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昼寝ネコの雑記帳

ピアソラと映画の接点

Armaguedon. Musica: Astor Piazzola


大きくピアソラに傾倒するきっかけとなった曲は
Oblivion(オブリヴィオン・忘却)だった。

この5月に、盛岡の市中をウォーキング中
目に飛び込んできたのは「タンゴ生演奏」の看板。
アンサンブル・・・数年前、盛岡でピアソラの曲を
演奏している店があると聞いたことがあった。
もしかして、と思って入ってみた。
そして、Oblivionをリクエストし
バンドネオンとピアノで演奏してもらった。

ピアニストの男性は、ウエイターも兼務しており
そのときに、Oblivionは映画のために作曲された
曲だと彼は言った。

つい先日、アルゼンチンの亡命映画監督である
ソラナスの3部作が、ピアソラの作曲だと知り
取り寄せて聴いたばかりだった。
なので、その話にはとても興味があった。
「ヘンリーなんとか、という映画だそうですよ
ボクは観たことないんですけど」と、彼は続けた。

その後の調べで、イタリア映画の
ヘンリー4世が、その映画のタイトルだと分かった。
当初はメロディーだけだったが、映画公開後にフランス語で
歌詞がつけられ、ミルバが歌っていると・・・
確かに聴いた記憶があった。
フランス語だったので、不思議に思った記憶がある。

偶然見つけた標題の曲は、
映画・Armaguedon(アルマゲドン)の1曲。
なんと、1976年に制作された、アラン・ドロンの
デビュー2作目で、日本では公開されていないそうだ。
音楽・アストル・ピアソラと記録されている。

聴いてみると、サウンドトラックなので
おそらくはプロデューサーに「らしく、らしく・・・」
と注文をつけられて作曲したのではないだろうか。
確かに、ピアソラらしさは残っているものの、
売るための商品に、少しでも売れるような、という
配慮を感じる。
スリルとサスペンスの匂いがする・・・ストーリーは識らないが。

もうひとつ、同じ映画・Armaguedonからの演奏を見つけた。
推測だが、映画の中の何曲かをメドレーのように
つなぎ合わせ、もしかしたら組曲形式のように
全体を構成し直したのではないかと感じる。
決して派手さのない、地味な曲想だが
味わい深く、このまま無視するのは勿体ないと思うので
下部に紹介したい。

手許に、苦労して手に入れた、ピアソラに関する
本が2冊ある。

ピアソラ自身を語る (唯一の回想録)
  ナタリオ・ゴリン著 斎藤充正訳 河出書房新社・刊

アストル・ピアソラ闘うタンゴ
 斎藤充正著 青土社・刊

結構分厚い資料性の高い書籍だが
私には文字が小さすぎて、まだ読んでいない。
墓の中で安眠中のピアソラが、きっと小言を言っていると思う。
「お前は、せっかく人が煩いを離れて静かにしているのに
何を好き好んで何十年も前のことを詮索するんだ!」

いつか仕事を引退して、まだ体力と気力が残っていたら。
・・・そうだ、ピアソラの足跡を辿ってみたいと思う。
アルゼンチン、フランス、アメリカ、そしてまた
最期の地となったフランスへ。
ああ、そうだ、きっとそうだ。
なんだかんだ言って、きっとピアソラも悪い気はしていないんだ。
だから、墓の中から、そっと私を招き寄せているに違いない。
だから急に英語だけでなく、フランス語とスペイン語を
勉強する気になったんだと思う。

アホな妄想に違いないが、妄想と真実は紙一重だって、
最近、そう思えるようになっているから
それはそれで人の評価は気にせずに、
We walk alone toward the light.・・・だ。

Armageddon, Astor Piazzolla / Vincent Peirani / Jocelyn Mienniel

by hirune-neko | 2012-10-01 20:01 | 音楽・映画・本の世界 | Comments(6)
Commented by El bohamio at 2012-12-24 02:24 x
チェロとアコデ-オンの演奏するアルマヘヘドーン素晴らしい。アコデ-オンも良い物ですね。小生の住むコロンバイアにアコデーオンでピアソラ作品を見事に演奏する人がいましたが彼はバンドネオンに転向してブエノスに行ってしまいました。そこでマエストロネストール・マルコーニに師事しているらしい。時々帰国するがほとんどピアソラを演奏しなくなり古典タンゴを演奏するばかりです。残念、、、しかし、彼は当地では随一のバンドネオン奏者で稀に見るテクニシャンです。名前はジョアニ・パーラ氏です・
Commented by hirune-neko at 2012-12-24 13:39
El bohamioさん

