昼寝ネコの雑記帳

老人よ、亡命者を目指せ


Roberto Goyeneche - Sólo


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老人よ、亡命者を目指せ


この曲はソラナス監督映画の3部作のひとつ
「ガルデルの亡命」で使われていたはずだ。
ロベルト・ゴジェネチェが歌っており、
歌詞中の「Exilo」・・・「エクシリオ」という
言葉だけが聞き取れる唯一のスペイン語だ。
「亡命」という意味らしい。
これもどうやらピアソラの作曲ではなく
映画を監督したソラナスの手によるようだ。

走り続ける足を止め、ふと立ち止まったとき、
疲労、心労、過労、徒労などの言葉の一群が
一気に押し寄せる。
そんなときは決まって、現実生活に訣別し
どこかに逃れてひっそりと暮らしたい
という思いに駆られる。

数日前に、助手席の先輩が車中で語ってくれた
松本清張の「駅路」のストーリーがまだ
脳内のどこかに残っているせいなのかもしれない。
国内で政治的対立の渦中にあり、生命の危険を感じるのなら
自由を求めて他国に亡命することが、
選択肢のひとつになるのだろう。

私は何かの対立の渦中に位置していようはずがない。
様々な対立を傍観し、近寄らないようにしているし、
空虚な論争は好まないし、大体ほとんどの時間を
規則通りに動いてくれるパソコンと費やしているので、
いつ何を言い出すか予測のできない人間を相手にして
常にストレスを感じている訳でもないし・・・。
そう考えてみると、一体何から逃れようとしているのか
明確に説明はできない。
つまりこれは、ある種の贅沢病なのかもしれない。
筋肉も内臓機能も、神経も耐久力もすべて
すっかり脆弱になってしまった人間の、単なる弱音なのだろう。

そうだ。他国への「亡命」などではなく、
どこか国内の静かな所でしばしを過ごす「延命」にしよう。
ふと思い立って、北海道・室蘭の不動産情報を調べてみた。
「母恋南町」という懐かしい地名の売り地があった。
そこにテントを張るわけにもいかない。
賃貸住宅を探したが、近所付き合いが煩わしい。
一軒家だと、冬の除雪の問題がある。
・・・そう考えると、途端に気持ちが萎えてしまう。

自分の脳内で完結する作業なら、ストレスも少ないが、
ある程度の人数で構成される組織に提案し、
まとめるとなると、まったく異質な作業になってしまう。
人それぞれの感じ方、思考パターン、経験則、性格、
あれこれ勘案すると、人間との折衝が一番難しい
という結論に行き着いてしまう。

疲労が増し、体力と気力が落ちているときには、
その煩わしさが、前に立ちはだかってしまい、
どこかに「延命」したくなるのだろうと思っている。
本格的に他国への亡命を考えるのではなく、
ぶらりと旅行気分で喧噪を離れ、またぶらりと
気ままに家に戻ってくる・・・ああ、これではまるで
車寅次郎となんら変わらないのではないだろうか。
いやあ、ちっとも変わらないさ。
違うのはただひとつ。兄思いの優しい妹がいないことだ。


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by hirune-neko | 2013-10-08 18:19 | 心の中のできごと | Comments(2)
Commented by El Bohemio at 2013-10-08 22:57 x
昼寝ネコさん、

ゴジャネチェの唄うソロ(孤独)は
故郷を遠ざかった者が郷愁に
引きずられた悩みをのたまう姿
が切々と迫る歌ですね、、、
亡命はやめときましょう。
Commented by hirune-neko at 2013-10-09 00:07
El Bohemioさん

はい、そうですか。
経験者の方の助言には従いたいと思います。
では、短期亡命というか、延命でお邪魔しますね。
想像ですが、何かを得ようと期待して亡命してみたものの
年月が経ってみると、得たものよりは
失ったものの方が大きかったと感じるのではないでしょうか。
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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