幽閉され、隔離された人生Jeanne y Paul - Astor Piazzolla ↑クリックして創作意欲を与えてください ようやく、ピアソラを聴く脳内スペースが空いた。 なので、文章を書く気力も戻って来た。 だけど、まだまだ創作する領域までは手が届かない。 最後に商業演劇の舞台を観たのは何年前だろうか。 昨晩、下北沢の本多劇場に行った。 以前、来たことがあるような・・・錯覚だと思ったが 帰宅して確かめたら、かなり前だが、 一度行ったことがあることを確認した。 いい加減な記憶力だと思う。というか さして重要でないことは、そして嫌な思い出は どんどん忘れる自己防衛本能が機能している。 なんと健全な精神構造なのだろうとも思う。 公演作品は「赤い壁の家」というタイトル。 女優の渡辺えりさんが座長で、「音楽劇」であること以外、 なんの予備知識も持たずに3列目の下手側に座った。 それと、まことに不勉強ながら、渡辺えりさんは 湾岸警察・踊る大捜査線の制服姿しか存じ上げない。 おそらくは「歓迎されざる観客」だったと思う。 この作品に出演している、バリトン歌手の 佐川守正さんの歌を生で聴きたくて、チケットを購入した。 彼は音大卒業後ヨーロッパに渡り、何年も声楽を勉強した。 帰国してからしばらくは、劇団四季で舞台に立ち、 今はフリーで活動している。 独自の発声法を確立されており、 やはりもっとじっくり聴きたく思った。 開演後少しして、舞台に若い女優さんが バンドネオンを抱えて登場した。 年代物のように見えたので、小道具として 使っているのだと思った。 やがて「音楽劇」の名の通り、音楽が始まる。 すると、彼女がバンドネオンを膝に置き、 演奏を始めたので、バンドネオンに集中した。 演奏会ではないし、アンサンブルの一部なので 控え目な演奏だと感じた。女優さんなのに なかなかよく練習を積んだなと感心した。 しかし、その後、何曲か演奏するうちに 段々「地」が出てきて、本来の演奏スタイルを 垣間見ることができ、バンドネオンの音色を 堪能することができた。嬉しかった。 舞台上では、演技にも演奏にも、 その人の性格が現れると、いつも思っている。 帰宅して調べたら、彼女の名は川波幸恵さんで、 女優ではなく、バンドネオン奏者だった。 それにしては、台詞がしっかりしていたなと、 それにも感心した。 最近、思うところがあり、将来に備えて 日本のバンドネオン奏者の方々のリストを作成している。 YouTubeで川波幸恵さんの演奏を、くまなく調べた。 ある、タンゴアンサンブルの一員として 継続的に演奏している動画をいくつか見つけた。 不勉強の私なので、間違った評価かもしれないが、 川波幸恵さんは、現在そんなには知名度が高くないと思う。 でも、知名度の高いバンドネオン奏者であっても、 自己陶酔し表面的な演奏をしていると思える人もいる。 その点、川波幸恵さんの演奏は真摯であり、 リズムも不自然に崩さず、原曲の良さを再現しようと 努めているのが良く理解できる。 演奏のスケールが、もう少しで飛躍的に大きくなる 予兆も感じさせる。 いい感性と人格の持ち主であることは、演奏を通して 十分に伝わってくる。 これで年齢を重ね、人生の起伏を乗り越えた先に、 ピアソラの残像を見ることができるのではないかと、 そんな期待感を感じさせる、若手のバンドネオン奏者だ。 なので、ためらわずに、リストの一人に選ばせていただいた。 「赤い壁の家」の舞台上では、論理的に掌握できにくい ストーリーが展開していたが、それとは別に、 ここ最近の自分が、およそ創作の世界から隔離され、 実務的な思考の世界に幽閉されてしまっていたことに 客観的に気付くことができた。 ストーリーを組み立て、その中に架空の人物を創り上げ、 生命を吹き込むことにやはり、一番情熱を感じる自分こそが 本来の自分なのだと、再認識できたのが大きな収穫だった。 ↑クリックして創作意欲を与えてください
by hirune-neko
| 2013-08-03 23:41
| 創作への道
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・1951年
小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。 ・1969年 中央大学経済学部入学 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。 ・1974年 同大学卒業 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。 ・2006年 現在に至る プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。 ・2010年 宇宙の旅 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。 ・現在 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。 お気に入りブログ
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