昼寝ネコの雑記帳

孤立を怖れない弱者


Astor Piazzolla - Solitude


↑ふ〜ん、と思われた方は 

孤立を怖れない弱者


お世話になっている知人ご夫婦を訪ね、高尾に行った。
八王子から先には一度も行ったことがなかったので
日野、豊田などの駅名アナウンスを耳にし、
改めて遠くに来たのだと実感した。

途中、多摩御陵を見せたいといわれ、案内していただいた。
「多摩御陵って何ですか?」と尋ねたら、「え〜っ!?」と
呆れられてしまった。「歩いてみますか?」と勧められたが、
歩くのが億劫だったので、「いえ、歩きません」と拒絶した。
従前から明瞭に主張される奥様だとは思っていたが、
「後悔しないから、行ってらっしゃい」と、
想像したとおりのパターンになったので、
諦めた私は、小雨の中、参道に足を踏み入れた。

気が進まないまま数十秒歩いただろうか。
周りには誰もいない、閑静で濃い緑に挟まれた細かな砂利道。
突如、非常に荘厳な雰囲気に圧倒された。
まるで下界から突然、天上に引き上げられたような、
神聖な印象が精神を貫くのを感じた。

やがて鳥居が視界に入り、少し小高くなった
古墳のような、初めて見る陵墓と対面した。
昭和天皇・皇后そして、大正天皇・皇后両陛下の
墓所の前に立ち尽くし「万世一系」という言葉を
改めて思い起こした。戦死した兵士の叫んだ
「天皇陛下万歳」という言葉を思い出した。
私は国粋主義者ではないし、右翼でもないが。
・・・では、何なのだ?

私は単なる弱者でしかない。本当にそう思う。
しかし、孤立を怖れない弱者なのだと、なぜか
そのように自分の生き方を再評価してみた。
付和雷同せず、周りの顔色を窺わず、ただひたすら
自分自身の信念に殉じようとしている・・・
だが、人を怖れなくはなったかもしれないが、
徒労感と虚無感に押し潰されそうになることはある。

多摩御陵散策の後、私は知人夫婦に報告した。
「なかなか荘厳な雰囲気でした。
まるで自分が皇族の出であるかのように感じました。
それと、ああ私もいずれここに葬られるのかと、
感慨深く思いました」
奥様は吹き出し「そこまでいいますか?」と
さらに呆れられてしまった。

夕食に招待された。
高尾の「うかい竹亭」という、都心には存在し得ない、
自然の景観に溶け込んだ離れで、和食をいただいた。
昼食を摂り忘れることの多い、普段の食生活では考えられない
至極贅沢なひとときを過ごさせていただいた。

4人のお孫さんのうち、発熱で外出できない
一番下の方をのぞく3人が、父親と一緒に
「昼寝ネコ」に会いに来てくれた。

第一声は「今日、昼寝したの?」だった。
初対面だったが、前日、知人の奥様に対し、
「昼寝ネコさんって、本当にネコなの?」と質問していたそうだ。
なので「人前では人間の格好だけど、本当はネコなんだよ」
と、真実を告げざるを得なかった。
その子とお兄ちゃんが、紙切れを持って来て
サインしてくれという。なので、
すっかり作家気分で図に乗って、サインに応じた。
嬉しそうに受け取る子どもたちの表情が、微笑ましく思えた。

久しぶりに日常生活から離れた、穏やかな一日だった。



↑ふ〜ん、と思われた方は  
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by hirune-neko | 2013-10-30 01:04 | 心の中のできごと | Comments(2)
Commented by 高畑 at 2013-11-03 14:02 x
八王子まで来て下″りありがとうございました。お別れした後、次女は人間の姿で安心したような猫でなくがっかりしたような子供なりに複雑な心境のようでした。色々な分野についてお話を聴かせて下さりありがとうございました。大変感銘を受けました。これからもよろしくお願いします。
Commented by hirune-neko at 2013-11-03 17:58
高畑パパ様へ

才能と個性溢れるお子さんたちで
先が楽しみですね。
いつか、一番下のお子さんにも
お会いするのを楽しみにしています。
有難うございました。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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