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昼寝ネコの雑記帳

ピアソラという名のジグソーパズル

Astor Piazzolla - Asleep - Kronos Quartet


知人の義理の妹さんが舞台美術家で、ちょっと立ち話をした。
「最近わたし、図書館を設立して館長になったんですよ」
でかドングリのような目をさらに大きく見開いて、
怪訝そうな表情だった。
「ネット上に『ピアソラ音の出る図書館』というのを開設したんです」
「会員の紹介がないと入れない会員制なんだけど、
会員が5人しかいないから、誰も入ってこなくて」
そこでようやく彼女は可笑しそうにそうに笑った。

試しに「ピアソラ 図書館」で検索してみたら
googleでもyahooでも、なんと堂々の1位だった。
でもおまけがついている。
「このキーワードは、検索にはほとんど使われていないようです。」
で、検索対象件数はたったの31件だそうだ。
なので、相当マニアックなことをしているのは間違いない。

今年に入って、突然語学熱が発症し
とりあえず英語から始めたのだが、どうもそこで収まらず
興味の対象はフランス語、スペイン語、イタリア語・・・と
無謀な拡がりを見せている。
外交官を目指す年齢ではあり得ないし、ましてや
外国の情報機関と何かしようだなんていう気は
さらさらないのに、だ。

でも、ようやくその理由が分かりかけてきた。
「ピアソラ音の出る図書館」では、現在200曲近い
作品リストを掲示し、1曲ずつ良さそうな演奏を探して
YouTubeにリンクを張っている。
Aから始めて、ようやくMまで到達している。
その際、問題になるのは組曲の標題がバラバラになっていて
曲を特定できないという壁に行く手を阻まれることだ。
さらに問題なのは、曲のタイトルと説明が
英語、イタリア語、スペイン語、フランス語と
一定していないことだ。

掲出した曲は、「Asleep」とリスト化されているケースが多い。
しかし、調べているうちに徐々に姿を現してくれる。
ピアソラは、シリーズ化された組曲形式の作品を残している。
「Five Tango Sensations」というのもそのひとつで、
冒頭で紹介した「Asleep」は、その第1曲目の作品だ、
ということが、つい昨日分かった。
1990年、パリの自宅で脳溢血で倒れた
その翌年の演奏のようだ・・・1992年に
ブエノスアイレスで亡くなる前年ということになる。
初めて聴く曲だが、派手さはないものの
やはりピアソラ特有の、内面との連鎖を想起させる
味わい深い曲想だ。

この年齢になっても、新しい発見があり
しかもそれがジグソーパズルのように徐々に組み合わされ
一体どのような姿を現すのか、とても楽しみだ。

もともと、学術的に情報や知識の断片を羅列するつもりはなく
ずっと傾倒している曲想の源流である、ピアソラの内面に迫ってみたい
というのがそもそもの動機だった。
ある程度は体系的に辿っていかなければ、おそらくは
その源流に行き着かないだろうと確信している。
なので、いっそのことピアソラ専門の図書館を
文字情報と音楽で構築しようという気になった。

墓の中のピアソラがなんと嘆くか想像はつかない。
さらに、オラシオ・フェレールだって、存命の方なのかさえ知らない。
私にとっては、一面識もなく、さらに生者だろうが死者だろうが
そんなことにはお構いなく、彼らの作品のエッセンスを
自分なりに消化して、創作作品に変容させることに
大いなる生き甲斐を感じている。
ピアソラはすっかり呆れているかもしれないし、
逆に案外、ニヤニヤしながら「お手並み拝見」と
興味を持ってくれているかもしれない。

ピアソラの作品を聴いているうちに、何かしらの
ストーリーやイメージが浮かんできたら、書いてみようと思っている。
人生、情熱を傾けられることがあるというのは
なかなかいいものだと実感している。

「ピアソラ音の出る図書館」館長 昼寝ネコ(笑)
by hirune-neko | 2012-11-19 00:38 | 音楽・映画・本の世界 | Comments(0)
<< このおじさまが、オラシオ・フェ... 所蔵本のない図書館が開館した >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

by hirune-neko
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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