなく、
氷結した地面を砕いて、そこに種を蒔き
来春から初夏にかけて、そこを通る名も知らぬ旅人の
空腹を少しでも満たせればそれでいいと、
ささやかな望みが自分を支えているように思う。


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by hirune-neko | 2013-12-22 18:57 | 心の中のできごと | Comments(0)
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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