昼寝ネコの雑記帳

真夏の夜の幻影


PIAZZOLLA/FERRER-Contramilonga a la Funerala-Horacio Ferrer y Versus Ensemble


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太陽が隠れ、辺りに闇が流れ込んできてもなお、
足許から熱気が立ち上ってくる。

普段は感じない、脳の重さを感じる。
いつもは感じたことのない、心臓の鼓動が伝わる。
血液が確かに体中を駆け巡っているのを実感する。

年月を経ると、人は人生を振り返ることが多くなり
周りの人たちの営みが、既視感と重なる。
私はまだ死んではいないが、死して地上の人生を悔悟し
すっかり無用の存在となってしまった資産と地位を
空虚に見下ろす人たちの姿が見える。

甘美な幻想に視野を塞がれ、喧噪の中では
か細く語りかける賢者の声はかき消される。
忠告者は確かに存在したのだが、それは
媚びへつらう者からの、嘲りの対象でしかなかった。

富者たちは、かつて蔑んでいた貧者が
自分たちの持つ喪失感とは無縁の
充足感と安堵感に包まれているのを見て
再び人生を回顧するようになる。

愚かな外科医は、病める心を取り出すために
手術台で怯える患者の体中を切り刻み、
博識を誇る学者は、難解な言葉で心の存在を語るが
自分自身の心すら見つけることができない。

寂れた海辺の街や、人里離れた畑地の近く。
使命感に殉じた人々は、かつて血を流した傷口を眺めるが、
その痛みををもはや憶えていないように、
無償の犠牲を捧げた人のことは忘却に紛れている。
だが、富と引き替えることのできない、心の平安が
そこには確かにあるのが分かる。

私はまるで、生死の世界を行き交う巡礼者のように
生者と死者の体内で、決して滅びることのない
心の残像を見ている。
おそらくは、真夏の夜の幻影に過ぎないのだろうが。


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by hirune-neko | 2013-08-05 23:43 | 心の中のできごと | Comments(0)
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妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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