バンドネオンとアコーデオンは、単純に
鍵盤が並んでいるのがアコーデオンで、
ボタンが並んでいるのがバンドネオンだと
思い込んでいるのですが、違いましたでしょうか。
この動画のは、なのでバンドネオンだとばかり
思っていたのですが・・・?
コロンバイアにお住まいとありますが、
日本風の発音だとコロンビアのことですか?
私は冗談で、出身がイスラエルで、今は
アルゼンチンに住んでいる、と言っています。
Commented by El bohemio at 2012-12-27 00:44 x
この動画はたしかにチェロとアコーデオンの演奏ですね。南米コロンビアです。アルゼンチンに再び住みたいと思いますが、、、
Commented by hirune-neko at 2012-12-28 01:53
El bohemioさん

コロンビアですか。
一度も行ったことがありません。
ブエノスアイレスは、一度は行ってみたいと
想い続けています。
Commented by EL bohemio at 2012-12-31 03:24 x
http://youtu.be/aV-fgQq70SA
ホルへ・ルイス・ボルヘスの詩にピアソラ曲Las cosas(ことごと)をどうぞ。この曲もレコードになつてい無いようですが、、、
Commented by hirune-neko at 2012-12-31 12:52
EL bohemio さん

ありがとうございます。とてもいい曲ですね。
独特の哀愁感があって、しっとりと聴いています。
<< ついに見つけました〜謎の氷解 ピアソラが目指したジャズタンゴ >>



妄想から始まり、脳内人格を与えられた不思議な存在

by hirune-neko
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昼寝ネコのプロフィール
・1951年
 小さいころ、雨ざらしで目ヤニだらけの捨てネコを拾ってきては、親から小言をいわれる。小学校低学年の音楽と図工は通信簿が「2」。中学からバスケを始めるも、高校2年で部活を止め、ジャズ喫茶通いが日課となる。授業が退屈でがまんできず、短編小説を書いては授業中のクラスで強制的に回覧させ、同級生の晩学を妨げることしばしば。早く卒業してほしいと、とくに物理の先生が嘆いていたようだ。ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーンに心酔。受験勉強をすっかり怠り、頭の中は浸水状態。

・1969年 
 中央大学経済学部入学
 まぐれで合格するも、東大安田闘争・70年安保闘争などの影響で神田界隈はマヒ状態。連日機動隊がやってきて大学はロックアウト・封鎖の繰り返し。すっかり希望を失い、大いなる時間の浪費が始まる。記憶に残っているのは、ジャズを聴いたこと、大学ノートに何やら書きなぐったこと、ぼーっと考えごとをすること。数限りなく、雑多なアルバイトをやったこと。一応は無難にこなした・・・はずだ。いろいろ本を買いあさったが「積ん読状態」で、ただ、アルベール・カミュの作品には衝撃を受ける。それと、寮生活だったので、嫌いだった納豆を食べられるようになったのは、収穫だった。

・1974年 
 同大学卒業
 1年留年し、5年かけてなんとか卒業。理由は単位を落としたからだが、結局5年間の学生生活で授業に出席したのは、おそらく数十日ではなかったろうか。毎回レポート試験で単位をいただいたが、ほとんどは寮生仲間に「餃子ライス」を報酬に、作成を代行してもらった。今さら卒業証書を返還せよといわれても、もう時効だろう。白門同窓生の恥部であることは、重々自覚している。
     
・2006年 
 現在に至る
 プロポーズしたら1週間待ってくれという。そんなに待てないといったら、翌日ハート型のケーキを焼いて待っていてくれた。世の中には奇特な女性がいるものだ。おまけに4人も子どもを産み育ててくれて・・・育児放棄の夫に寛大な女性で・・・おまけに子どもたちは・・・三人の息子と息子のような娘が一人なのだが・・・父親を反面教師として、なんとか実社会に順応している。大したものだ。わが家には、「親の七光り」など存在せず、「子の七光り」で恩恵をいただいているようなものだ。

・2010年 宇宙の旅
 人生も、それなりに辛抱して生きていれば、悪いことばかりではないなと思っている。2010年には、どこで何をしていることやら。宇宙のチリになっているのか、地中に埋もれているのか、はたまた相変わらず時間を見つけては昼寝三昧なのか、こればかりは全く予測がつかない。

・現在
 このブログを始めた頃、2010年なんてずっと未来の存在だった。でも、気がついてみたら2010年はすでに過去のできごとになってしまった。2013年になり、もうじき2014年になろうとしているこの時期に、改めてブログに書き残された何編もの雑文が、自分の心の軌跡という遺産になっていることを感じている。6年前に「昼寝ネコの雑記帳」という単行本を出版した。最近は「続・昼寝ネコの雑記帳~創作短編集」を発刊しようと、密かに機会を窺っている。
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